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2019年09月17日

今までの電子コミックに足りなかったもの 3600冊読んでわかった感覚


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「note」を運営するピースオブケイクでCXO(Chief Experience Officer)をつとめる深津貴之さん。無類のマンガ好きとしても知られる

「note」を運営するピースオブケイクでCXO(Chief Experience Officer)をつとめる深津貴之さん。無類のマンガ好きとしても知られる

出典: 朝日新聞

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マンガ好きにとって、電子書籍なしの生活は考えにくい時代になりました。一方で、マンガ好きほど、ページをめくる感覚、表示のスピードなど、紙との違いが気になるものです。スマホで3千冊以上のマンガを持ち歩く深津貴之さんもその一人でした。「note」を運営するピースオブケイクでサービス改善などを担当するCXO(Chief Experience Officer)をつとめる深津さん。「マンガを読む人ほど電子書籍が必要なのに、電子書籍側が追いついていない」という思いから、理想のマンガビューワー作りに着手し、このほど発表しました。「最近は『7SEEDS』を丸ごと読んだ」という深津さんに、今の電子書籍に足りなかったもの、そして、マンガの未来について聞きました。

『寄生獣』『銃夢』『ファイブスターストーリーズ』の無常観

1979年生まれの深津さんは、いわゆる「コロコロコミック世代」です。

「『マンガ日本の歴史』や『まんがひみつシリーズ』など、周りにあったマンガは片っ端から読んでいましたね」

その中で、アイデンティティーに影響を与えた作品としてあげるのは『寄生獣』や『銃夢』『ファイブスターストーリーズ』などです。

「わりと世界が無常というか殺伐としていて、その中で、あきらめないで意思決定をして生きていく作品が好きでした」

その後も『HUNTER×HUNTER』や『BLAME!』『クニミツの政』など、「スーパーヒーロー不在系」を中心に読んできたそうです。

『寄生獣』など「無常観」の中を生きる物語にひかれるという深津さん

『寄生獣』など「無常観」の中を生きる物語にひかれるという深津さん

出典: 朝日新聞

「じゃあ、自分で一番早いのを作ろう」

そんな深津さんが、これまでの電子書籍ビューワーに対して感じていたストレスは「パラパラ読む体験ができないこと」でした。

ページをめくる感覚が重く感じたり、読み込みに時間がかかったり。速さを上げるだけで、ストレスはかなり減るはずなのに、改善されていないと感じていたそうです。

「それで、じゃあ、自分で一番早いのを作ろうと思ったんです」

ちょうど、「note」でもマンガビューワーの機能をつけるタイミングだったこともあり、プロジェクトがスタートしました。

「マンガビューワー」プロジェクトは、「パラパラ読む体験」を目指して始まった

「マンガビューワー」プロジェクトは、「パラパラ読む体験」を目指して始まった

出典: 朝日新聞

出版畑ではできなかった「パラパラ感」

ページの「パラパラ感」は、レイテンシーと呼ばれる反応時間に関係していました。

そこで、「note」のマンガビューワーでは徹底的に待ち時間を減らすことにこだわっています

「反応速度が悪くなるほど、読書体験が間接的なものになってしまうんです。次のページが表示される間も画面が固まらないようにする。ページが変わる途中に挟むアニメーションの解像度が悪いと、どこまで読んだかわからなくなります。めくる最中も動作をロックさせず、必要な処理はユーザーが気づかない裏側で動くようにしました」

その際、導入したのは「異文化のノウハウやテクノロジー」でした。

「出版畑のエンジニアが作るとすると、どうしても『パラパラ感』より『正確性』が優先されてしまします。私たちは、インタラクションを大事に、広告やゲームで使われているアニメーションの技術を活用しました」

「異文化のノウハウやテクノロジー」を活用して生まれた「マンガビューワー」

「異文化のノウハウやテクノロジー」を活用して生まれた「マンガビューワー」

出典: 朝日新聞

「短編マンガの可能性を広げたい」

深津さんには、マンガビューワーを通じて、クリエーターに新しい活躍の場を作りたいという思いがあると言います。

その一つが「短編マンガ」です。

マンガ業界の最近の傾向として、巻数の長い作品の増加があります。50巻や100巻を超えるものも少なくなりません。深津さんは、そんな超大作に偏りがちな状況に対し、「note」のようなユーザーが直接、作品を投稿できるサービスによって「短編マンガの可能性を広げたい」と言います。

「長編マンガの作者さんの中には、最終回を描くのが初めてというマンガ家さんもいます。大作の後、ヒット作が出てこなくなることも少なくありません。5巻から10巻くらいでコンスタントに『たためる』作品がもっとあっていいと思うんです。今回のビューワーが、ネットの中で気軽に短編が描けたり、売れたりできるサービスにつながればいいなと思っています」

「マンガビューワーを通じて、クリエーターに新しい活躍の場を作りたい」と話す深津さん

「マンガビューワーを通じて、クリエーターに新しい活躍の場を作りたい」と話す深津さん

出典: 朝日新聞

ウェブマンガの持つ突然変異の価値

現在、会社の経営にも関わる深津さんですが、「マンガとして成立しにくい選択は取らない。ロールモデルとして、マンガの登場人物が入ってくる」。マンガはそんなレベルで仕事に影響を与えています。

ウェブマンガでは『懲役336年』や『ダズハント』などを愛読しているという深津さん。現在、スマホに入っているマンガは3600冊を超えています。

「マンガは、自分が体験していないことを2時間でインストールしてくれる。仕事に限らず、雑学の幅を広げてくれる学習ソースになっています。SFや医療、料理など、知識そのものを超えて、大きな考え方として、哲学や意思決定のあり方を知ることができます」

これまで、文章がメインだった「note」でしたが、マンガビューワーの導入によって、ジャンルの幅が広がりそうです。

「UGC(User Generated Contents)と呼ばれるユーザー参加型のコンテンツは、突然変異が生まれやすい。スマホ向けの縦長マンガもUGCから生まれました。まだ見ぬ作品に出会えるのがUGCの良さ。そういう人の発射台になっていけたらいいなと思っています」

なぜここに? 警視庁に残されていた手塚治虫さん直筆の天井板
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手塚治虫さん直筆の天井板=2019年2月20日、東京・警視庁、嶋田達也撮影
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