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まるこさんからの取材リクエスト
パンの「のがみ」が残すところ秋田だけと聞きました。どうして秋田が最後の空白県になるのでしょうか。
高級食パンも…またもや空白県の秋田 「乃が美」46都道府県目が東京
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パンの「のがみ」が残すところ秋田だけと聞きました。どうして秋田が最後の空白県になるのでしょうか。
空白県になぜ秋田がなるのかは物流が関係することはよくわかりましたが、パンののがみ、が残すところあと秋田だけと聞きました。一年ほど前、求人を出していたのでてっきりできると喜んだのも束の間、公式ホームページにものらず、検索してもヒットせず、いまだ秋田にないまま。ハレパンなるほかの生食パンが進出してきましたが、どうしてまたのがみにおいても秋田が最後の空白県になるのか、記事にしてもらいたい。 まるこ
松屋やサイゼリヤといった全国どこにでもあるような気がするチェーン店の「空白県」となっている東北・秋田。6年前に創業したにもかかわらず、ほぼ全国に店舗を広げている食パンの専門店「乃が美(のがみ)」は、「高級『生』食パン」を商標登録するなど高価格帯の食パンブームの先駆者的な存在ですが、この店も全国で唯一、秋田に店舗がありません。またもや物流が原因なのか、その理由を探りました。(朝日新聞秋田総局・神野勇人)
今年4月、withnews編集部に1本の取材リクエストが届きました。
「乃が美が1年ほど前に求人を出していたので、てっきり秋田にできると喜んだのもつかの間、いまだないまま……」。ファンと思われる方からの、切実なお願いでした。
乃が美
— ネイガーmei (@mei_channel) 2019年2月2日
秋田だけ出店してない
46都道府県で展開してるのに大ショック!
乃が美のパンの店は秋田県にだけありません。金足農業のパンはローソンで売っていますが、乃が美さん、秋田にも進出してください。お願いします
— 三上千鶴子 (@Uk5wsShxd61CxtH) 2018年10月28日
乃が美は、秋田を除いた46都道府県に計131店舗(6月3日時点)を展開し、1日に約5万5千本のパンを売り上げているそうです。根強い人気ぶりに驚きました。これまで高級食パンを食べたことのなかった記者は、電車の乗り換えなしで行ける秋田のお隣・青森にある店へ向かいました。
JR青森駅から車で15分のところに、2017年10月にオープンした「はなれ青森店」があります。店の周りには、パンを焼く良い香りが。家賃が高い場所にある販売店を除く各店舗では必ず工場を併設し、セントラルキッチンは持たない。それが、乃が美のこだわりだそうです。
白を基調としたシンプルなデザインの店内には、トレーやトングといった「パン屋」らしい道具はありません。棚にはレギュラー(2斤・税込み864円)、ハーフ(1斤・432円)の食パンが1個ずつと、オリジナルのジャムの瓶が並ぶだけ。
実はレジの後ろに、高級感のある白い紙袋に入った販売用のパンが用意されています。
「パンを焼く作業は、開店中もずっと続きます」と店長の坂本裕美さん(35)。多いときには50人ほどが開店前に並ぶ盛況ぶりで、二つの販売店分も合わせて、1日平均約900本のパンを焼きます。
近隣住民から、本州の最北端の下北半島に住む人まで、人気は幅広いと言います。常連の青森市の女性(59)は「何もつけなくても甘くておいしいの」と満足げ。テレビ番組がきっかけで、初めて乃が美のパンを買うという青森市の女性(35)は「耳までふわふわという食感が気になった」と話します。この日は平日にもかかわらず、開店30分で100本のパンが売れました。
なぜ乃が美のパンが、秋田では買えないのでしょうか。理由を確かめに、発祥の地である大阪市へ向かいました。対応してくれた社長の阪上雄司さん(50)は「(わざと)秋田を外したのではないんですね」と切り出してくれました。
創業以来、西日本から徐々に店舗を増やしていきました。このとき阪上さんが考えたのは、「東京に出んと、日本制覇したろ」。すぐに東京進出をすると、一時的な「はやり」で終わると考えたそうです。
東京を残し、北海道や宮城などの北日本でも、続々と店舗を増やしていきました。ただ秋田では、物件探しに難航しました。パンを焼くことが出来る電力が必要な上、場所選びを間違えると周辺には車の行列が出来かねません。車社会ならではの悩みです。
まさにそのタイミングで、「開業5周年で店舗数100店舗、年商100億円」の区切りを迎えました。メディアへの発信を考え、2018年11月、46都道府県目の東京の麻布十番に、先に出店。結果として、秋田が最後の空白県になりました。
味で勝負するために、あえて飲食店にとっての「3等地」に出店してきたといいます。総本店があるのは、繁華街「ミナミ」近辺から2駅分離れた大阪上本町駅。駅から少し歩き、大通りから一歩入った路地裏です。だからこそ、「店周辺に10万人いれば十分な商圏だ」と言い切ります。人口30万人の秋田市への出店時期を問うと、「この秋口から年末にかけて出す計画で動いています」。
阪上さんが以前、別の仕事で高齢者施設を訪れたときのことです。歯の悪い入所者が、朝食として出された食パンの耳を残しているのに気付きました。「食べることが一番の楽しみなのに・・・」と残念に感じたことが、耳まで柔らかい生食パンを作ろうと思ったきっかけの一つになったそうです。
秋田は高齢化率が全国一でもあります。「秋田の高齢者の方にも、『こんな柔らかいパンがあんねや』って可愛がって頂けるはず」と自信をのぞかせます。
今も阪上さんのSNSには、秋田への出店を待つコメントが寄せられているといいます。「必ず秋田をにぎやかしに行きますから」。そう力強く宣言してくれました。
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