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2019年09月08日

家事をする男性ほど、職場の女性が苦手? 「衝撃的」調査結果の意味


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家事に積極的な男性ほど女性と働くことにネガティブな気持ち……。そんな調査結果が発表された

家事に積極的な男性ほど女性と働くことにネガティブな気持ち……。そんな調査結果が発表された

出典: pixta

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#父親のモヤモヤ
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家事に積極的な男性ほど、職場の女性が苦手? 7月、東京都内で、男性の家事育児にまつわる「衝撃的」な調査結果について、専門家が議論するパネルディスカッションが開かれました。イクメンという言葉が流行語大賞のトップテンに入ったのが2010年。仕事の成功が男らしさの要素を大きく占めていた時代から、家事や育児にもより関わる意識が浸透するにつれ、モヤモヤを抱える父親も増えています。長年、男性学に携わってきた研究者たちがこの問いに向き合い、男らしさを再考。たどり着いた生きづらさを和らげるヒントが、「男のシェア・ケア・フェア」でした。

男性・父親研究のトップランナーたちがそろい、開かれたパネルディスカッション=笹川平和財団提供

男性・父親研究のトップランナーたちがそろい、開かれたパネルディスカッション=笹川平和財団提供

男らしさの3要素が重荷に

パネルディスカッションには、男性・父親研究のトップランナーたちが勢ぞろいしました。笹川平和財団の「新しい男性の役割に関する研究会」がまとめた調査報告書の発表をもとに語り合ったのは、座長の関西大・多賀太教授、京都産業大の伊藤公雄客員教授、お茶の水女子大の石井クンツ昌子教授です。

イベントではまず、「男らしさの3要素」について伊藤客員教授が説明しました。競争に勝ちたい、誰かの上に立ちたいという「優越志向」。たくさんのモノを持ちたい、自分の管理下でコントロールしたいという「所有志向」。自分の意志を他人にも押しつけたい「権力志向」。これらは女性の内面にもありますが、「近代以降、多くの文化圏で男性たちに根付いた傾向」と指摘します。

この3要素によって、「男性は努力する」など、プラスに作用してきた面がある一方、ジェンダー平等においては「大きな妨げになっている」と伊藤客員教授。また、「優越性を示すために弱音をはけない。あるいは、感情を抑圧しなければならない」など、男らしさが重荷になっている側面があるとしました。

京都産業大の伊藤公雄客員教授=笹川平和財団提供

京都産業大の伊藤公雄客員教授=笹川平和財団提供

生きづらさを抱える二つの要因

男性の生きづらさという点には、多賀教授もうなずきます。様々なデータから、まだまだ男性優位な社会であるにもかかわらず、生きづらさを感じるという矛盾した状況が生まれていることについて、「男性支配のパラドックスが起きている」と表現。男性に期待される役割が、昔よりも増えてしまっている現状について、二つの要因を挙げました。

一つは、男性優位の社会を維持するために「稼がないといけない」「弱みを見せられない」といったコストを支払うことが求められていることです。最近ではさらに、家事育児の積極的な関わりも期待されていますが、「だからといって、仕事で頑張らなくてよくなったとか、稼ぐ期待が薄くなったかというと、そうはなっていない」と多賀教授。今までの男の役割にプラスして、新しい役割が求められていると分析します。

もう一つは、男性にも様々な人がいるのに、一くくりで「強者」と扱われていることです。すべての男性が競争志向を持って、たくさん稼げるというわけではないにもかかわらず、「男なら強くあれ」「稼げていないのか」といったプレッシャーを受けがちだと指摘。「この辺が男性優位の社会でありながら、男性が生きづらさを抱えているというカラクリなんじゃないかなと思います」

「新しい男性の役割に関する研究会」の座長を務めた関西大・多賀太教授=笹川平和財団提供

「新しい男性の役割に関する研究会」の座長を務めた関西大・多賀太教授=笹川平和財団提供

職場の女性観と家事の関係、予想を裏切る結果に

今回の報告書は、日本のほか東アジア4都市の男性計9千人にweb調査を実施して作成されました。例えば、日本の既婚で子どもを持つ男性の育児参加について調べた項目では、「家庭における性別役割分業観が非伝統的、つまり、『男性は仕事、女性は家庭』という価値観に縛られない人ほど、育児頻度が高い」という結果が出ています。

