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紅葉の並木道にキャラメルの香り、「お菓子のような葉」の正体は?

「キャラメルの香り」がするという、この葉の正体は……
「キャラメルの香り」がするという、この葉の正体は……

目次

 紅葉の並木道や秋の森を散策していて、ケーキ店に入ったような甘い香りを感じたことはありませんか? 記者が担当する名古屋市千種区の東山動植物園で「枯れ葉からキャラメルのような甘い香りがする」という話を聞きました。「枯れ葉からキャラメルの香りなんて、まさかね」。最初に聞いたときは半信半疑でしたが、いざ行ってみると本当に一帯が甘い。香りの主は、一体何なのか。「お菓子のような葉」の正体を調べました。(朝日新聞名古屋報道センター記者・里見稔)

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葉はハートの形=11月、名古屋市千種区の東山動植物園
葉はハートの形=11月、名古屋市千種区の東山動植物園

ハート形の葉から甘い香り

 11月上旬、東山動植物園の星が丘門をくぐり左側の側道を上がると、かすかにキャラメルソースのような甘い香りが周囲を包んでいました。景色もキャラメル色に包まれていて、少し幻想的な気分に。

 地面には茶色いハート形の枯れ葉が敷き詰められています。どうやらここが香りの中心のようです。

 近くでスケッチをしていた名古屋市天白区の並川貞子さん(92)は香りの主を知らなかったようです。落ち葉を手にとって、鼻に近づけてもらいました。すると「あら、これだったのね!風とともにふわっと甘い香りがしてたんです!」と驚いた様子。

 その脇にそびえる約10メートルの木にかかっている看板には「カツラ」との表記が。「まさかカツラだとは。お菓子みたいないい香りで、つい深呼吸したくなりますね」と興奮気味でした。

カツラの葉をかぐ、並川さん=11月、名古屋市千種区の東山動植物園
カツラの葉をかぐ、並川さん=11月、名古屋市千種区の東山動植物園

国内に広く自生、「香りを出す」が語源

 園によると、香りを出す(香出ら)ことが語源の通説になっているカツラ。国内に広く自生しているカツラ科の木で、沿道や公園にも植樹され、園には星が丘門のほか、植物園門や日本庭園の3カ所に計4本が植えられています。春に赤い花を咲かせ、秋になって黄葉し乾燥するにつれ、甘い香りを漂わせます。

 名古屋市中区の香水店「アトリエ パルファン」の代表で調香師の田代はなよさんは、「実はカツラの香り成分は、高級香水やプリンのキャラメルといった食品の香料に使われる成分とそっくりなんです」と話します。

東山動植物園のカツラの木。写真は11月上旬時点で、葉はすでに散ってしまった
東山動植物園のカツラの木。写真は11月上旬時点で、葉はすでに散ってしまった

関東ではまだ楽しめる場所も

 東山動植物園のカツラの葉は散ってしまいましたが、25日には、田代さんが実物のカツラの葉を用いながら香りを解説するイベントもあります。同園によると、「個体や地域によって、枯れる時期が異なり、全国的には今月下旬くらいまでは見られる地域もある」とのこと。

 東京都新宿区の都立戸山公園や、茨城県つくば市の国立科学博物館「筑波実験植物園」など、まだ楽しめるところもあるようです。みなさんも、お近くの甘いカツラの香りを探してみませんか。

イベント「香りを楽しむ植物園~カツラの落ち葉~」の詳細はこちら

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