話題
すず音さんからの取材リクエスト
広島カープの今年のスローガンが、「水金地火木土天カープ」になった理由は?
水金地火木ドッテンカープから探る広島の「面白力」 オーナーに直撃
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広島カープの今年のスローガンが、「水金地火木土天カープ」になった理由は?
広島カープの2019年チームスローガン「水金地火木土天カープ」になった理由が知りたいです。ファイターズファンですが、ラジオでこの情報を聞いて頭から離れません…! すず音
プロ野球セ・リーグ3連覇中の広島の今季のキャッチフレーズは「水金地火木ドッテンカープ」。このフレーズについて、読者の方から、「ラジオで聞いてから頭から離れません。これになった理由が知りたいです」とお便りを頂きました。シーズンも折り返し地点を迎え、ファンのみなさんにもすっかりなじんできたフレーズの由来をおさらいしながら、広島の「面白力」を探りました。(朝日新聞記者・藤田絢子)
広島のキャッチフレーズは、他のセ5球団と見比べると非常に個性的です。巨人が「Show The Spirit~和と動」、阪神が「ぶち破れ! オレがヤル」、DeNAが「Go Beyond the Limit.(限界を超えろ)」、中日は「昇竜復活! WITH BLUE」、ヤクルト「KEEP ON RISING~躍進~」。いずれも、リーグ制覇に向けた意気込みが直球で描かれていますが、広島はちょっと、変化球すぎます。
誕生の裏話を聞きに、球団担当者を訪ねました。考えたのは職員ら約8人。今年のテーマは「リズムがよくて、口ずさみやすいもの」で、三角関数のサイン、コサインなどに絡めたものなど、約30個が候補にあがったといいます。
その中から、キャッチフレーズは、一年間通して使いやすいものであること。そして、試合前に大型ビジョンで流れる選手紹介映像などにも活用するため、デザインしやすいことなどが考慮されたそうです。
選ばれたフレーズは、惑星の名前を覚えるために多くの人が唱えたことのある「水金地火木土天海」が基になっています。
「様々な特徴を持ちながらも同じ方向に公転する『太陽系の家族』である惑星を、家族のような絆で3連覇を遂げた広島になぞらえたものです」と担当職員。暗唱フレーズのように、リズムよく4連覇を目指すという意味も含まれています。
初めて世間にお披露目されたのが、昨年11月23日にマツダスタジアムで開かれたファン感謝デーでした。
発表されると、ファンからはなんとも言えない笑い声が。担当者は「毎年、発表の時は大丈夫かな、となる。でも、今までで一番、笑い声とワーという声が大きかった。お客さんが、ポカーンとしていた年もあったので」と振り返ります。
過去のものをたどってみても、広島のキャッチフレーズは他と一線を画しています。
2016年は「真赤激(マッカゲキ)!」、17年は「力舞吼(かぶく)!」、18年は「℃℃℃(ドドドォー)」。この「℃℃℃」は松田元・球団オーナーが、シャワーを浴びていた時にひらめいたというもの。イラストでは、℃に足をはやし、「優勝にドドドっと向かっていく感じを出した」と松田オーナー。
なぜ、こうしたユニークなキャッチフレーズを使うのでしょうか。松田オーナーは「ファンと球団が横に並んで何か一つの体験を共有したいと思っている。それにみんなが楽しいと思って、会話が膨らむもののほうが面白いじゃろ」と明かします。
キャッチフレーズの他にも、広島はサヨナラ勝ちを記念したり、試合中に起きた珍事などを切り取ったりして、翌日にTシャツにして販売するということを得意としています。昨年は審判のボールカウントミスにより発生した「幻の四球」現象もTシャツになりました。
今回のキャッチフレーズは、質問者さんと同様の反応をした人が多かったようです。担当の一人は、「発表後はツイッターのトレンドでも1位になっていた。『わけがわかんない』と話題にしてくれるのはありがたい。初めは違和感があっても、なじんでるでしょ?」とにんまり。
確かに一度聞いたら、忘れられません。昨季は38回の逆転劇を見せて3連覇した広島。「逆転の広島」はこんなところにもありました。
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