話題
「パインアメ」コツコツ続けた限定商品の謎! 「社内の禁じ手」とは
「パインアメ」のパイン株式会社には何があっても「絶対できないこと」があるという……。
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「パインアメ」のパイン株式会社には何があっても「絶対できないこと」があるという……。
「買ってよかった」。それはインターネット上のキラーワード。日々、ネット上でいろんな人たちが「これは買ってよかった!」「値段以上に価値があった!」というものを紹介しているのを目にします。そんな「買ってよかったもの」を見ながら、ふと思いました。「買ってよかったもの」をつくったひとは、何を「買ってよかった」と思っているのでしょうか?「究極の買ってよかったもの」を探すため、WEBライターのセブ山さんが企業めぐりをする企画の第1回です。
僕が「買ってよかった」と思ったもの、それは……。
というわけで本日はよろしくお願いします。
はい、こちらこそよろしくお願い致します。
さっそくですが、「ナシアメ」とてもおいしかったです!
ありがとうございます!
なんと言っても「パインアメの会社なのにナシ味のアメをつくっている!」というギャップが面白いなと思ったのですが、なぜ、ナシ味のアメをつくろうと思ったんですか?
実は、パイン以外の味を出すのは、今回が初めてではないんです。
そうなんですか!?
そうなんです、数量限定の商品として定期的にさまざまな味を出させていただいております。
パインアメなのに!?
パインアメなのに、です。
ということは「ナシアメ」も数量限定なんですか?
そうです。今は販売を終了しております。
だから、最近、見かけなかったんですね……。買いだめておけばよかった……。
でも、安心してください。今、新しい味の数量限定商品が出ていますよ。
お! そうなんですか!?
それがこちらの『清見ブラッドオレンジアメ』です。
愛媛県産の「清見オレンジ」と「ブラッドオレンジ」を使用した国産果汁のアメです。ひと袋で2つの味が楽しめます。
おおー! いいですね! さっそく探してみます!
パインアメシリーズの数量限定商品は、ファミリーマート・サークルK・サンクスでの限定販売なのでお買い求めの際はお気を付けください。(一部店舗では取り扱いがない場合もあります)
そういうことなんですね! たしかに、僕がナシアメを買ったのはファミリーマートでした!
それにしても、数量限定商品っていつごろから始められたのですか?
2005年からですね。
えっ! 10年以上前から!? すみません、勉強不足でした…。
いえいえ、販売場所も販売時期も限定なので、なかなか気付きづらいですよね。
そもそも、「見た目はパインアメなのに、別の味をつくる」のはどうしてなんですか?
当時のバイヤーさんに「パイン以外の味をつくれませんか?」と相談を受けたのがキッカケですね。
なるほど、その提案でつくることになったんですね。
いえ! 一度それは「そんなのつくっても売れないですよ、パインアメなのにパイン味以外をつくっても変じゃないですか」とお断りに近い返答をしました。
えー! そうなんですか!?
ですが、そのバイヤーさんに「大丈夫ですよ、パインアメなのにパイン味じゃないって絶対に面白いから! やりましょうやりましょう!」と押し切られまして、「本当に大丈夫かな……?」と半信半疑のまま、初めての数量限定商品をつくりました。
子安さん、押されてますね……。最初の数量限定商品のアメは、何味だったんですか?
「グレープ味」ですね。
へー! その時の売れ行きはどうだったんですか?
それを皮切りに、今では年間5回くらい数量限定味を出させていただいていますので、おそらく良かったんだと思います。その後の商品も、おかげさまで毎回ほぼほぼハズレなく、売り切れております。
今になってみれば、そのバイヤーさんの「パインアメなのにパイン味じゃないって絶対に面白いからやりましょう!」という意見が正しかったですね。
おっしゃる通りです。感謝です。
数量限定商品の「味」はどうやって決めているんですか?
多くの人が「食べたことないなぁ」と思う味は手にとりにくいので、「みんなが想像できる味」を考えています。
どういうことですか?
たとえば、「ドラゴンフルーツ味のアメ」って言われても、味が想像できないですよね。
たしかに。なんかテレビでビジュアルは見たことあるような気がするけど、味は全くわからないですね。ドラゴンフルーツ。
でも、ナシやオレンジだと、味の想像はだいたいつきますよね。そういうものが手に取りやすい傾向にあるので、あまり奇抜なものは避けています。
じゃあ、別にフルーツ以外でもいいんですか?
はい、過去にはフルーツ以外で「ヨーグルト味」や「ジンジャーエール味」なども出しています。あくまで、「想像できる味」を大切にしています。
なるほどー! ちなみに、子安さん! 過去、一番売れた数量限定の味は何なんですか?
