話題
どうして多様性が必要なの? ひと目でわかる博物館のイラストが話題
「ボトルネック効果(瓶首効果)」という用語を聞いたことがありますか?
話題
「ボトルネック効果(瓶首効果)」という用語を聞いたことがありますか?
「ボトルネック効果(瓶首効果)」という用語を聞いたことがありますか? この効果をわかりやすく解説した1枚のイラストが、ネット上で注目を集めています。企画展「子どもたちにも伝えたい生物多様性」を開催している鹿児島県立博物館の学芸主事に話を聞きました。
鹿児島県立博物館で2月24日まで開催されている企画展「子どもたちにも伝えたい生物多様性」。
鹿児島に生息している生物を取り上げながら、生物多様性の意味や現状、保全のための取り組みなどを、わかりやすく解説しています。
注目を集めている展示は「個性がなくなる危機」というタイトルのイラストです。
描かれているのは、砂時計のガラス部分のようなもの。中にはグー・チョキ・パーの3種類が入っており、上が昔で、下が今となっています。
かつては数が多かったグー・チョキ・パーですが、真ん中の細くなった部分で絶滅の危機に直面して、チョキだけに。
その後、数は増えて以前と同じくらいになりますが、よく見るとすべてチョキになっています。
そして、下には「もしここにグーが攻めてきたら?」と書かれています。
このイラストが表現しているのが、集団遺伝学における「ボトルネック効果」です。
集団の個体数が激減することで遺伝的多様性が失われ、均一性の高い集団ができることを指しています。
チョキだけになった状態のところに「もしここにグーが攻めてきたら?」と書くことで、生物としての環境変化への適応幅が狭まったことを表しています。
ツイッター上でこのイラストが紹介されると、「すごく分かりやすい」「教科書に載せよう」といったコメントが寄せられ、注目を集めています。
「私たち学芸員は、専門用語を使うことで仕事をした気になって、安心してしまうことがあります。ですので、今回はあえてボトルネック効果という用語を使いませんでした」
そう話すのは、企画展を担当した学芸主事の金井賢一さんです。
当初はグー・チョキ・パーではなく、○×△を考えていたそうですが、館長からのアイデアでジャンケンに変更したそうです。
「環境変化に適応できなくなることを、ジャンケンでうまく伝えられるんじゃないかと。思わず納得しました」
専門用語を聞くとわかった気になるけれど、すぐに忘れてしまいがち。難しい言葉を抜きにしたイラストを、いかにわかりやすく作るかに苦心したそうです。
話題になったことについては、こう話します。
「率直にうれしいです。テレビCMなどをやっているわけではないので、こうやってネット上で話題になることで一人でも多くの人に気づいてもらい、博物館に足を運んでいただくきっかけになればと思います」
1/5枚