話題
ツッパリするなら正しくな! 突っ張り棒の社長が「ツッパリ嬢」に
あなたの家の突っ張り棒、正しく取り付けられていますか?
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あなたの家の突っ張り棒、正しく取り付けられていますか?
突っ張り棒を作っている会社の社長が「ツッパリ嬢」になって正しい使い方を指南するポスターが、ネット上で注目を集めています。会社の担当者や「ツッパリとヤンキーは違う」と話す仕掛け人たちに話を聞きました。
突っ張り棒の大手メーカー・平安伸銅工業(大阪市)が今月14日、全11種類のポスターを発表しました。
登場しているのは3代目社長の竹内香予子さん(37)で、スケバン風のメイクと衣装が印象的です。
1枚目は突っ張り棒を手に「てめぇらが使ってる突っ張り棒の大体は突っ張れてねーんだよ!」のキャッチコピー。
2枚目は「三代目社長 竹内カヨ子 ツッパリ嬢 見参」と自己紹介で、3枚目以降は突っ張り棒の正しい使い方を伝えています。
以下、9つの掟(おきて)とその解説を紹介します。
突っ張り棒は、突っ張り棒のキャップと壁との摩擦力が大きいほど強度が増します。摩擦力を高めるために凸凹がない平らな壁に取り付けしてください。土壁や凸凹が多い壁は摩擦力が落ちてしまい、取り付けても規定の強度が出ない恐れがあります。
ジャッキ式の突っ張り棒は、先端が錐状に尖った「長さ固定ネジ」をパイプに貫通させて、2本のパイプを固定する仕組みになっています。長さ固定ネジがパイプに貫通していないと、突っ張る力でパイプが内側に滑り込んでしまう恐れがあります。なので、長さ固定ネジは根本が見えなくなるまで締めて、しっかり貫通させてください。
突っ張り棒のキャップは四角いキャップの場合、上下があります。出っ張りが短い部分を上にするのが正解です。下の部分が長いことで、使用後にパイプがたわみ壁と突っ張り棒のキャップとの間に隙間が生まれても接地面が残り、落下しづらくなる効果があります。
バネ式の突っ張り棒は、まず取り付けたい長さより数センチ長めにサイズを調節します。そのうえで細いパイプ側のキャップを壁に押し当てて取り付けたい隙間に押し込むように取り付けます。パイプを回しながら取り付けすると、内蔵されたバネの反発力が生かされず取り付けが弱くなる上、バネを破損させてしまう可能性があるのでやってはいけません。
突っ張り棒のキャップと壁の間に隙間ができないために、突っ張り棒は床と水平に取り付けてください。隙間ができると壁とキャップの摩擦力が十分に生まれず、落下してしまう恐れがあります。
突っ張り式の家具固定具はネジ釘いらずで災害時の被害を軽減してくれる頼れるアイテムです。正しく使って、大切な家族や自分自身の命を守りましょう。
突っ張り棒の強度を高めるために、間に何か挟まれる方がいますが、これは逆効果です。突っ張り棒は壁と突っ張り棒のキャップの摩擦力が最大になるように設計されています。間に何か挟むと、かえって摩擦力が落ちて滑り落ちやすくなります。
突っ張り棒はネジ釘いらずで取り付けられる便利さが魅力です。一方で、取り付ける壁の状態や使用する長さによって強度が変わってしまいます。なのでお客様ご自身で日頃から突っ張る力が弱くなっていないか、棒や壁の状態を数ヶ月に1回は確認していただき、場合によってはジャッキの締め直しをしたり取り付ける場所を見直して頂きたいです。こうすることで「突然落ちる」というショックを回避できます。
突っ張り棒には使用に際して守っていただきたい「耐荷重」が決まっています。規定の耐荷重以上の重さを掛けるとパイプのたわみが大きくなったり、突っ張り棒のキャップと壁の摩擦が重力に耐えられなくなったりして、結果突っ張ることができなくなって落下してしまいます。
なぜ社長をツッパリ嬢にしたのか? 広報担当の内藤紗希さんは、理由をこう説明します。
「SNSなどで『突っ張り棒が落ちた』といったコメントを拝見して、ちゃんとした取り付け方が伝わっていないのではないかと思ったんです」
説明書には書いてあるものの、それを読んでもらうための努力が足りなかったのではないか?
そんな時、竹内社長が電通の日下慶太さんとイベントで知り合い、ポスターを作ることになったそうです。
日下さんは、200枚以上のユニークなポスターを制作して話題になった文の里商店街(大阪市阿倍野区)の企画の仕掛け人です。
日下さんのチームがまず取り組んだのは、取り付けのポイントについて詳しく聞くことでした。
「つっぱり棒博士」として雑誌やTVなどで活躍している竹内社長のセミナーに参加。
「聞けば聞くほどいろいろポイントがあるなと思って、それを全部ポスターにしようと思ったら9枚になりました」と日下さん。
制作にあたって意識したのは「ツッパリ」と「ヤンキー」の違い。
「ツッパリとは硬派で、正義感が強い。そこを意識しながら下品にならず、まっすぐに伝えようと思いました」
文の里商店街の企画でも一緒だった秦久美子さんがキャッチコピーを考案。平安伸銅工業からもすんなりOKが出たそうです。
初めてポスターを見たときのことについて、内藤さんはこう振り返ります。
「ストーリーもあって、こちらが伝えたい内容もくみ取られている。簡潔でインパクトのあるポスターだと思い、一発OKでした」
社長の写真撮影時は「表情がつくれなかったらどうしよう」「機嫌損ねたりしないかな」と周囲が心配したそうですが、取り越し苦労でした。
細かく指示してないのに、なぜか完璧な睨みつけの表情。中森明菜さんの曲が流れる中、終始ノリノリで撮影に挑んでいたそうです。
「しっくりきました。はまりそうです」と振り返る竹内社長。過去について尋ねると「中2でプチ家出をしたくらいしかありません」とのこと。
ポスターが話題になったことについて、内藤さんはこう話します。
「日用品として定着している突っ張り棒の正しい使い方を、この機会に知っていただけるとうれしいです」
日下さんは「『間に何か挟むと厄介なことになるんだよ!』というコピーがありましたが、社長と直にやりとりできたのがうまくいった理由かなと思います」と冗談っぽく笑っていました。
◇ ◇ ◇
ポスターは5月末まで、大阪市のダイキなんば店などのホームセンターで貼り出す予定です。
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