これはもうダントツで「スモモ」ですね。
え、スモモアメですか?
「スモモアメ」は毎回売り切れていまして、他の味は1回か2回しかやらないのに対して、スモモだけは10回もやっています。
これは気になる!!
「スモモアメ」は毎年、春の定番としてを出しているので、まだ食べたことのない人はぜひ来年の春をお楽しみに!
(セブ山注・取材後、味見させていただきましたが、「スモモアメ」はさわやかでフルーティーな甘さが特徴的でした。春にぴったりの味!おいしかったです!)
ちなみに、子安さんが個人的に好きなのは何味ですか?
う~ん、そうですね、悩むなぁ。
あくまで個人的な感想で大丈夫です!
それなら、商品化に至っていないんですが「マンゴー」ですかね。
えっ! 商品化していない?
商品化されたものの陰にはたくさんのボツ案があるんです。その中でもマンゴー味は、商品化一歩手前まで残るのですが、毎回、残念ながらボツになってしまうんです。
おいしそうなのに、なんで商品化されてないんですか??
デザインの問題でできないんです。
デザイン? 味じゃなくてですか?
マンゴーのイラストをパッケージに描いても、それが何の絵なのかわかりづらいんですよね。
ああー、なるほど!
マンゴーそのものもイラストだと伝わりづらいし、マンゴーを切ってある絵も、パインアメのパッケージの画風だと、なかなかわかりやすいものが描けないんですよね。
そっか、写真を使えられればわかりやすいパッケージができるけど、それだと今度は「パインアメの製品だよ」ということがひと目でわからなくなっちゃうんですね。
そうなんです。マンゴー味はとてもおいしいのですが……。
マンゴーなんとして食べてみたい!
いつか問題を解決して商品化できたら、ぜひお手に取ってみてください!
ちなみに、セブ山さんが買われたナシアメって、このパッケージでしたよね?
え? はい、たぶんそうだと思いますが。なんですか?
実は、数量限定の商品には、パッケージが他とは違う「シークレット」があるんです。
えー! そうなんですか!? 知らなかった!
シークレットは、9分の1の確率で存在します。
おっ! ということは、ひとつの店舗に、ひとつくらいは必ずシークレットがあるかもしれませんね。
それが、こちらです。
おー、本当だ! 色やデザインが微妙に違いますね!
並べてみると一目瞭然ですよね。
でも、アメってコンビニでは、ひと袋ずつ、つるして陳列されているから、これはなかなか言われないと気付かないですね。
実は、数量限定の遊び心はこれだけじゃないんです。
と言いますと?
外側のパッケージだけでなく、中の個包装にもレアなものが混じっています。
ほほう、個包装ですか。
たとえば、今回の「清見ブラッドオレンジアメ」では、「清美オレンジ」「ブラッドオレンジ」それぞれの味のものに、ゆるキャラが描かれたものと、カラフルな絵柄のものが隠れています。
おー、ゆるキャラ、可愛いですね!
可愛いですよね!
ちなみに、個包装のレアはどれくらいの確率で混ざっているんですか?
ものすごく低い確率で混じっています。実は、僕らもなかなか見たことがないんです。
えー! つくっている人たちも!?
はい、だから見つけた方は超ラッキーです!
それを探しながら食べるのも楽しいですね!
数量限定のアメには、毎回どこかにシークレット要素を入れてあります! 毎回変えてあるので、注意深く探してみてくださいね!
こういったシークレットって、「パインアメ」にはないんですか?
パインアメにはありません。
なんでですか? パインアメでもやったら面白そうなのに!
パインアメの味やデザインには、創業者の想いがあるので、パインアメは気軽にいじれないんです。
えー、そうなんですか? そこはお堅いんですね。
そりゃもう……「パインアメをいじる」というのは、社内では禁じ手とされています。
そんなに!? …あれ? でも、先程、見せていただいた過去のパッケージ資料の中に、パインアメをいじったものがありましたよね?
ほら! パインアメヨーグルト!
………。
子安さん?
これは、異例中の異例なんです……! パインアメをいじったのは、後にも先にもこれ一度だけです!
幻の商品ということですね。
これは、バイヤーさんに「白色というテーマでいろいろな限定商品をつくるキャンペーンを打ち出すのですが、パインアメを白くできないですか?」と相談された時のものですね。
面白そうなキャンペーンじゃないですか。
「パインアメのヨーグルト味ではなくて、ヨーグルトアメなら出せますが……」とお断りしたのですが、「いや、どうしてもパインアメ味のヨーグルト味でお願いしたいです」と押されてしまいまして……。
バイヤーさんが押しに強いのか、子安さんが押しに弱いのか……。
先ほども申し上げた通り、「パインアメをいじる」というのは、社内では絶対に立ち入ってはいけない禁断の領域なのです。
部外者の僕からしたら「別にいいじゃん」と思ってしまいますが、パインアメさんの社内ではすごい重大なことなんですね…!
