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樹木希林さんの言葉つないで広告に… 宝島社の思い、担当者に聞いた

樹木希林さんを起用した、そんなキャッチコピーの広告が掲載されて注目を集めています。

読売新聞に掲載された宝島社の広告
読売新聞に掲載された宝島社の広告 出典: 宝島社提供

目次

 「あとは、じぶんで考えてよ。」「サヨナラ、地球さん。」――。樹木希林さんを起用した、そんなキャッチコピーの広告が掲載されて注目を集めています。樹木さんが残した言葉をもとに制作されたという広告について、宝島社に話を聞きました。

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朝日新聞朝刊に

朝日新聞に掲載された宝島社の広告
朝日新聞に掲載された宝島社の広告 出典: 宝島社提供


 29日付の朝日新聞朝刊に掲載された宝島社の広告。キャッチコピーは「あとは、じぶんで考えてよ。」で、夫の内田裕也さんをはじめとした家族7人の写真が使われています。

 そして、樹木さんが残した数々の言葉が並べられています。

 絆というものを、あまり信用しないの。期待しすぎると、お互い苦しくなっちゃうから。

 だいたい他人様から良く思われても、他人様はなんにもしてくれないし(笑)。

 迷ったら、自分にとって楽なほうに、道を変えればいいんじゃないかしら。

 演技をやるために役者を生きているんじゃなくて、人間をやるために生きているんです。

 代表作?ないのよ。助演どころか、チョイ役チョイ役って渡り歩く、チョイ演女優なの。

 自分は社会でなにができるか、と適性をさぐる謙虚さが、女性を綺麗にしていくと思います。

 楽しむのではなくて、面白がることよ。中に入って面白がるの。面白がらなきゃやってけないもの、この世の中。

 老人の跋扈(ばっこ)が、いちばん世の中を悪くすると思います。

 病を悪、健康を善とするだけなら、こんなつまらない人生はないわよ。

 死に向けて行う作業は、おわびですね。謝るのはお金がかからないから、ケチな私にピッタリなのよ。謝っちゃったら、すっきりするしね。

 “言わなくていいこと”は、ないと思う。やっぱり言ったほうがいいのよ。

 こちら希林館です。留守電とFAXだけです。なお過去の映像等の二次使用はどうぞ使ってください。出演オファーはFAXでお願いします。

 このように服を着た樹木希林は死ねばそれで終わりですが、またいろいろなきっかけや縁があれば、次は山田太郎という人間として現れるかもしれない。

 えっ、わたしの話で救われる人がいる?それは依存症というものよ。

読売新聞朝刊に

読売新聞に掲載された宝島社の広告
読売新聞に掲載された宝島社の広告 出典: 宝島社提供


 同じく29日付の読売新聞朝刊には、「サヨナラ、地球さん」というキャッチコピーで、舌を出した樹木さんの写真とともに、こんな言葉が並んでいます。

 靴下でもシャツでも、最後は掃除道具として、最後まで使い切る。人間も、十分生きて自分を使い切ったと思えることが、人間冥利に尽きるんじゃないかしら。そういう意味で、がんになって死ぬのがいちばん幸せなのよ。用意ができる。片付けして、その準備ができるのは最高だと思うの。

 ひょっとしたら、この人は来年はいないかもしれないと思ったら、その人との時間は大事でしょう? そうやって考えると、がんは面白いのよ。

 いまの世の中って、ひとつ問題が起きると、みんなで徹底的にやっつけるじゃない。だから怖いの。自分が当事者になることなんて、だれも考えていないんでしょうね。

 日本には「水に流す」という言葉があるけど、桜の花は「水に流す」といったことを表しているなと思うの。何もなかったように散って、また春が来ると咲き誇る。桜が毎年咲き誇るうちに、「水に流す」という考えかたを、もう一度日本人は見直すべきなんじゃないかしら。

 それでは、みなさん、わたしは水に流されていなくなります。今まで、好きにさせてくれてありがとう。樹木希林、おしまい。

宝島社に聞きました


 この2つの広告に対して、ネット上では「粋ですね」「永久保存版です」といったコメントが寄せられています。

 なぜ樹木さんを起用した広告を制作したのか? 宝島社の広報担当者は「過去に企業広告にご出演いただいたご縁もあり、追悼の意を込めてご出演いただきました」と話します。

 宝島社は2016年に、樹木さんを起用して「死ぬときぐらい好きにさせてよ」というキャッチコピーの広告を出しています。

 ジョン・エヴァレット・ミレイの名作「オフィーリア」をモチーフにしたもので、仰向けになって水面に浮かんでいる樹木さんが写っていました。

樹木希林さんを起用した2016年の企業広告
樹木希林さんを起用した2016年の企業広告 出典: 宝島社提供


 朝日新聞・読売新聞に掲載された今回の広告。メインのキャッチコピーは新たに考案されたものですが、それ以外は「樹木希林さんご自身の言葉をもとに作った言葉です」とのこと。

 新聞ごとに広告を作り分けた点については、「広告の意図に違いはありません。樹木希林さんからの地球の人々に向けての最後の言葉というテーマで、『ご家族との写真』『おひとりのお写真』、それぞれに合わせてメッセージを作りました」。

 2つの広告に込めた思いについては、こう説明します。

 「死生観、人生観、恋愛観、仕事観……樹木希林さんが残された数々の言葉をもとに、世の中に向けて、樹木希林さんからの最後の言葉として2つのメッセージをつくりました。どう生きるか、そして、どう死ぬかに向き合った樹木希林さんの、地球の人々への最後のメッセージ。どう生きるか、どう死ぬかについて、あらためて深く考えるきっかけになれば幸いです」

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