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ファンヒーター=不安引いた 縁起の良いダジャレ100個を卒業制作に
縁起の良いダジャレのような紋様100個を並べた大学生の卒業制作が、ネット上で注目を集めています。
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縁起の良いダジャレのような紋様100個を並べた大学生の卒業制作が、ネット上で注目を集めています。
「ファンヒーター=不安引いた」「LED=得る良いDAY」「ライオン=来恩」――。そんな縁起の良いダジャレのような紋様100個を並べた大学生の卒業制作が、ネット上で注目を集めています。なぜ、このような作品を作ろうと思ったのか? 作者に話を聞きました。
「我が兄貴は卒業のために1年間ただひたすらに縁起のいいダジャレを考え続けていたそうな」
2月9日、そんな文言とともに、100個の紋様が記された展示物の画像がツイッター投稿されました。
身の回りのモノや生物と、縁起の良い語呂合わせを組み合わせたもので、「洒落紋(しゃれもん)」と名付けられています。
この投稿に対して、「商品化してほしい」「ステキなお兄さんじゃないですか」といったコメントが寄せられ、リツイートは1万2千、いいねは3万1千を超えています。
我が兄貴は卒業のために1年間ただひたすらに縁起のいいダジャレを考え続けていたそうな pic.twitter.com/IgL1dlNUcp
— しみ (@DrMush11) 2019年2月9日
「弟のツイートには1年とありますが、実際は昨年5月末から12月にかけての約半年間です」
そう話すのは、洒落紋の作者で京都造形芸術大学キャラクターデザイン学科の4年生・清水陽さん(23)です。
もともとロゴマークやシンボルマークを考えるのが好きだったという清水さん。
卒業制作に何を作ろうかと考えたとき、こんな思いが浮かんだそうです。
「東京出身の自分が京都の大学に通った意味って何だろうと考えたら、京都といえば歴史、歴史といえば家紋といった具合につながっていきました」
家紋について調べてみると、意匠に縁起物を用いたものが多くあり、その縁起物が語呂合わせや洒落をモチーフにしたものが多くあることに気づきました。
「それならば、現代の様々なものに当てはめて『新しい縁起物』として表現できないかと思ったんです」
昨年5月末から制作がスタートして、10月末までに100案が完成。
散歩しながら目に入ったものなどをきっかけに作ったそうで、考えるポイントは以下の3点でした。
(1)名前がそのまま縁起が良いもの
(2)縁起が良い特徴があるもの
(3)この2つを組み合わせて語呂合わせしたもの
思いついたアイデアは毎週、指導教員である太木裕子・准教授やゼミ生の前で披露したそうです。
「自分は面白いと思ったものでも、他人が見て笑えるものになっているのかが心配でした。ダメ出しをもらって何度も修正した洒落紋は、やっぱり思い入れがあります」
当初50案ほどを想定していた清水さんに対して、「100は作ってみたら」とアドバイスしたという太木さん。
「これだけの作品を完成させられたのは、彼がこれまで良い人間関係を築いてきたからこそだと思います」(太木さん)
100案が固まった後、12月24日の最終発表までの2カ月で、それらの紋様を使ったトートバッグや缶バッジ、財布などのグッズも製作しました。
「家紋って着物などで実際に使うものじゃないですか。だからこそ、ただデザインを完成させておしまいにするのではなく、グッズも作ろうと思ったんです」
そして2月9日から始まった卒業展。会場を訪れた清水さんの弟が写真を撮影してツイッターに投稿したところ、すぐに話題になりました。
「弟が投稿するところから知っていたので、数字が伸びている様子も見ていました。みなさんの反応が好意的なものばかりだったので、作って良かったと思いました」
話題になったことについて、弟はこう言います。
「友人らに向けて何げなく載せたのに、こんなことになるとは思いませんでした。卒業展に足を運ぶ人が増え、兄の作品だけでなく他の大勢の方々の作品を知ってもらうきっかけになったのであればいいなって思います」
弟から「飯おごって」と言われているという清水さん。「ラーメンぐらいならいいかな」と笑います。
4月からは会社員になり、ゲームのUI(ユーザーインターフェイス)デザイナーとして働く予定です。
「卒業制作は、作った自分も楽しみながらできました。洒落紋をさらに突き詰めて、発表する機会がもてたらいいなと思っています」
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