ムードメーカー「マチちゃん」にうらやましさ
一方、同じ教室には、いつも笑顔のグループがあり、中心には「マチちゃん」がいます。勉強もスポーツもできるマチちゃんは「ムードメーカー」です。

「この子も生き辛さを感じていたのかな」「笑顔の裏でどんな思いを抱えてきたんだろう」。そんな気持ちがケイちゃんに芽生えます。そして「苦しいのは、私だけじゃなかったんだ…」とも。
しばらく経って、マチちゃんから「ライブ来ない?」と話しかけられるケイちゃん。公園で路上ライブをするというのです。
放課後、ライブの場所に急ぐケイちゃんの耳に、マチちゃんの歌声とギターの音色が響きます。
ケイちゃんに音楽が届いた瞬間、それまでモノクロで描かれていた作品には、オレンジを基調にした色がつきます。
ケイちゃんは「のびのびと自由に歌う彼女の姿に心が揺さぶられた」と感じ、気づくのです。「彼女の居場所はきっとここなんだ」
そしてケイちゃんは再び絵を描くことを始めます。「今までは人と比べて嫌になってやめちゃってたけど 余計なことは考えないようにしたんだ」と友達に話します。友達が「いいな なんか楽しそうだね」と応じると、ケイちゃんはスッキリとした表情で「大丈夫!きっと楽しいこと見つかるよ」。

モヤモヤの10代がベース
そんな自身の経験が作品のベースにあります。「ミチちゃんにはモデルがいて、ケイちゃんは、私寄りの子です」

出典:コミチ
路上ライブは「オレンジ色」
当時、路上でギターを弾き、歌う彼女の姿がとても印象的で、「堂々としていて、楽しそうだった。自由に何かをできるのはいいなと思ったんです」
そのときの様子を、作品でも描きました。
作中、「ミチちゃん」が路上ライブを始めると、世界はオレンジ色に変化します。ヒヅキさんは「歌を聴いて、ケイちゃんの世界が拓けたことを表現したかった」と話します。
なぜ、「オレンジ色」に変化したのか――。ヒヅキさんは「ミチちゃんのモデルになった同級生の路上ライブを聞きに行ったとき、夕焼けの中で歌う彼女の姿がとても印象的だったから」と振り返ります。

劣等感も他人の目も気にならない時間
「人の目を完全に無視することは、なかなかできないですよね。でも、他のことを考えずに夢中になれて、のびのびとできる時間は、それを忘れさせてくれる時間です」
そんな自由で開放的な時間を、どう見つけたら良いのでしょうか。
「好きなものを探すのが一番です。本でも楽器でも、アニメでもゲームでもいい。好きで、手放したくないものが、一つでもあればそれを支えに生きていける。それがある意味、居場所の一つになるんじゃないかな」

withnewsはマンガのSNSを運営する「コミチ」とコラボし、「#わたしの居場所」をテーマに生きづらさを抱える10代へ向けた作品を募集しました。のべ35作品が集まり、4作品を入賞に選びました。入賞者のみなさんは、どんな思いでマンガを描いたのか、ご自身の経験とともに振り返ってもらいました。

withnewsでは、生きづらさを抱える10代への企画「#withyou ~きみとともに~」を続けています。
今年のテーマは「#居場所」。
目に見える「場所」でなくても、本や音楽…好きなことや、救いになった言葉でもいいです。生きづらい時間や不安な日々をしのげる「居場所」をみなさんと共有できたらと思います。 以下のツイートボタンで、「#居場所」について聞かせてください。
みんなの「#withyou #きみとともに」を見る
いろんな相談先があります
「居場所」を考えるイベント開きます

2学期が始まる。しんどくて、逃げたい……。夏休みが終わるのを前に、そんな思いを抱える子どもたちの「居場所」について考えるイベントを8月26日に昼と夜の2部構成で開きます。
(昼の部)10代が安心して過ごせる「居場所」とは?@日本財団ビル 14:30~17:30
子どもの問題を取材してきたノンフィクション作家の石井光太さん、自分の不登校経験をマンガ「不登校ガール」で描いた女優の園山千尋さん、フリースクールネモ代表の前北海さんが、「居場所」について考えるトークイベント。無料です。詳細や申し込みは→https://withyou-ibasho.peatix.com/view
(夜の部)本音トーク!「#居場所」@Twitter本社からTwitterライブ配信(@withnewsjp) 22:00~23:30
不登校経験があり、今は俳優や漫画家などとして活躍する個性的な面々が、つらい日々によりどころにした「居場所」について、本音トーク! ハッシュタグ「#わたしの居場所」に寄せられたアイデアもシェアしていきます!