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アジア杯PK弾の堂安、ベトナムにルーツ?地元メディアが注目の理由

名前が注目を集めた堂安律選手(左)。24日の試合では、ベトナム代表のドアン・バン・ハウ選手と「DOAN対決」が実現した
名前が注目を集めた堂安律選手(左)。24日の試合では、ベトナム代表のドアン・バン・ハウ選手と「DOAN対決」が実現した 出典: 朝日新聞/ロイター

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 24日にあったサッカーのアジア・カップ準々決勝で、日本代表がベトナム代表を1-0で下し、2011年大会の優勝以来、2大会ぶりにベスト4に勝ち上がりました。その対戦相手ベトナムの地で、決勝点のPKを決めた堂安律選手の名前が注目を集めています。「堂安律はベトナム人ではありません」と、ベトナムメディアがファンに注意を促しているのです。なんで?(朝日新聞ハノイ支局長・鈴木暁子)

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ベトナムでも注目が高かった日本―ベトナム戦。居酒屋で画面に見入る人たちも=ハノイ
ベトナムでも注目が高かった日本―ベトナム戦。居酒屋で画面に見入る人たちも=ハノイ

ベトナムではポピュラーな「DOAN」

 サッカー専門のウェブメディア「ボンダーネット」は22日、「堂安律はベトナム人選手ではない」というタイトルの記事を配信しました。「堂安律は1998年、兵庫県尼崎市生まれの日本人です。その名前のため、多くのファンがベトナム生まれなのではないかと考えてきました。ですが、最近確認できました。彼は両親とも日本人で、ベトナムにルーツはないのです」

 はい、かなりがっかりしていますね。なぜここまで混乱したのか、そのもとを知るには、堂安選手のユニフォームの背中を見るのが一番です。

 背中に大きく書かれたアルファベットは「DOAN」。ベトナムではドアンさんは、名字にも名前にもものすごくよくある、例えば「田中さん」みたいな名前なのです。「えっ、このすごい選手ベトナム人?」と思われたとしても仕方がないかもしれません。

 24日のネットメディアZingも、「日本のメッシ堂安律がベトナム人選手と勘違いされている」と報じ、「多くの人が堂安はベトナムにルーツがあると思っていますが、堂安は日本の名字、DO(堂)AN(安)です」と丁寧に説明していました。

 じつは24日の試合では、ベトナム代表にもDOAN選手がいました。ディフェンダーのDoan Van Hau(ドアン・バン・ハウ)選手です。DOANはドアン選手の名字。まさに日越の”DOAN対決”が繰り広げられていたのです。


ベトナム人はサッカー大好き国民

 ベトナムでサッカーがここまで大きな話題になるのは、ベトナム人がサッカー大好き国民だからです。世界ランキングは日本の50位に対し、ベトナムは100位ですが、昨年1月の23歳以下(U23)アジア選手権では準優勝と大健闘するなど、ぐんぐん勢いにのっています。

 国際試合で勝つたびに、町にはベトナム国旗を掲げた若者があふれ出し、「やったぞー!!」と歓喜の声を上げながらバイクで町を走り回り、まるでワールドカップで優勝したかのような騒ぎになります。

 このため、試合がある日は道路は大渋滞、タクシーもつかまりにくくなるのです。日本戦の前日には在ベトナム日本大使館が、「熱狂的なファンが群衆となり気勢を上げたり、集団でバイクを乗り回すなどの行為が予想されます」として、安全対策に留意するよう、在住日本人らにメール配信で呼びかけたほどです。

ベトナム代表に声援を送る人たち=ハノイ
ベトナム代表に声援を送る人たち=ハノイ

ますます忘れられない選手になった?

 24日は、私もビアホイと呼ばれるハノイの居酒屋で観戦しました。いつもはもっとベトナムのファンの熱狂で盛り上がるのですが、今回は観戦する人が悲痛な叫びをあげたり、頭を抱えたりする場面がいつもより多かった気がします。それだけ日本がよい試合をしたのでしょう。

 しかも決勝点のPKを決めたのは、日本の堂安選手。サッカー大好きベトナム人にとって堂安選手は、ますます忘れられない選手になったこと間違いなしです。


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