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エンタメ

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指原莉乃はHKTの「できすぎたお姉ちゃん」 グループ卒業に思う

28日の横浜でのコンサートでAKB48グループを卒業する指原莉乃さん(写真は2018年2月、春のアリーナツアー初日神戸公演)
28日の横浜でのコンサートでAKB48グループを卒業する指原莉乃さん(写真は2018年2月、春のアリーナツアー初日神戸公演) 出典: 朝日新聞

目次

 HKT48の指原莉乃さんの卒業コンサートが28日、横浜スタジアムで開かれます。バラエティーやトークで才能をいかんなく発揮する一方、HKTの劇場支配人兼任をはじめ、アイドルグループのプロデュースでも幅広い活躍を見せる指原さん。福岡在住時に劇場に通い、HKTのファンであるコラムニストの青木るえかさんに、指原さん、そしてHKTへの想いを寄せてもらいました。

2018年12月、指原さんが卒業を発表したTDCホールでのライブ。トロッコで客席を移動しながら観客を煽る指原さん
2018年12月、指原さんが卒業を発表したTDCホールでのライブ。トロッコで客席を移動しながら観客を煽る指原さん 出典: 朝日新聞

コラムニストの青木るえかが見た指原莉乃

 指原莉乃がAKB48グループから卒業する。

 指原さんは人気者だからファンもいっぱいいるが、すごいアンチな人もいっぱいいる。前田敦子も大島優子もそうだったが、指原莉乃はことにそうだ。

 でもファンにしろアンチにしろ「指原莉乃はアタマはいい」と認めている。ファンは「さっしーみたいにアタマよくて可愛い新時代のアイドルはいない」と思ってるし、アンチの方は「たいして可愛くもないのにずる賢く芸能界泳いでやがる」と思っている。

2018年2月、春のアリーナツアー初日神戸公演。寸劇を披露する指原さんたち
2018年2月、春のアリーナツアー初日神戸公演。寸劇を披露する指原さんたち 出典: 朝日新聞

総選挙4位→HKT、激動の移籍

 私も実のところ、2012年までは「なんでAKB選抜総選挙で4位なのかさっぱりわからん。いやわかるけど。芸能界によくあるテの芸風なだけじゃん」とか思っていたのが指原莉乃さんだった。

 ほんとうに申し訳ない。私の目は節穴でした。

 2012年は指原莉乃にとって節目の(?)年である。選挙で4位になった直後に「過去の男性ファンとの交際」が週刊誌にタレこまれて発覚し、秋葉原のAKB48から福岡のHKT48へと移籍。激動だ。

 HKTに移籍してから、私は指原莉乃の本当の能力を知ることになる。というのも私はHKTのファンなのだ。HKTしか見ておらずAKBやSKEやNMBには対抗心があり、HKTがいちばん発展してほしいと拳を握りしめている。

 そういう状態で指原莉乃という人がHKTにやってくる。HKTの中でどういう振る舞いをしてHKTをどう変えるのか変えないのか。それを身近に見ることになったわけだ。

2012年7月、指原さん移籍後、初の劇場公演。多くの花が飾られ、歓迎ムードが醸し出された
2012年7月、指原さん移籍後、初の劇場公演。多くの花が飾られ、歓迎ムードが醸し出された 出典: 朝日新聞

みんなが「さっしー」に傾倒した

 で。すっかり見方が変わった。手のひら返しすぎて恥ずかしいぐらい変わった。

 最初、「そりゃ総選挙4位がいきなり来たらチヤホヤされるわな」と冷めた目で見てたが、そんなんじゃなかった。指原莉乃はあっという間にHKTの人になり、HKTのメンバーもファンもあっという間に指原莉乃に「ついていきます」と誓うことになった。

 指原莉乃はお姉ちゃんになったのだ。年齢のことではなくて、大家族モノのドキュメンタリーに、できすぎた長女ってのがよく出てくる。あの長女のような存在にすぐなってしまった。スキャンダルでいきなり飛ばされてきたHKTで。「しっかりしていて、テキパキしていて、やさしくて、ぶっちゃけた話もできるが怒るときはガーッと怒るがあとを引かないお姉さん」

(ちなみに、今話題の「運営」「AKS」というのは、いろんなところでどんどん子供を生んで、その面倒は長女だの次女だのにさせっぱなしにしている「親」みたいなものだろうか)

