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人生相談に乗ったら逆に煙たがられた……いったい何が悪かったの?

多くの悩める人たちに向き合ってきたモカさん=モカさん提供
多くの悩める人たちに向き合ってきたモカさん=モカさん提供

目次

恋に仕事に人間関係にと、世に悩みの種は尽きません。自分は何とか折り合いをつけていても、苦しむ知人、友人から相談されることも。そんな時、どう相手と向き合えばいいのでしょうか。年間100人以上の生きづらい人と接してきたモカさん(33)は、こう語ります。「アドバイスできなくていい。あなたがそばにいると感じさせるだけで、相手の心の支えになります」(朝日新聞記者・高野真吾)

世に悩みの種は尽きない。モカさんへの問い合わせも殺到している=モカさん提供
世に悩みの種は尽きない。モカさんへの問い合わせも殺到している=モカさん提供

【関連記事】10連休中、女装バーで開かれた「何もしない会」生きづらさへの救い

〈令和に悩む、出版社勤務 アツシさん(28、仮名)〉(モカさんに寄せられた複数の相談者の事例を組み合わせています。記事の最後に相談窓口の案内があります)

都内の中堅出版社に勤めるアツシさんには、同じ部署に同期がいます。名前はタケシさん。どちらが話題本を作るかライバル関係ですが、苦楽を共にしてきた友人でもあります。

先週、タケシさんと2人で飲みに行った時、仕事上の悩みを打ち明けられました。アツシさんは、よかれと自分なりの忠告をしたのですが、「お前は分かっていない」と切れられてしまいました。

その後、職場で会っても、よそよそしい態度を取られています。

ここ数日、見るからにタケシさんは元気がありません。アツシさんは何かしてあげたいと考えているのですが、何ら行動を起こせません。

イベントに呼ばれることも多い。聴衆は皆、話しに引き込まれる=モカさん提供
イベントに呼ばれることも多い。聴衆は皆、話しに引き込まれる=モカさん提供

モカさんの回答は……

私がしている悩み相談の現場では、相手の悩みというセンシティブなことに触れます。

きちんと言葉を選ばないと傷つけることもある。

言ってしまってはいけないことを言ってしまうかもしれません。経験者の立場で言うと、その怖さは常にあります。

ですが、怖いからといって悩み相談をしてみないと、相手は解決の糸口が見つかりません。

自ら会を催すことも=モカさん提供
自ら会を催すことも=モカさん提供

距離取られたら見守ろう

そうは言っても、解決まで時間がかかる悩みもあるし、アドバイスが難しい悩みもあります。

悩み相談後に、相手に距離を取られたら時、私は相手の悩みに踏み込むことなく、見守るようにしています。

同じ職場の人なら、少し仕事を肩代わりしてあげる。悩みが原因で体調が優れないならば、その分の仕事を引き受ける。

自分ができることが何かを考えてみます。

モカさんが経営するジェンダーフリーバー「フリーメゾン」を紹介するサイト
モカさんが経営するジェンダーフリーバー「フリーメゾン」を紹介するサイト

アドバイスできなくていい

たわいのない話でリラックスできる時間を作ることもあります。

悩みに触れなくても、アドバイスできなくてもいいのです。

困っている人は頼れる人がいない場合が多い。相談されるということは、頼られる人の候補だと言えます。悩みを聞かなくても、そばにいることを感じさせるだけで、相手の心の支えになることがあるのです。

哲学漫画を出版した経験も=モカさん提供
哲学漫画を出版した経験も=モカさん提供

もう一歩だけ踏み込んで

まずは婉曲に「どうしたの? 元気なさそうだけど」という感じで声を掛ける。

ある程度、親しい関係でも最初は警戒されます。「別に」と言われても、「何かあったでしょ」と、もう一歩だけ踏み込んで下さい。

すぐに悩みを言いたくないという人もいると思います。

その遠慮する理由を後から、こう話してくれた人もいます。

自分の気持ちを言葉にするのが嫌なのではない。ネガティブな気持ちを聞いた側の人間を暗い気持ちにさせる、迷惑をかけることになるから、ためらうのだと。

モカさんのツイッター。フォロワー数が増え続けている
モカさんのツイッター。フォロワー数が増え続けている

最初はドキドキ

私はこの3年間で600人以上の悩み相談に乗って来ました。私だって、最初の時は、ドキドキしました。

私は18歳で新宿の女装バー、19歳で銀座のホステスで働いた経験があります。26歳の時には、誰でも気軽に女装を楽しめるコンセプトバー「女の子クラブ」を開きました。

こうしたお店で通常の会話の延長線上で、お客さんの愚痴を聞き、時にはちょっとした相談に乗ることはありました。ですが、悩み相談はまた別物です。

開く会では、時に参加者に向け思い切った提案をする=モカさん提供
開く会では、時に参加者に向け思い切った提案をする=モカさん提供

絶対にいいと信じて

悩み相談を始めた頃、相手の悩みを解決できるかどうかは、分かりませんでした。

それでも、してあげる行為、やってあげようとする気持ちが私にあることは、絶対にいいことに違いないと信じました。

自分を奮い立たせ、初日は5人と話をしました。相手の話を聴き、具体的な解決プランスを示す。できることからやってみました。

モカさん自身、休む時間を大切にしている=モカさん提供
モカさん自身、休む時間を大切にしている=モカさん提供

冷ややかな反応来たが

一部の人たちからは「何やっているの?」「頭おかしくなったんじゃない」と冷ややかな反応が来ました。「自分が寂しいから、構って欲しいのでは」との声も聞きました。

しかし、続けていくうちに理解者は増えました。

ドキュメンタリーとして取り上げられ、新聞記事になり、ネットメディアで紹介されました。この4月には、私の半生や悩み相談の現場を紹介する本も出ました。

書籍にイラスト入りでサインすることも=高野真吾撮影
書籍にイラスト入りでサインすることも=高野真吾撮影

声掛ける勇気から

こうした経験を踏まえ、言えることがあります。

やっぱり自分のことを気にしてくれている人が側にいるのは、すごく励みになるのです。

相手を気にすること、声を掛ける勇気から一歩目がスタートします。

多くの人にできることです。
     ◇
モカ、1986年3月、東京生まれの元男性。トランスジェンダーとして、東京・新宿2丁目を中心に複数の飲食店などを経営する。29歳の時、自殺しようとマンション屋上から飛び降りたものの、奇跡的に生還。現在は、電話や対面で生きづらい人やLGBT当事者の人生相談に乗る活動を続けている。自身の半生を題材に、描き下ろし漫画を含む書籍『12階から飛び降りて一度死んだ私が伝えたいこと』(光文社新書)を4月に発売。

モカさんが4月に出版した『12階から飛び降りて一度死んだ私が伝えたいこと』
モカさんが4月に出版した『12階から飛び降りて一度死んだ私が伝えたいこと』
4月に発売された、モカさんの半生を描いた『12階から飛び降りて一度死んだ私が伝えたいこと』(光文社新書)

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■24時間こどもSOSダイヤル
0120-0-78310

     ◇

■こどものSOS相談窓口(文部科学省サイト)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/06112210.htm

     ◇

■いのち支える窓口一覧
http://jssc.ncnp.go.jp/soudan.php

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