注目を集めたのが、職場の女性観に関する質問です。

具体的には、女性の上司や同僚などについて、男性がどう思っているか、本音に迫ったところ、「ネガティブな気持ちを持つ男性ほど、家事に積極的」という、予想を裏切る結果が出たのです。

「男性の家事育児を規定している要因として、子どもの年齢や数、収入などに着目した研究はありましたが、職場における女性観はあまり研究されてこなかった」と統計分析を担当した石井教授。できれば女性の上司は持ちたくない▽自分の意見をはっきり言う女性はつい敬遠してしまう▽女性には重要な仕事をまかせられない▽職場の中で女性は有能なパートナーになり得ない▽女性は家庭のことをきちんとしてから仕事に出るべきだ、といった5項目について尋ね、家事頻度との関係を調べています。

すると、より「そう思う」と答えた男性の家事頻度が高いという結果に。財団の担当者は「家事頻度が低くなると予想していただけに、衝撃的でした」。

職場の女性観に関する調査項目=笹川平和財団提供

職場の女性観に関する調査項目=笹川平和財団提供

出典:新しい男性の役割に関する調査報告書

古い男らしさが残ったまま、新しい要素が加わっている

この結果について、「暫定的な解釈」として多賀教授が披露したのは、「古い男らしさが新しい男らしさに取って代わられるのではなく、古い男らしさが残ったまま、新しい要素が追加されているのではないか」という見立てです。

仕事での成功が、依然として男らしさの重要な要素であり続けながら、新たに家事も「男がするべきこと」とみなされつつあるなかで、「仕事に限らない競争意識のようなものが、職場での女性観と家事頻度の両方に影響を与えている可能性がある」と多賀教授。

それは、「仕事でも家事でも周りに負けたくない。両方を『ちゃんとやれている自分』という自己イメージを保っていたい」という意識につながり、今時の家事をする男性を「従来の男性の役割はこなしつつ、これまで女性の役割と言われていたことも、男らしいスタイルで取り組んでいるというのではないか」と結論づけました。

この解釈については石井教授も、参考にする先行研究が少ないことや、質問対象が男性だけだったことなどを留意すべき点にあげています。さらに質疑応答の時間では、調査の仕方や結果の統計処理について、会場の専門家から質問が出ました。多賀教授は「解釈の妥当性については、検討していきたい」とし、今後はインタビューをしていくなどする考えを明らかにしました。

お茶の水女子大の石井クンツ昌子教授=笹川平和財団提供

お茶の水女子大の石井クンツ昌子教授=笹川平和財団提供

ジェンダー平等へ向けた男性の新しいあり方について、調査や議論を続けてきた研究会。イベントの終盤で「今回の成果をまとめようとした時に思い付いたのが『シェア・ケア・フェア』というキーワード」と多賀教授が語りました。

シェアは、様々な活動における色々な役割を男女がシェアし、責任と利益を分かち合うこと。ケアは、他者を助け、自分も大切にし、他者からの援助を適切に受け入れること。フェアは、女性や他の男性を尊重して公正で対等な関係を築くこと。研究会ではこのキーワードなどを基に、具体的な政策提言を策定する予定です。最後に伊藤客員教授は「今回の活動が男性たちの生き方をよい方向で変える形に作用するとすごくいいなと思っています」と語りました。


父親のモヤモヤ、お寄せください

記事に関する感想をお寄せください。「イクメン」というキーワードでも、モヤモヤや体験を募ります。「イクメン」という言葉を前向きにとらえる意見がある一方、「イクメンという言葉が重荷」「そもそもイクメンという言葉が嫌い」という意見もあります。みなさんはどう思いますか?

いずれも連絡先を明記のうえ、メール(seikatsu@asahi.com)、ファクス(03・5540・7354)、または郵便(〒104・8011=住所不要)で、朝日新聞文化くらし報道部「父親のモヤモヤ」係へお寄せください。

 

共働き世帯が増え、家事や育児を分かち合うようになり、「父親」もまた、モヤモヤすることがあります。それらを語り、変えようとすることは、誰にとっても生きやすい社会づくりにつながると思い、この企画は始まりました。あなたのモヤモヤ、聞かせてください。

みんなの「#父親のモヤモヤ」を見る

 

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