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まるこさんからの取材リクエスト

パンの「のがみ」が残すところ秋田だけと聞きました。どうして秋田が最後の空白県になるのでしょうか。



高級食パンも…またもや空白県の秋田 「乃が美」46都道府県目が東京

柔らかさが特徴の「乃が美」の食パン
柔らかさが特徴の「乃が美」の食パン

目次

取材リクエスト内容

空白県になぜ秋田がなるのかは物流が関係することはよくわかりましたが、パンののがみ、が残すところあと秋田だけと聞きました。一年ほど前、求人を出していたのでてっきりできると喜んだのも束の間、公式ホームページにものらず、検索してもヒットせず、いまだ秋田にないまま。ハレパンなるほかの生食パンが進出してきましたが、どうしてまたのがみにおいても秋田が最後の空白県になるのか、記事にしてもらいたい。 まるこ

記者がお答えします!

松屋やサイゼリヤといった全国どこにでもあるような気がするチェーン店の「空白県」となっている東北・秋田。6年前に創業したにもかかわらず、ほぼ全国に店舗を広げている食パンの専門店「乃が美(のがみ)」は、「高級『生』食パン」を商標登録するなど高価格帯の食パンブームの先駆者的な存在ですが、この店も全国で唯一、秋田に店舗がありません。またもや物流が原因なのか、その理由を探りました。(朝日新聞秋田総局・神野勇人)

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【「あの店」シリーズ】
①全国唯一「イオンがない県」福井 スタバもツタヤもあるのに…なぜ?
②ある日、イオンが消える……「残された」住民の思いを聞いてみた
③あのマークの色違い! ヨークベニマルって一体…ヨーカドーの親戚?
④秋田は色んな空白県…松屋もサイゼも 「結果最後に」いきなりできた
⑤2割閉店のバーガーキング、福井や鳥取では健在 イオンはなくても…
⑥高級食パンでも…またもや空白県の秋田 「乃が美」実は46都道府県に
⑦「イオン、絶対反対」貫いた男性の20年 孫の送迎でも入らない駐車場

きっかけは「ファン」の願い

今年4月、withnews編集部に1本の取材リクエストが届きました。

「乃が美が1年ほど前に求人を出していたので、てっきり秋田にできると喜んだのもつかの間、いまだないまま……」。ファンと思われる方からの、切実なお願いでした。

乃が美は、秋田を除いた46都道府県に計131店舗(6月3日時点)を展開し、1日に約5万5千本のパンを売り上げているそうです。根強い人気ぶりに驚きました。これまで高級食パンを食べたことのなかった記者は、電車の乗り換えなしで行ける秋田のお隣・青森にある店へ向かいました。

JR青森駅から車で15分のところに、2017年10月にオープンした「はなれ青森店」があります。店の周りには、パンを焼く良い香りが。家賃が高い場所にある販売店を除く各店舗では必ず工場を併設し、セントラルキッチンは持たない。それが、乃が美のこだわりだそうです。

開店前の「乃が美 はなれ青森店」
開店前の「乃が美 はなれ青森店」

紙袋入りで800円超え

白を基調としたシンプルなデザインの店内には、トレーやトングといった「パン屋」らしい道具はありません。棚にはレギュラー(2斤・税込み864円)、ハーフ(1斤・432円)の食パンが1個ずつと、オリジナルのジャムの瓶が並ぶだけ。

白を基調とした店内に並ぶパンとジャム=青森市
白を基調とした店内に並ぶパンとジャム=青森市

実はレジの後ろに、高級感のある白い紙袋に入った販売用のパンが用意されています。

レジの後ろに並ぶパンの入った白い紙袋=青森市
レジの後ろに並ぶパンの入った白い紙袋=青森市

「パンを焼く作業は、開店中もずっと続きます」と店長の坂本裕美さん(35)。多いときには50人ほどが開店前に並ぶ盛況ぶりで、二つの販売店分も合わせて、1日平均約900本のパンを焼きます。

近隣住民から、本州の最北端の下北半島に住む人まで、人気は幅広いと言います。常連の青森市の女性(59)は「何もつけなくても甘くておいしいの」と満足げ。テレビ番組がきっかけで、初めて乃が美のパンを買うという青森市の女性(35)は「耳までふわふわという食感が気になった」と話します。この日は平日にもかかわらず、開店30分で100本のパンが売れました。

わざとではない

なぜ乃が美のパンが、秋田では買えないのでしょうか。理由を確かめに、発祥の地である大阪市へ向かいました。対応してくれた社長の阪上雄司さん(50)は「(わざと)秋田を外したのではないんですね」と切り出してくれました。

創業以来、西日本から徐々に店舗を増やしていきました。このとき阪上さんが考えたのは、「東京に出んと、日本制覇したろ」。すぐに東京進出をすると、一時的な「はやり」で終わると考えたそうです。

東京を残し、北海道や宮城などの北日本でも、続々と店舗を増やしていきました。ただ秋田では、物件探しに難航しました。パンを焼くことが出来る電力が必要な上、場所選びを間違えると周辺には車の行列が出来かねません。車社会ならではの悩みです。

乃が美が秋田にない理由を明かす社長の阪上雄司さん=大阪市
乃が美が秋田にない理由を明かす社長の阪上雄司さん=大阪市

まさにそのタイミングで、「開業5周年で店舗数100店舗、年商100億円」の区切りを迎えました。メディアへの発信を考え、2018年11月、46都道府県目の東京の麻布十番に、先に出店。結果として、秋田が最後の空白県になりました。

味で勝負するために、あえて飲食店にとっての「3等地」に出店してきたといいます。総本店があるのは、繁華街「ミナミ」近辺から2駅分離れた大阪上本町駅。駅から少し歩き、大通りから一歩入った路地裏です。だからこそ、「店周辺に10万人いれば十分な商圏だ」と言い切ります。人口30万人の秋田市への出店時期を問うと、「この秋口から年末にかけて出す計画で動いています」。

【関連記事】高級食パン「乃が美」全国制覇へ じらされ続けた秋田県
 
「乃が美 はなれ札幌店」の前で開店を待つ行列=2018年5月19日、札幌市中央区
「乃が美 はなれ札幌店」の前で開店を待つ行列=2018年5月19日、札幌市中央区 出典: 朝日新聞

高齢者に「可愛がってもらえる」

阪上さんが以前、別の仕事で高齢者施設を訪れたときのことです。歯の悪い入所者が、朝食として出された食パンの耳を残しているのに気付きました。「食べることが一番の楽しみなのに・・・」と残念に感じたことが、耳まで柔らかい生食パンを作ろうと思ったきっかけの一つになったそうです。

秋田は高齢化率が全国一でもあります。「秋田の高齢者の方にも、『こんな柔らかいパンがあんねや』って可愛がって頂けるはず」と自信をのぞかせます。

今も阪上さんのSNSには、秋田への出店を待つコメントが寄せられているといいます。「必ず秋田をにぎやかしに行きますから」。そう力強く宣言してくれました。

食パンを手にする社長の阪上雄司さん=大阪市
食パンを手にする社長の阪上雄司さん=大阪市

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