連載
#2 どうぶつ同好会
うっかりバズってしまって… IKEAのサメぬいぐるみに上手に“便乗”
「IKEA」のサメのぬいぐるみ人気にうまく“便乗”したツイートで、注文が殺到しているぬいぐるみ工房があります。

SNSなどで話題になっている「IKEA」のサメのぬいぐるみ。品切れの店舗では「ふるさとの海へバケーションに出かけることになりました」といったユーモアあふれるポップが貼り出されています。そんな人気にうまく“便乗”したツイートで、注文が殺到しているぬいぐるみ工房があります。サメだけで16種類も制作しているという作家に話を聞きました。

こんなツイートです
「サメのぬいぐるみが流行ってるらしいのに別段ご注文が増えてないぬいぐるみ工房のアカウントはこちらです。リアルさでは誰にも・どのメーカーにも負けない!!」
今月19日、そんな文言とともにジンベエザメ、シュモクザメ、メガマウスなど、サメのぬいぐるみの画像がツイッター投稿されました。
IKEAのサメのぬいぐるみが大人気なのを受けて練られた文章。自虐を交えながら、しっかりとラインナップの豊富さを紹介しています。
この投稿に対して、「サメの種類やこだわりがガチ勢」「各種サメの特徴をしっかり捉えていて、全部欲しい」といったコメントが寄せられ、リツイートは2万8千、いいねは4万9千を超えています。
サメのぬいぐるみが流行ってるらしいのに別段ご注文が増えてないぬいぐるみ工房のアカウントはこちらです。リアルさでは誰にも・どのメーカーにも負けない!! pic.twitter.com/wS44NX5sAg
— nuwasu (@nuwasu1) 2019年1月19日
投稿主に聞きました
ツイートしたのは、ぬいぐるみ工房「nuwasu」の曽我阿紀さんです。
陶磁器のデザイナーを経て、2012年からぬいぐるみ作家として活動を開始。サメやクジラ、ペンギンなどを制作・販売しており、個展も開催しています。
販売ページをのぞいてみると、カテゴリーの最上部には「サメ」の文字が。どうやら特にサメに力が入っているようです。
ツイートの経緯やぬいぐるみの特徴について、曽我さんに話を聞きました。
――今回のツイートをしようと思ったきっかけを教えてください
最近、フォロワーさんのタイムラインを拝見していて、某大手インテリアメーカーさんが作られたサメぬいぐるみがよく登場していたんです。「サメぬいぐるみ流行っているのね」と思いつつ、別段お問い合わせやご注文が増えない現状を誰かに訴えたい、と思い投稿しました。

注文が殺到して
――ツイートが話題になったことで注文は増えたのでしょうか
ものすごくご注文いただきました。縫製などは外注に出すのですが、仕込みと仕上げ作業は1人で行っているので、生産量に限界があります。
うっかりバズってしまい嬉しいのですが、ご注文が増えた分、納期が長くなってしまい、お客様には申し訳ない気持ちです。
――サメに対するこだわりがあるのでしょうか
あります。もともとサメが好きで、学生の頃から水族館に行くたびにリアルなぬいぐるみを探していたのですが、全然無くて「では自分でつくろう」と。

細部までこだわりが
――制作しているサメのぬいぐるみの特徴を教えてください
鰓孔(えらあな)、ヒレの数や形が完全に再現されていること、性別があること、です。
サメのオスの生殖器は2本のクラスパーという器官で、体の外にぶらんと出ています。
本物のサメに「ある」ものを、ごまかさずに「ある」状態に作りたいと思ってます。
ちなみにメスのサメには子サメ、卵生のものには卵がついてます。子宮も。

全部で16種類
――現在サメは何種類ラインナップされているのでしょうか
・ホホジロザメ
・ヨゴレ
・ヨシキリザメ
・シュモクザメ
・オオテンジクザメ
・イタチザメ
・ジンベエザメ
・ウバザメ
・メガマウス
・ラブカ
・ニタリザメ
・トラフザメ
・カスザメ
・ネコザメ
・こさめ
・ミツクリザメ
・子ラブカ
・子カスザメ
・子ウバザメ
全部で19種類ですが、ラブカ、カスザメ、ウバザメはかぶっているので、サメの種類としては16です。

苦労している点は
――制作する上で工夫している点や苦労している点は
最近は、品質を維持したまま生産力を上げる工夫を細かく行ってます。型紙を使いやすくしたり、同じ種類を複数仕込んだり。
工夫とは違うかもしれませんが、一度完成した型紙でも、作るたびに図鑑や動画で本物の形状をチェックして細かく修正を入れています。
苦労している点は……あまりないですね。好きな仕事なので、どんなことも楽しくやっております。
ペンギンの一覧表も作りました。価格はあでり、じぇんつー二種が7,500円、小あでり5,200円、ヒゲペン7,700円、38cmコウテイが11,000円、63cmが30,000円、各送料別途です。ご予約は承りますが納期は半年~1年ほどお待ちいただくこともあります。ご了承ください。足やくちばし、首の色お選びいただけます pic.twitter.com/7GMiS3vXmy
— nuwasu (@nuwasu1) 2019年1月22日
――投稿が話題になったことについては
いろんな方がコメントやメッセージをくださって、自分が思っている以上に、サメを好きな方はたくさんいらっしゃるということを実感しました。
20年くらい前だと、深海魚やサメが好きなどと言うと、奇異な目で見られることが多かったのですが、現在はニッチなジャンルの趣味もふつうに公にできるので、いい時代になったなと思います。