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#5 #父親のモヤモヤ

「妻がこわい」「共感してくれない夫」 離婚相談からみる夫婦の悩み

離婚相談から見える夫婦のモヤモヤとは……(写真はイメージです)
離婚相談から見える夫婦のモヤモヤとは……(写真はイメージです) 出典: pixta

目次

#父親のモヤモヤ
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共働き世帯が増え、父親もまた、仕事と家庭とのバランスに葛藤するなど、モヤモヤを抱えています。一方、こじれた夫婦関係から浮かび上がるのは、「共感してくれない夫(父親)」だそうです。離婚相談の現場からみる父親像について、夫婦問題カウンセラーの高草木陽光(たかくさぎ・はるみ)さんに聞きました。

夫婦問題カウンセラーの高草木陽光さん
夫婦問題カウンセラーの高草木陽光さん

「妻がこわい」という夫

daisan 夫婦問題について、父親でもある夫は何を相談してくるのでしょうか。
 
daisan 9年間で8千人近くの相談に乗ってきました。うち4割以上が夫です。

夫側の相談で多いのは、「妻がこわい」です。例えば、家事や育児の分担について、妻といさかいになる。その後、妻に話しかけると、「自分で考えてよ!」「前に話したでしょ!」となる。そこで、「どういう環境でどう話したらいいのだろうか」という相談になるわけです。

そうした時に、離婚までいかなくても、「フラリーマン」や「帰宅恐怖症」になってしまうわけです。家族が寝た後に帰宅する。週末は夫婦別々に過ごしたがる。そんな状態です。争い事が苦手で、何でも我慢しがちな人に多いですね。
家族が寝静まるまで時間をつぶすこともあるというフラリーマンたち(写真はイメージです)
家族が寝静まるまで時間をつぶすこともあるというフラリーマンたち(写真はイメージです)

「洗濯物のたたみ方が違う!」と言われ

daisan 「妻がこわい」が相談の入り口になるということですね。
 
daisan 「心が折れそうな夫のためのモラハラ妻解決BOOK 4タイプでわかる」(左右社)では、相談の種類から妻側のタイプを四つに分けました。
daisan ずいぶん刺激的ですね。
 
daisan 「妻がこわい」と、自宅に帰るのがこわい夫は現実にいます。そうした時に、逃げずに向き合ってほしいと思います。妻側の特徴が分かれば、対応の仕方も考えられるのではないかと、実際の相談から妻像を類型化しました。

もちろん、人間ですから、四つのタイプにはおさまりません。いろんな要素がまじっています。その上で、四つのタイプは、夫を監視する「GPS型」、気まぐれな行動が目立つ「マイペース型」、何でも否定しがちな「上司型」、攻撃的な「暴発型」です。
daisan どんな相談内容なのでしょうか。
 
daisan 例えば、GPS型としては、「帰りが遅い」と何度も電話を掛けたり、会社の同僚にまで電話して居場所を探ろうとしたりした妻が、今度は高校生の息子にも同じようなことをして「うざい!」とけんかばかりする――というような相談がありました。

上司型では、「洗濯物のたたみ方が違う!」「お皿の洗い方があらい!」と、会社の上司のように厳しくあたられるということがありました。

ほかに、マイペース型では「共働きだが、妻が家事をまったくやってくれない」、暴発型では「暴言を吐かれたり、蹴られたりする」といった相談がありました。
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「共感してくれない」の本当の意味

daisan いろいろな相談があるのですね。ただ、「妻がこわい」に至るまでに、そもそもの原因があるのではないですか。「浮気をした」はもちろんですが、「家事や育児をしてこなかった」とか。
 
daisan そうですね。原因はありますね。女性から多く聞かれるのは「共感してくれない」です。
daisan 共感ですか。
 
daisan はい。共感というと、単に「うんうん」「そうだね」「わかるよ」と相づちを打つことだと思っていませんか。そうではなくて、「共感してくれない」の意味は、「一歩踏み込んで、現実的な対応をしようとする前向きさがない」ということなのです。

つまり、妻と苦労を分かち合えていない、ということです。山登りを人生に例えて考えてください。家事や育児と重い荷物を妻が1人で持っているとします。そのためには、趣味や勉強など、自分のための時間は諦めているでしょう。

一方、夫は何を持ってくれるわけでもなく、ただ「がんばれ!」「がんばれ!」と言うだけ。そうした時に、「共感してくれない」と言いたくなるのです。
「共感してくれない」の意味は、「一歩踏み込んで、現実的な対応をしようとする前向きさがない」と語る高草木さん(写真はイメージです)
「共感してくれない」の意味は、「一歩踏み込んで、現実的な対応をしようとする前向きさがない」と語る高草木さん(写真はイメージです) 出典:pixta

1人の人間として向き合う

daisan 公平(フェア)ではないですね。
 
daisan 夫婦の形はそれぞれですから、どこの家庭でも家事育児を2分の1負担した方がいい、とかそういうことを言っているのでありません。ただ、フェアであることは必要ですよね。

私はよく言うのですが、「酒もやらない。ギャンブルもしない。浮気もしない。仕事一筋。だから安心だ」という男性は熟年離婚に注意してください。きちんと、共感していますか?
daisan 最初に、「妻がこわい」という夫が多いとおっしゃいましたが、そうした夫について、どう思われているのですか。
 
daisan 現状を考えると、おつらいなと思いますよ。妻に毎日、暴言を吐かれ、子どもの前でもののしられ、なんて話を聞くと。ただ、そこまでいくには、いま申し上げたように原因がある。それを考えると、必ずしも同情的にはなれません。

向き合うことから、逃げていたのではないかと思う時もあります。これは女性からの相談でも同じですけどね。
daisan どうすればいいのですか。
 
daisan 夫婦という家族だと、精神的な距離も近くなりがちです。そうなると、一方が過剰に負担しているのに甘えて見過ごしたり、あるいは、当たり散らしたりしてしまいます。

でも、1人の人間として向き合ってみたらどうでしょうか。先に「ごめんなさい」と言う。「ありがとう」を伝える。価値観を押しつけない。当たり前だけれど大切なことが浮かぶはずです。そして、互いを敵でなく味方と認め合えば、仮にルールを決めるにしても、「○○○しない」ではなく、「ねぎらう」など、前向きなものになるのではないでしょうか。

#父親のモヤモヤ 聞かせてください

記事の感想や体験談を募ります。連絡先を明記のうえ、メール(seikatsu@asahi.com)、ファクス(03・5540・7354)、または郵便(〒104・8011=住所不要)で、朝日新聞文化くらし報道部「父親のモヤモヤ」係へお寄せください。

 

共働き世帯が増え、家事や育児を分かち合うようになり、「父親」もまた、モヤモヤすることがあります。それらを語り、変えようとすることは、誰にとっても生きやすい社会づくりにつながると思い、この企画は始まりました。あなたのモヤモヤ、聞かせてください。

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