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根っこ丸見えの木、実はアートでした ツイッターで話題「韮崎の木」
「何のために造られた?」と話題になった切り株、実はアート作品です。

山梨県韮崎市の散策路にある切り株。反対側に回ってみると、根っこの部分がまる見えになっています。ツイッター上で「何のために造られた?」と話題になったこの切り株、実はアート作品です。韮崎大村美術館の担当者に話を聞きました。

大村智さんの出身地
2015年にノーベル医学生理学賞を受賞した大村智さんの出身地である韮崎市。
少年時代に自宅から中学校まで通った約1.8kmの道のりは、受賞を記念して2015年に「幸福の小径」と名付けられています。
そんな場所にある切り株が先日、ツイッター上で注目を集めました。
丘のようになった場所にポツンとある切り株で、近づいてみるとブロンズ製であることがわかります。
そして反対側に回ってみると、その下が空洞になっていて、根っこを見ることができます。
「普段見えない部分を見せる仕組みも素敵」「何のために造られたものなんですか?」といったコメントが寄せられたこの切り株。
実は「韮崎の木」と名付けられた立体作品です。

美術館に聞きました
「芸術作品に触れながら、誰もが心豊かな時間を過ごせるように、2018年に複数の立体作品を設置しました」
そう話すのは韮崎大村美術館の事務局長・藤巻明雄さんです。
韮崎大村美術館は、大村さんが私費を投じて建設し、2007年に開館。翌年に美術館と土地、作品を市に寄付し、現在も館長を務めています。
市が制作した案内冊子では、「韮崎の木」の作者である竹腰耕平さんのコメントが以下のように掲載されています。

作者のコメント
私は韮崎市穴山町に滞在し制作しました。
滞在し生活することで、その場所を思う時間が生まれ、その土地を考えることが増えます。
その毎日の中で出会う様々な出来ごとが刺激となり、それが、その土地で表現する上での手がかりになります。
ここでおきることのすべてが、制作に関わっていると実感できます。それは生活の一部に制作があり、制作の一部に生活があるように感じられる時間です。
この《韮崎の木》は、韮崎市穂坂町で立ち枯れていた樹齢約50年のアカマツの木です。
山の斜面に生えていた一本の木の根は、しがみつくように力強く広がっていました。
木は、私達の歩く世界の下に、まだ見ぬ世界を広げています。
立ち枯れた木は、いずれ大地へと還っていくでしょう。その一時の時間を借りて、木はここにあります。

「ぜひ美術館にも」
話題になったことについて、藤巻さんはこう話します。
「注目していただき、ありがたい限りです。韮崎駅から幸福の小径を散策した先に美術館がありますので、こちらにもぜひお越し下さい」