連載
#5 どうぶつ同好会
人気のお土産「カピバラの落とし物」 水族館の知恵と努力の結晶です
竹島水族館で販売されているお土産「カピバラの落とし物」が、ネット上で注目を集めています。
竹島水族館(愛知県蒲郡市)で販売されているお土産「カピバラの落とし物」が、ネット上で注目を集めています。カピバラの形をした立体的なパッケージのお尻部分から、フンのようにチョコが出てくる仕掛けになっています。県内の中小企業経営者たちと連携して完成させた商品で、箱の組み立てなどは水族館職員たちが担当しています。企画した館長に話を聞きました。
昨年の元日に発売された「カピバラの落とし物」(税込み1200円)。
カピバラの写真を使った立体的なパッケージが特徴で、中には個包装されたチョコ菓子が6個入っています。
ポイントは、そのチョコの取り出し方です。
カピバラのお尻の部分に取り出し口があるため、まるでカピバラがフンをしているように見えるのです。
今月中旬、ツイッター上でこのお菓子が紹介されると、「とてつもなく欲しい」「プレゼントされたら嬉しい」といったコメントが寄せられ、話題になっています。
「耐震工事で休館している間に考案して、再開した昨年の元日から売り出しました。人気商品で、多いときは1日100個以上が売れます」
そう話すのは、館長の小林龍二さんです。
「カピバラの落とし物」以外にも、竹島水族館が企画したお土産には「超グソクムシ煎餅」「超ウツボサブレ」があります。
「いずれの商品も『チームグソクムシ』のメンバーで考案したものなんです」と小林さん。
チーム結成のきっかけは、愛知県豊橋市であった中小企業の勉強会に、小林さんが講師として参加したことでした。
そこで仲良くなった経営者たちの中に、デザインができる人、パッケージを作れる人、お菓子を作れる人がいて、一緒に商品を企画することに。
最初に発売した「超グソクムシ煎餅」は、グソクムシの粉末を練り込んだ煎餅で、立体的なパッケージがグソクムシのような形状で、ヒット商品に。
続けて売り出した「超ウツボサブレ」も、ウツボの粉末を入れて実寸大の長いパッケージに。ところが、こちらの人気はイマイチでした。
「フランスパンみたいにバッグからはみ出してオシャレに持ち運んでもらえればと思ったんですが、大きすぎたようで、『空港でチェックされた』といった声もいただきました」
第3弾として世に出したのが「カピバラの落とし物」でした。
竹島水族館でも人気者のカピバラをモチーフにすることは決まりましたが、前2作のように粉末を入れるわけにもいきません。
「何かもう一つインパクトがほしい」と考えた結果、フンに見立てるアイデアを思いつきました。
「当時、うんこ漢字ドリルが人気だったことも背景にあります。ただし食べ物なので、あまりリアルになりすぎないよう、何度もお菓子を試行錯誤しましたし、名前も直接的な表現ではなく『落とし物』と工夫しました」
この商品の箱の組み立て、お菓子の封入、シール貼りなどは、水族館の職員が担当しています。
主な目的は販売価格を抑えるためですが、他にも狙いがあると小林さんは言います。
「チームで作っているのに『水族館はただ売るだけ』とならないように、やれることはやろうと思ったんです。売る方も愛着が湧きますしね」
飼育作業の合間を見て組み立てており、多いときはまとめて200~300個作っています。
それでも連休や週末には人気で売り切れることも。職員の間では「今度のゴールデンウィークの10連休が怖い」とのが上がっているそうです。
そんな手作り感あふれる商品が話題になったことについて、小林さんはこう話します。
「アイデアを出すときは、枕元にもメモ帳を置いて考えました。いろんなことを教わりましたし、自分自身が楽しんで作った商品です。それを喜んでいただき、笑ってもらえるのは、とてもうれしいです」
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