連載
#9 コミチ漫画コラボ
なぜあんなことに…「謎トガリ」して後悔 高1の文化祭「黒歴史」
「小山くーん。文化祭のクラスTシャツのサイズ書いてなかったよー」
高校1年生だった小山少年のもとに、クラスメイトの女の子が駆け寄ります。文化祭と言えば、クラスでおそろいの服を着るのが定番かもしれません。善意で来てくれた女の子に、小山少年は言います。
「えっ いらないけど。」
「え」
まさかの反応に、女の子もびっくり……。
当時の小山少年は、「謎トガリ」をしていたのです。
高1のころの実体験を描いた小山さん。文化祭以外でも、トガっているキャラはぶれませんでした。
「上履きに架空のあだ名を書いたり、所属していた卓球部では、とても弱かったのですが、たたずまいや表情だけを天才プレーヤーをイメージして振る舞っていました」
「あとは、むやみにダルそうにしていましたね。なんかダルそうにしている人って強そうじゃないですか? 実際はちゃんと3食食べ、睡眠もしっかりとっていたのでとても元気でした。疲れなど残りません」
トガっていた少年も、文化祭を機に「キャラを間違えていた」ことに気づきました。翌年からはちゃんと楽しんだといいます。
「2年生の時は、確かお化け屋敷をやりましたね。割と率先してお化け役を買って出た気がします。でも、張り切るあまり今までの人生で経験のない動きをしていたら、お客さんと思い切りぶつかってしまって『後で大問題になったらどうしよう……』と、とても不安になりました。どうにか教育委員会への強めのコネクションでもみ消そとか思いましたが、そもそもそんなコネクションはありませんでした」
結局、大問題にはならなかったそうです。
小山さんは、「#文化祭の黒歴史」のお題に、真っ先に投稿してくれました。確信犯的行動だったといいます。
「僕みたいに『まだ絵を描き始めて間もない未熟なやつ』が先に飛び込むことで、みんなが『あ、大丈夫だ!あいつにワニが群がっているうちに行こうぜ!』となって盛り上がればという気持ちでした」
小山さんがイラストを書き出したのは、この春からだそうです。
「僕は絵が下手くそなので発想勝負みたいなところがあるんですけど、今回は実体験なのでそうもいかない。じゃあ、みんなが投稿しやすくなるように軸になりそうなモノを描こうと思いました」
いまはコルクBooksなどで作品を発表しています。高1の文化祭の経験も、いまにつながっていることがあるそうです。
「やっぱりキャラクターの作り方は大切だと気づかせてくれましたね。みんな、ある程度キャラクターって作り上げていく部分はあるんですけど、本来の自分と逆方向へ行くのは違いますよね。苦しいだけです。だって、ラッコは仰向けで貝を食べていた方が自然で可愛いじゃないですか。ラッコがうつぶせでガムを食べているのは違うじゃないですか」
小山コータロー
静岡県在住。面白いことを作る作家『違和感コメディクリエイター』と名乗っている。2018年3月、マンガ「だがしかし」の原画展を観に行き感動。急にイラストを描き出す。現在は「図形家族」という4コマ漫画をメインに活動。Twitterで「5秒で読むコント」、noteでコメディ寄りの文章を書いている。12月5~8日、デザインフェスタギャラリー原宿(渋谷区神宮前3丁目)にてグループ展開催。
Twitter:@MG_kotaro
note:https://note.mu/mgkk
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