とはいえ、バイヤーさんには毎回の数量限定商品でお世話になっています。「ここは恩義を返したい」と会社を説得しまして、2008年に無事に商品化されました。
すごい! 今度は子安さんが押す番ですね! 会社を動かすって、めちゃくちゃスゴ腕じゃないですか。
苦労した甲斐あって、パインアメヨーグルトは、相当売れて、評判も相当良かったです。「またやってほしい」という声もたくさんいただきました。
そこまで言われると、僕も食べてみたくなりました! パインアメヨーグルトの再販の予定はないんですか?
今のところは二度とないです。
えー、なんでですか! 売れたんならまたやったらいいじゃないですか!
パインアメヨーグルトは、アメ自体も白かったんです。
はい?
これは、パッケージもパインアメ自体もいじるというご法度を2つも破ってしまっているんです! 神聖なパインアメを!
ちょっと落ち着いてください。パインアメ教の方ですか?
セブ山さん、今って、 社名に商品名を使ってる会社ってほとんどないんですよね。
言われてみれば、たしかに!
パインアメをいじるのって、社名をいじるのと同じことなんですよ。なので、人気が出ても「パインアメ」では遊べないんです。
これって変、ですかね…?
いや、パイン株式会社さんが「パインアメ」を大切にされていることが、すごくわかりました! その愛があるからこそ、「パイン」から派生した数量限定の味では、さまざまな遊び心が発揮されているのだなということも!
ありがとうございます、今後ともパインアメ、そして数量限定商品をよろしくお願い致します。
それでは今回の企画の本題に入らせていただきます。
わかりました。
今回は「買ってよかったものをつくった人に、買ってもらったものを教えてもらう」というのがテーマなので、パインアメさんの「買ってよかったもの」を教えてください!
はい、こちらです。
「塗るつけまつげ」……ってマスカラ?
これはデザイン担当の女性が、おすすめしてくれたんです。
え?
パインアメの数量限定商品は、企画の人間がまず「どんな味にするのか」を考えて、研究室やデザイン担当など5~6人のチームでつくっています。私は営業担当なのですが、今回はそのチームの代表として来たんです。
そういうことだったんですね!
私自身は最近あまり買い物をしていないので、チームメンバーに「最近、なんか買ってよかったものはないか?」と聞いてみたところ、デザインを担当した開発部の伊藤涼さんという女性がこちらの商品をオススメしてくれました。
ほうほう!
ただ、何がいいのか説明してもらったけど、私では理解しきれない部分もあって……。
僕もお化粧品の良し悪しは全くわからないですね……。
今、電話して直接聞いてもらってもいいですか?
お願いします!
いきなり、すみません!
いえいえ、大丈夫です。
さっそくですが、「塗るつけまつげ」のどんなところが買ってよかったポイントなのか教えてください!
塗るつけまつげは「お湯でオフ」が売りの商品なのですが、私が知る限りでは、まつげにボリュームが出る上でお湯で落とせるって言うポイントではピカイチなんです。
ほうほう!
まつげにボリュームを出すだけなら海外製のものでもいいんですが、それだと落ちづらかったり、そもそも塗りづらかったりするんです。そういう「使いやすさ」のところでも大きな差があります。
それは伊藤さんがいろんなマスカラを使ってみた結果ってことですか?
そうですね、いろいろ試してみたけど、結局、これに戻ってきました。
他の人にもオススメですか?
オススメしたいです! というか、すでに友達にもオススメしまくっていて、みんな、もれなく気に入ってくれています!
すごい! 伊藤さんにとっては、もう手放せない一品なのでは?
「ないと困る」というわけではないのですが、これがあるのとないとでは仕上がりが大違いなんです。
ちなみに、金額的にはどうですか?
塗るつけまつげは、だいたい1500円前後です。
すみません、普段、マスカラを買わないので、それが高いのか安いのか……。
最近、プチプラ(プチプライス=価格がお安いもの)が流行っているので、安い化粧商品はたくさんあります。100円均一でもマスカラは手に入ります。
そう考えると、少し高そうですが……?
とはいえ、やっぱり品質が全然違うんですよね。私は化粧品を選ぶ時には、いいものにはしっかりお金をかけるようにしているのですが、「塗るつけまつげ」はそのうちの一本です。なので、高いとは思いません。
なるほど! ありがとうございます! 伊藤さんの塗るつけまつげ愛がビシビシ伝わってきました!
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