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「アメリカウルトラ」熱中した42歳、クイズ再開で思い知った「加齢」
子どもの時は、日本テレビの「アメリカ横断ウルトラクイズ」に憧れていた。42歳になって、再び決意したクイズ大会への挑戦。公開されている過去問をダウンロードし、さっそくとりかかる。これまでの知識と時事問題で、半分は取れるだろう。その自信はもろくも崩れ去った。クイズ王への最初の関門、それは「加齢」だった。
再び目指すことになった「全国総合クイズ大会」の予選は7月15日。残された時間は少ない。日本クイズ協会主催で、今年2回目の新しい大会だ。1回目の問題集がダウンロード販売されている。力試しに全国予選問題をやってみることにした。
問題は3択クイズが100問、筆記問題が100問の計200問で、制限時間は45分だという。問題作成は何と、第16回ウルトラクイズ優勝者でクイズ作家の田中健一さんだった。テンションが上がった。
3択クイズは答えがわからなくても、選択肢を選ぶことはできる。新聞を読んでいるし、これまでの知識と時事問題で、半分は取れるだろうと高をくくっていた。
【新シーズン始動】「JQSグランプリシリーズ2019-2020」予選エントリーの受付を開始いたしました。エントリー受付は6月30日(日)年齢性別不問。どなたでもご参加いただけます。皆様の挑戦をお待ちしております。 #JQSGP
— JQSグランプリシリーズ【公式】 (@JQS_gp) 2019年5月15日
月曜日の昼下がり、スマホのタイマーをセットして解き始めた。しかし、根拠のない自信はあっさりうち砕かれる。筆記問題の3問目で鉛筆を持つ手が止まった。
うーん。何だっけ。これ。習ったことはある。でも思い出せない。そして4問目。
頭の中に映像は浮かんでいる。ほら、あれ、あのおもちゃ。何ていう名前だっけ。
今年42歳、加齢を実感した。
1ページに15問ほどが書き連ねられている。解き進むごとに、答えを書けない問題が増えていく。時間が足りなくなるのではという心配は杞憂に終わり、7分ほど余った。
そして答え合わせ。ペケの数は増え続け、終盤の9問はすべて間違えた。3択クイズは100点満点の47点、筆記問題は1問2点で200点満点の70点だった。計117点で半分にも届かなかった。ちなみに一緒に大会に挑む同僚は計132点だった。
ショックだった。この大会は予選を勝ち抜くと「リーグ戦」に参加する権利を得られる。だが、このままでは、夢だった早押し機の前に立つことなど、夢のまた夢なのだ。
オンライン対戦ができるアプリ「みんなで早押しクイズ(みんはや)」をやっていても気になることがあった。クイズ番組「東大王」で林輝幸くんが話していたのをきっかけにスマホに入れたアプリだ。
「盗賊の親分」のところで、「よし、答えはわかる!」と思ってボタンを押す。
だが、頭の中から言葉が出てこない。表示される4文字の中から1文字ずつ選んで、答えを入力していくのだが、「うーん」とうなっているうちに時間切れで誤答になる。
体と脳の反応も鈍っている。何とか答えを引っ張り出してくるというのが表現としてしっくりくる。
小5の長男は、何年か前に横山光輝の漫画「三国志」を私が紹介してから歴史が好きになった。ある夜、Eテレ「知恵泉」で得た知識をひけらかして感心してもらおうと、「室町幕府の6代将軍足利義教って知ってる?独裁者すぎて現役将軍なのに暗殺されんだよ」とちょっと上から話しかけてみた。
「知ってるよ。嘉吉の乱」「えっ!?嘉吉の乱っていうんだっけ?」
絶句した。立場が逆転した。完全に負けている。スマホで慌てて調べた。長男は漫画「日本の歴史」を読んでいる。年号や出来事を覚えることも得意だ。
挫折が続きすぎて、心は折れそうだが、大会までの時間は少ない。
一緒に挑む同僚に「クイズの調子はどう?」とたずねてみた。得意だった歴史の知識を思い出すために、世界史と日本史の問題集アプリに取り組んでいるという。答えはわかっているのに頭から引き出せない私の悩みを告白すると、「血がサラサラになるようなものを食べたり飲んだりした方がええんちゃいます?」。
いずれにしても、できることからやっていかなければならない。
昨年も出題され、今年も1問は出題されるだろう元素記号の表をはりだして眺める。「みんはや」をやりこむ。さらに世界史と日本史のアプリに挑み、「クイズ脳」を取り戻す。トクホのお茶を飲みながらの「リハビリ」が始まった。
結果は大会終了後に配信します。
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