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中国のインフルエンサーも「数より質」か 化粧品「ガチ批評」に好感

東京滞在中のRlinyさん
東京滞在中のRlinyさん 出典: Rlinyさん提供

目次

化粧品を選ぶ際、中国でもインフルエンサーの影響力が大きくなっています。中国版ツイッター微博(weibo)で60万人以上のフォロワーを持つRlinyさんは、美容系の分野で「ネットセレブ(KOL=Key Opinion Leader)」と呼ばれるインフルエンサーの一人。端正な容姿と透明感のある美肌で化粧品を紹介する動画は、自らが試して商品の良し悪しを伝えています。長年の知識や経験に裏打ちされた「ガチ批評」は、時にメーカーにとっては不本意な評価になることも。それでも、ユーザーを第一に考え情報を発信する姿勢に日本の企業も注目しています。

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撮影中のRlinyさん
撮影中のRlinyさん 出典: Rlinyさん提供

カリスマ美容師への道、美容への目覚めは小学校

Rlinyさんは微博で、60万人以上のフォロワーを持つ美容系のKOLです。現在は上海を拠点に活動していますが、出身は中国内陸部の広西チワン族自治区です。美容関連の仕事をしていた母親の影響で、小学3年生の時から美容への意識が芽生えたそうです。

小さい頃から化粧品が身近にあり、関連する本や商品パンフレットをよく読んでいたというRlinyさん。小学生ながら「角質層」という言葉を知り、6年生の時には親からもらった小遣いをコツコツ貯めて、憧れの化粧品を手に入れたそうです。

中学、高校生の時は、その豊富な化粧品の知識を学校の同級生にも。それぞれの肌の特徴に合わせてするアドバイスはクラスで評判になったそうです。同時に、学業にも力を入れたRlinyさん。得意だった化学については「高校時代の基礎知識のおかげで、現在でも化粧品の勉強に役立ちます。化粧品の成分を見て、だいたいの効能が分かります」。

イベントに参加した時のRlinyさん
イベントに参加した時のRlinyさん

微博でコツコツの努力 辛口批評でフォロワーが上昇

Rlinyさんが微博を始めたのは、2011年ごろからです。最初は自分が使った化粧品をレポートする形でした。それが、化粧品関連イベントの司会やモデルの仕事にもつながり、現在はその専門知識が求められ、美容部員をトレーニングする講師も務めています。

微博のフォロワー数も、活動しているうちに徐々に増えていきました。ただ、フォロワーが60万人以上に急増した背景には、2018年の「事件」がありました。

日焼け止め効果を大々的に宣伝したヨーロッパ系ブランドの新商品に対し、「要注意」とフォロワーたちに発信したのです。これは、自ら試してみて効果があまり得られなかったからでした。その後、海外のニュースサイトでこの日焼け止めが基準に達していないと報道し、Rlinyさんがその報道を紹介しました。

いい商品を紹介するのと同時に、よくない部分も的確に指摘するという点は、ユーザーに高く評価され、ネット上で人気が一気に高まりました。この事件後、フォロワーが20万人以上増え、現在も順調にフォロワーを伸ばしているRlinyさん。2019年8月時点では63万人に達しました。

「僕は本音、真実を語るので、適切な商品を適切な人々に伝えることができる。これこそフォロワーに愛される理由です」と話すRlinyさん。このルールに従い、商品の欠点を辛口批評することもあります。

フォロワーたちは彼を通して、自分に合う化粧品を選択できるため、Rlinyさんが紹介すると、中国のECサイト上の関連商品が飛ぶように売れる「現象」もたびたび起きます。

スカイツリーに訪れた時の一息
スカイツリーに訪れた時の一息

来日のきっかけ 日系化粧品会社に重宝されるKOL

Rlinyさんは6月、日本の大手化粧品会社の招きで来日しました。会社や工場を視察し、関連ブランドの商品を試す場面も。使い心地などを自らのSNSで発信しました。

「招かれたとはいえ、評価の基準はぶれません」

化粧品会社からリーチ数などのKPIが求められ、フォロワー数やリツイート数ばかりを気にするようになったKOLの中で、自ら商品を試してその魅力や特徴を語るRlinyさん。こうした姿勢のRlinyさんを「ユニークな存在」と語るのは、来日をサポートした中国市場戦略研究所(CM-RC)のmimosaさん(31)です。

「彼が書いた記事には、化粧品への熱意や自分の意志が含まれているため、共感型ブロガーとしてフォロワーたちから信頼を得ている。そうした彼の意見やアドバイスを日本の化粧品会社が求めました」と来日の理由を話します。

日系化粧品会社の招へいで来日する
日系化粧品会社の招へいで来日する

中国では顔パックした後、洗い流すのが普通?

来日中のRlinyさんに、日本の化粧品について話を聞きました。中学生の時に初めて手に入れた化粧品が実は、日本製だったそうです。「ある意味、世界の最先端。欧米よりも進んでいる部分がある」と高く評価します。

理由を詳しく聞くと、「日本の化粧品は対象をとても細分化していて、例えば熟年肌に対しても情熱を注いでいます。こういうことは、ほかの国ではなかなかできていません」。

また、ユーザーがいる限りは、化粧品の開発を安易にストップしない点も「化粧品会社の品位が感じられる」と語ります。

中国との比較で言うと、気候や地理条件などの違いがあるので、化粧品に対する考えの違いを感じるそうです。顔パックを例に挙げ、Rlinyさんは次のように話しました。

「日本の場合、パックを使用した後の肌のモチモチ感が大事にされます。中国でも日本の顔パックは人気がありますが、乾燥肌の人でも、顔パックの後はすぐに洗い流すことが多いです」

顔パックをしたら、日本ではしっかり吸収を促し、その後も保湿クリームを塗るのが一般的ですが、爽快感を大切にする中国ではそのまま洗い流してしまうそうです。

東京散策中
東京散策中

東京に温かさもある

日本についてRlinyさんはかつて、「大都市の人は冷たい、偽善」といったマイナスの言葉を聞いたことがあるそうですが、実際に来てみて、「むしろ温かい経験をさせてもらった」そうです。

銀座で待ち合わせの場所に行きたいが道が分からず、困っていたRlinyさん。そんな時、年上の女性が助けを求める前から、進んで道案内をしてくれたそうです。

また、ドン・キホーテへの道に迷った時は、尋ねた男性が一緒に店を探してくたそうです。「東京のような大都市でも人の温かさを感じました」

日本の風景もweiboを通して発信
日本の風景もweiboを通して発信

将来の夢

美容業界で知名度が高くなったRlinyさん。フォロワーを集めること自体は目的ではないと語りますが、それでもまだ、自身のフォロワー数には満足していません。

「自分が観察し、肌を使って試した化粧品のよさ、問題点をより多く人に届けるために、より多くのフォロワーが集まってほしいです」

今後はコツコツと良いコンテンツを提供し、美への追求をし続けたいと語るRlinyさん。中国で「ガチ批評」の勢いがどこまで進むのか、今後も注目したいと思います。

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