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#5 #父親のモヤモヤ
「妻がこわい」「共感してくれない夫」 離婚相談からみる夫婦の悩み
共働き世帯が増え、父親もまた、仕事と家庭とのバランスに葛藤するなど、モヤモヤを抱えています。一方、こじれた夫婦関係から浮かび上がるのは、「共感してくれない夫(父親)」だそうです。離婚相談の現場からみる父親像について、夫婦問題カウンセラーの高草木陽光(たかくさぎ・はるみ)さんに聞きました。
夫婦問題について、父親でもある夫は何を相談してくるのでしょうか。
9年間で8千人近くの相談に乗ってきました。うち4割以上が夫です。
「妻がこわい」が相談の入り口になるということですね。
「心が折れそうな夫のためのモラハラ妻解決BOOK 4タイプでわかる」(左右社)では、相談の種類から妻側のタイプを四つに分けました。
ずいぶん刺激的ですね。
「妻がこわい」と、自宅に帰るのがこわい夫は現実にいます。そうした時に、逃げずに向き合ってほしいと思います。妻側の特徴が分かれば、対応の仕方も考えられるのではないかと、実際の相談から妻像を類型化しました。
どんな相談内容なのでしょうか。
例えば、GPS型としては、「帰りが遅い」と何度も電話を掛けたり、会社の同僚にまで電話して居場所を探ろうとしたりした妻が、今度は高校生の息子にも同じようなことをして「うざい!」とけんかばかりする――というような相談がありました。
いろいろな相談があるのですね。ただ、「妻がこわい」に至るまでに、そもそもの原因があるのではないですか。「浮気をした」はもちろんですが、「家事や育児をしてこなかった」とか。
そうですね。原因はありますね。女性から多く聞かれるのは「共感してくれない」です。
共感ですか。
はい。共感というと、単に「うんうん」「そうだね」「わかるよ」と相づちを打つことだと思っていませんか。そうではなくて、「共感してくれない」の意味は、「一歩踏み込んで、現実的な対応をしようとする前向きさがない」ということなのです。
公平(フェア)ではないですね。
夫婦の形はそれぞれですから、どこの家庭でも家事育児を2分の1負担した方がいい、とかそういうことを言っているのでありません。ただ、フェアであることは必要ですよね。
最初に、「妻がこわい」という夫が多いとおっしゃいましたが、そうした夫について、どう思われているのですか。
現状を考えると、おつらいなと思いますよ。妻に毎日、暴言を吐かれ、子どもの前でもののしられ、なんて話を聞くと。ただ、そこまでいくには、いま申し上げたように原因がある。それを考えると、必ずしも同情的にはなれません。
どうすればいいのですか。
夫婦という家族だと、精神的な距離も近くなりがちです。そうなると、一方が過剰に負担しているのに甘えて見過ごしたり、あるいは、当たり散らしたりしてしまいます。記事の感想や体験談を募ります。連絡先を明記のうえ、メール(seikatsu@asahi.com)、ファクス(03・5540・7354)、または郵便(〒104・8011=住所不要)で、朝日新聞文化くらし報道部「父親のモヤモヤ」係へお寄せください。

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