 もう一瞬にして、HKTのメンバーたちは「おねえちゃーーん」と懐いてくっついて歩き回るというようになったのである。神セブンの先輩だから、ではなく人間としてみんなが「さっしー」に傾倒してしまった。それで土台もまだ固まってなかったHKTががっつりまとまってしまったのである。

2013年11月のHKT劇場2周年記念公演。加入間もない矢吹奈子さんと、指原さん(右)、同じくAKB48から移籍した多田愛佳さん(左)。多田さんもチームK4キャプテンとして、多くのメンバーに愛されながら、若いメンバーの成長をあと押ししました
2013年11月のHKT劇場2周年記念公演。加入間もない矢吹奈子さんと、指原さん(右)、同じくAKB48から移籍した多田愛佳さん(左)。多田さんもチームK4キャプテンとして、多くのメンバーに愛されながら、若いメンバーの成長をあと押ししました 出典: 朝日新聞

 出来すぎみたいな話で、もし指原さんが他の支店でこれをやってたら私は「いいように利用されてんのに懐柔されちゃって」ぐらいのことは毒づいてたと思う。

 しかし、自分の応援するグループにやってきて、今まではまとまりもなくキャッキャやってた集団が「グループアイドルとしての楽しさ可愛さ、そしてドライブ感」みたいなものを身につけてがちっとまとまった。「さっしー」という人を核として。

 そんなものを目の前で見てしまったら、「あああ指原莉乃はすげえ」ってなりますよ。もうHKTのファンとしてはすごい「恩人」だし、そして恩人なだけじゃなくて「好きになってしまう」のですよ。

2014年3月にあった九州7県ツアーファイナルの福岡公演。当時はオリジナル曲が少なかったこともあり、ほかのグループの曲を披露することも多かった
2014年3月にあった九州7県ツアーファイナルの福岡公演。当時はオリジナル曲が少なかったこともあり、ほかのグループの曲を披露することも多かった 出典: 朝日新聞

HKTでの指原莉乃

 ちょうどそのあたりから、彼女は総選挙で1位に上りつめていくわけですが、HKTをあれだけのグループに育ててくれた、という手腕を見てたら「そら1位になるのも当然だわ」と納得する。

 指原さんがテレビ番組でピンで使われるようになったのも、事務所の力がどうとか言われるけど、HKTのファンが見た「指原莉乃パワー」みたいなものを、芸能界の人も同じように感じて「これはウチの番組にどうしても出したい」ということになり、いったん出したら「これからも出てくださいたのむから!」になるだろう。

 ただ、芸能界での指原莉乃と、HKTでの指原莉乃は少しちがう。

 HKTの中にいる時の指原はもっとずっとナマの人間味が漏れ出してしまって、怒ったり、泣いたり、おろおろしたりする。コンサートの時に、大量の自分の妹たち(=メンバー)に囲まれて、実はふだんあんまりしゃべったこともない妹を、ここでもり立ててやらなきゃと必死になってる姿とかは、なかなかテレビでは見られない。そんな指原莉乃の姿を、HKTのファンは心の中で手を合わせながら見ている。

2018年2月、春のアリーナツアー初日神戸公演。HKTとして初アルバム発売もあり、オリジナル曲、楽曲の幅が広がった
2018年2月、春のアリーナツアー初日神戸公演。HKTとして初アルバム発売もあり、オリジナル曲、楽曲の幅が広がった 出典: 朝日新聞

お姉ちゃんが家を離れる日

 指原莉乃はAKBグループを卒業しないんだと思っていた。「このアパートの中にごちゃごちゃいる家族の中に、お姉ちゃんは必ずいる」もんだと思い込んでたのだ。お姉ちゃんだっていつかは就職や結婚で家を離れて、自分のために生きていく日が来るということを忘れていた。

 4月28日日曜日。横浜スタジアムの指原莉乃卒業コンサート。スタジアムのダイヤモンドが私にはちゃぶ台に見える。あの巨大なスタジアムは、大家族が押し合いへし合いしているアパートの一部屋なのだ。当日、たくさんの妹たちが飛び回って走り回っている中で、一緒になって遊んだり笑ったり怒ったりしている指原莉乃。でも明日にはお姉ちゃんは家を出るんだ。まだ保育園の妹はみんな泣いちゃっているけど。おしっこもらしたりしちゃってるけど。

 でもお姉ちゃんも幸せになる権利がある。AKBグループにいることが不幸っていうんじゃないが。別に妹のことは見捨てやしないと思うけど、新しい自分の家族のほうが大事だからそっちを優先でいいですよ指原さん。今までありがとう。

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