連載
#12 あなたの知らないトイレ
和式トイレの存在理由がわからない ワイドパンツをはいた日は地獄
まだ公共トイレに和式? 駅で、観光地で、たまたま立ち寄ったビルで、和式トイレを見かけるたびストレスを感じます。10年前と比べると洋式トイレの数はずいぶんと増えましたが、わざわざ一つだけ和式を残している施設もあります。洋式の方が清潔で使いやすいはずなのに、なぜなんでしょうか。
和式トイレが大嫌いな理由は、汚いから。
和式トイレの便器の周りには、水分が飛び散っていますよね。これは明らかにおしっこです。たまにコントロール悪すぎるやろ、という低い命中率の便器もあって、気持ちが沈みます。
なぜって、それを踏まないといけないから。
ワイドパンツをはいた日は地獄です。
ふくらはぎですそが止まらないので、太もものあたりまでたくし上げて、ずり落ちないように細心の注意を払います。ひざの高さより尻が上がらなければ大丈夫なのですが、その状態を保てるのなら何かしらの競技で頭角をあらわしていたでしょう。
できるはずがありません。
あれは忘れもしない大学3年の秋。
お気に入りのカーキ色のワイドパンツで和式トイレに入った日のこと。トイレットペーパーを巻いている間、気を抜いて姿勢が高くなり、落下しました。すぐに持ち上げたので、1秒もなかったと思います。
でも確実に地面にお気に入りのカーキ色のワイドパンツが落ちたのです。心の中で3回叫びました。
いまでは和式トイレしかない場所では、一刻を争う時以外は使わなくなりました。一つでも和式がある公共トイレでは、まるでロシアンルーレット。順番待ちの列に並ぶと「どうか和式には当たらないで」と心の中で祈ります。
そして和式が空くと、誰も入ろうせず、後ろの人へ「よかったらどうぞ」のバトンパスが始まります。長蛇の列だと回転が悪くなるのが気になるのと、このバトンを後ろへつなぐことに気が引けて使いますが、相当なストレスです。できることなら使いたくありません。
これだけ使う人がいないのに、どうして和式はまだ残っているのでしょうか。怒りが混じったため息を吐き続けています。
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