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うんこミュージアムに「うんこ学会」が潜入 「まさに未来像」と興奮

うんこミュージアムを訪れた日本うんこ学会の石井洋介会長
うんこミュージアムを訪れた日本うんこ学会の石井洋介会長

目次

カップヌードルにアンパンマン、人気のミュージアムが集まる横浜に新しくできた「うんこミュージアム」。オープン1週間で1万人突破と、大人気です。カラフルなうんこと戯れる話題のスポットに、日本うんこ学会の石井洋介会長が「潜入」しました。「この空間にいると、うんこについて語るきっかけができる。まさに未来像」。大事だけどなかなかオープンにできないからこそ、エンタメによる、新たな向き合い方に可能性を感じていました。(朝日新聞横浜総局・鈴木孝英)

日本うんこ学会についてはこちらの記事に

うんこって平和の象徴

学会公式ユニホームの白衣をまとった石井会長が、異世界へのドアを開けると、頭にうんこを乗せたハイテンションガールがお出迎え。始まって1分、何が何だか分からないうちに、知らない人たちと一緒に「うんこ!」と叫ぶ石井会長。自身もスマホゲームというエンタメの力で大腸ガンの啓発をしており、さぞアゲアゲで挑むのかと思いきや意外と冷静。気恥ずかしさがありそうです。

と思ったのも、束の間。カラフルなうんこがインスタ映えする「ウンスタジェニックエリア」に来ると、開発責任者の小林将さんとうれしそうに自撮りをしています。30歳を過ぎた大の大人の距離が、こんなにすぐ縮まってしまうのはなぜなのか。

「うんこって、ある意味平和の象徴なんでしょうね。許せるやさしさというか。もしここで意見のぶつけ合いをしても、怒りのボルテージが上がって噴火するとかはなさそう」

自撮りをする石井洋介会長(左)と開発責任者の小林将さん
自撮りをする石井洋介会長(左)と開発責任者の小林将さん

興味深かったのは、二つ並ぶ便器に仲良く座る「うんこカップル」。絶妙な距離感と角度になっており、座るとお互いの膝が必ずぶつかります。半強制的に身体的接触を生ませることで、関係性を加速させる設計のようです。

「座ってみると、一緒に温泉に入ったような、気心の知れた感がありました。そういえば医療チームを作る時も、『空間、時間、体験』を共有することで良い関係が作れると言います。ここまで考えているのか……」

「思うと、友人同士でも体を接触させる機会はめったにありません。こういう体験をきっかけに、普段とっているコミュニケーションの取り方も振り返ってみると面白そうです」

「うんこカップル」に座る石井会長と小林さん
「うんこカップル」に座る石井会長と小林さん

「死」と境遇似ている

この空間にいると、うんこについて語るきっかけができそうという石井会長。「『そういえば最近便が細いんだよね』とか。うんこに限らず例えば『病気』や『死』など、きっかけがないとなかなか話せない話題も、ここに来ることで話せるようになるかも。そう思うと、『うんこ』と『死』は、境遇が似ていますね」

――どういう意味ですか?

「身近にあってとても大事な存在ははずなのに、うまく隠されてしまっている。でも、これからはきちんと向き合っていかなくてはいけない存在です。今の病気は、見えない、気づかない」

「例えば大腸がんは、発見したときにはもう手遅れというケースがたくさんあります。でも、がんの予兆は便が細くなる・下痢と便秘を繰り返す・残便感がある・血便が出るなどがうんこの症状に現れる。もう一度自分のうんこと向き合うことで助かる命があって、この館はそういうことを話すきっかけとしても、すごくポジティブですね」

小学校1年の時、全校集会でうんこをもらしてしまった経験のある石井会長。あの時は「トイレに行きたい」とは言えなかったといいます。その後、潰瘍性大腸炎を発症させ大腸摘出、一時は人工肛門を余儀なくされた自身の辛い経験が、うんこと向き合うことの大切さを実感させます。

うんこミュージアムを楽しむ石井会長(右から2番目)
うんこミュージアムを楽しむ石井会長(右から2番目)

うんこ話を自然にできるのが未来像

うんこミュージアムでは、初対面同士が便器に座る姿を披露しあうなど、普段の生活ではなかなか経験しないことに向き合います。

はじめはちょっと硬かった石井会長も、「ウンタラクティブエリア」では、映像に映し出されたカラフルなうんこを「ぶしゃ、ぐしゃ」と踏みつけ笑顔でした。本当ならばトラウマになりそうな「うんこを踏む」という行為がここでは楽しめます。

うんこにまつわるアイテムが世界中から集められた「ウンテリジェンスエリア」では、中国の蚕の幼虫のうんこを乾燥されて作った漢方薬や、スリランカの象のうんこから作られたノートなどが陳列されています。

来場者が落書きできるコーナーでは、石井会長は迷わず腸のイラストを描きました。ここでも大腸がんの啓蒙活動を怠りません。

うんこミュージアムの象徴「うんこボルケーノ」。高さはなんと3メートル
うんこミュージアムの象徴「うんこボルケーノ」。高さはなんと3メートル

イラストレーターの326(ミツル)さんなど、著名人のイラストなども飾られていますが、よく見ると「マキグソ」の絵が多いことに気づきます。石井会長は「自分のしたうんこを普段いかに見ていないかがわかります。多くの人が、漫画やアニメで目にした『空想のうんこ』を描いています。そのうちリアルなうんこが書いてあるようになったら面白いですよね」。

最後は文字どおりのクソゲーで遊んで、ミュージアムをあとにした石井会長。学会では「うんコレ」というゲームを開発中で、「崇高なクソゲー精神」を共有したひとときでもありました。

「ミュージアムのマキグソは、まるでディズニーのミッキーですね」

童心にかえったという石井会長が、軽食をとりながら振り返りました。

「食事中は汚いことは話してはいけないという暗黙のルールがあると思うんですが、きっと、うんこ話を自然に話せるのが未来像なんだと思います。まさに今こうして話しているように」

小林さんは、うんこミュージアムをカジュアルエンタメと定義しています。「日本でエンタメというと舞台など少し身構えて体験するものという認識があると思いますが、『うんこ』がその敷居を下げることで、幅広い年齢層に楽しんでもらえるエンタメになったと思います」

エンタメの力で大腸ガンの啓蒙活動を進めている石井会長。この日意気投合した小林さんとは、今後イベントなどでコラボを仕掛ける予定だそうです。「うん」がつないだ「縁」を感じる、話題のホットスポットでした。

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