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コラム

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「東京こわい」地方出身者が渋谷に行ったら… 覆っていた膜が溶けた

SHIBUYA109に挑みます
SHIBUYA109に挑みます 出典: 朝日新聞

目次

 東京、怖くないですか? 私は怖くて仕方ありません。

 奈良出身、31歳。まだ東京に住んだことはありません。最も接近したのは5年前に勤務した群馬です。その時も大宮で買い物するのが精いっぱいだったのですが今年10月の1カ月間、東京で研修することになりました。この機会に東京を克服したい。目指したのは、思春期のころもっとも輝いていた街、渋谷。SHIBUYA109で買い物できたら、人生変わるんじゃないか。そんな根拠のない思いで恐る恐る109へ足を踏み入れたら…….。

東京の象徴、渋谷

 私にとって渋谷は東京の象徴です。思春期のころ、テレビをつけると渋谷ギャルたちが話題の中心で、そこは非日常でキラキラした世界だったのです。

マネキンも茶髪にガングロでした=2000年11月、大阪市西区のディスプレー会社で
マネキンも茶髪にガングロでした=2000年11月、大阪市西区のディスプレー会社で

109で買い物ができない

 東京へはこれまで就職活動や仕事で何度も訪れました。これまでも触れようと思えば触れる機会はあったのに、意識的に避けてきました。

 そのうち、そこに意味を持たせるため、「あえていかない」という選択をしていると自分に思い込ませるようになりました。本当は逃げてきただけなのです。キラキラなるものから。

 そしてSHIBUYA109で買い物をする、そんな簡単なことができないままもうすぐ32歳を迎えようとしています。相当こじらせてきた自覚があるので、そろそろこんな自分が嫌になってきました。

見つけてしまいました
見つけてしまいました

という訳でやってきました、渋谷

 という訳でやってきました、渋谷。就職活動の時、巣鴨のホテルへ向かう山手線の車窓から、眺めることしかできなかった渋谷。

 JRハチ公改札を抜けると、テレビでよく見るスクランブル交差点が。この辺りをぶらぶら歩いて気持ちを整えながら探そう。そう思いながら交差点を渡っていると、あ、見つけてしまった。109と書かれたビルを。めちゃくちゃ近かった。

近づいてきました
近づいてきました

とりあえず、吉野家

 こんなに早く見つかると思ってなかったので、まだ中に入る勇気がでません。とりあえず目の前の吉野家へ。

 注文はもちろん並盛つゆだく。約20年前、華原朋美さんが食べたと聞いて以来、つゆだく一筋。ついに渋谷で並盛つゆだくを食べる日がきたよ。

ひとまず吉野家へ
ひとまず吉野家へ

いよいよ109へ

 牛丼を食べると気持ちも落ち着いてきました。いざ店内へ。

 入り口からキラキラオーラが漂っています。心臓の音が聞こえます。買うと決めたものの、何を買えばいいのかわかりません。服はハードルが高そうです。

 そうだスマホケースを買おう。それならできる気がする。5Sのケースなんてあるのかな。あ、あった! 奇跡的にありました。

いよいよ店内へ
いよいよ店内へ

キラキラのスマホケース

 問題はどのスマホケースにするか。大きな耳がついたものやフワフワした触感のものなど、普段選ばないようなものばかりです。

 中学生らしき女子2人組が「キラキラがいい」と言っていたし、スタッフおすすめの貼り紙があったのでなんとか選びました。き、キラキラしてるよね。

スマホケース買えました
スマホケース買えました

最大の山場、レジで支払い

 最大の山場、レジでの支払い。私なんて場違いだったんじゃないか。また不安が襲います。

 おそるおそるレジへ持って行くと、あれ、店員さん対応普通。「ありがとうございましたー」とスマホカバーを手渡され、あっけなく買い物終了です。

買い物を終えると自分を覆っていた膜が溶けたよう(写真はイメージ)
買い物を終えると自分を覆っていた膜が溶けたよう(写真はイメージ) 出典: PIXTA

そして膜が溶けた

 やってみると、意外となんでもないことでした。

 買った瞬間、さっきまで自分を覆っていた膜が溶けたようです。冷静になって周りを見渡してみると、イケイケのお姉さんしかいないと思っていた109には、家族連れも高齢の夫婦も海外の観光客もいます。

 服装だって共通項が見つからないくらい、それぞれが自分のスタイルを楽しんでいます。私だって自分がいいと思った服を着ている。何を引け目に感じていたんだろう。堂々と歩けばいいじゃないか。なんだか自己肯定感も高まりました。
 
 渋谷駅へ向かう心持ちは別人のようです。誰かと比較するのではなく、私は私の好きなものを選んでいこうと思えたのです。

そして巣鴨駅へ
そして巣鴨駅へ

巣鴨に報告

 その足で巣鴨に向かいました。就活の時、新宿とか渋谷が怖くて、巣鴨のホテルに泊まっていました。21歳の私を包み込んでくれた巣鴨。10年経って、少し大きくなって帰ってきたよ、巣鴨。ま、スマホケース買っただけだけど。

ありがとう巣鴨
ありがとう巣鴨

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