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話題

「パインアメ」コツコツ続けた限定商品の謎! 「社内の禁じ手」とは

「パインアメ」のパイン株式会社には何があっても「絶対できないこと」があるという……。

「パインアメ」の秘密に迫る
「パインアメ」の秘密に迫る

目次

 「買ってよかった」。それはインターネット上のキラーワード。日々、ネット上でいろんな人たちが「これは買ってよかった!」「値段以上に価値があった!」というものを紹介しているのを目にします。そんな「買ってよかったもの」を見ながら、ふと思いました。「買ってよかったもの」をつくったひとは、何を「買ってよかった」と思っているのでしょうか?「究極の買ってよかったもの」を探すため、WEBライターのセブ山さんが企業めぐりをする企画の第1回です。

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これから始める企画とは……

こんにちは、セブ山です。まず、第1回は僕が「買ってよかった」と思ったものを紹介させていただきます。

まず、今回の企画の目的を説明します。

「買ってよかったもの」をつくったひとの、さらに「買ってよかったもの」を聞いて、またさらにその人の「買ってよかったもの」を聞いて……を繰り返していったら、最終的には「究極の買ってよかったもの」にたどり着けるのではないでしょうか?

そんな「究極の買ってよかったもの」を探す旅、買ってよかったもの数珠つなぎを始めます!
 



僕が「買ってよかった」と思ったもの、それは……。


こちらの「ナシアメ」です。

実はこれ、「パインアメ」でおなじみのパイン株式会社さんが出している商品なのです。

もともと僕は、果物では梨が一番好き。梨味のジュースやお菓子など、見かけるごとに買っていました。

そんな中でも、この「ナシアメ」は、パインアメ特有の甘酸っぱいおいしさと梨の風味が相性バツグンで、どハマりしました!

なめているうちに、だんだん小さくなってきて、ガリガリかみ砕きたくなるパインアメ独特の食感も相まって、しばらく病みつきになってしまいました! 
 

そんなわけで本日は、「ナシアメ」を企画されたパイン株式会社・営業本部広域特販営業部部長の子安一彦さんにお話を伺いたいと思います!
 
セブ山 というわけで本日はよろしくお願いします。
子安さん はい、こちらこそよろしくお願い致します。

 

「ナシアメ」つくった人に聞いてみた

セブ山 さっそくですが、「ナシアメ」とてもおいしかったです!
子安さん ありがとうございます!
セブ山 なんと言っても「パインアメの会社なのにナシ味のアメをつくっている!」というギャップが面白いなと思ったのですが、なぜ、ナシ味のアメをつくろうと思ったんですか?
子安さん 実は、パイン以外の味を出すのは、今回が初めてではないんです。
セブ山 そうなんですか!?
子安さん そうなんです、数量限定の商品として定期的にさまざまな味を出させていただいております。
セブ山 パインアメなのに!?
子安さん パインアメなのに、です。
セブ山 ということは「ナシアメ」も数量限定なんですか?
子安さん そうです。今は販売を終了しております。
セブ山 だから、最近、見かけなかったんですね……。買いだめておけばよかった……。
子安さん でも、安心してください。今、新しい味の数量限定商品が出ていますよ。
セブ山 お! そうなんですか!?
子安さん それがこちらの『清見ブラッドオレンジアメ』です。
子安さん 愛媛県産の「清見オレンジ」と「ブラッドオレンジ」を使用した国産果汁のアメです。ひと袋で2つの味が楽しめます。
セブ山 おおー! いいですね!  さっそく探してみます!
子安さん パインアメシリーズの数量限定商品は、ファミリーマート・サークルK・サンクスでの限定販売なのでお買い求めの際はお気を付けください。(一部店舗では取り扱いがない場合もあります)
セブ山 そういうことなんですね! たしかに、僕がナシアメを買ったのはファミリーマートでした!

実は歴史が長い数量限定商品

セブ山 それにしても、数量限定商品っていつごろから始められたのですか?
子安さん 2005年からですね。
セブ山 えっ! 10年以上前から!? すみません、勉強不足でした…。
子安さん いえいえ、販売場所も販売時期も限定なので、なかなか気付きづらいですよね。
 
セブ山 そもそも、「見た目はパインアメなのに、別の味をつくる」のはどうしてなんですか?
子安さん 当時のバイヤーさんに「パイン以外の味をつくれませんか?」と相談を受けたのがキッカケですね。
セブ山 なるほど、その提案でつくることになったんですね。
子安さん いえ! 一度それは「そんなのつくっても売れないですよ、パインアメなのにパイン味以外をつくっても変じゃないですか」とお断りに近い返答をしました。
セブ山 えー! そうなんですか!?
子安さん ですが、そのバイヤーさんに「大丈夫ですよ、パインアメなのにパイン味じゃないって絶対に面白いから! やりましょうやりましょう!」と押し切られまして、「本当に大丈夫かな……?」と半信半疑のまま、初めての数量限定商品をつくりました。
セブ山 子安さん、押されてますね……。最初の数量限定商品のアメは、何味だったんですか?
子安さん 「グレープ味」ですね。
セブ山 へー! その時の売れ行きはどうだったんですか?
子安さん それを皮切りに、今では年間5回くらい数量限定味を出させていただいていますので、おそらく良かったんだと思います。その後の商品も、おかげさまで毎回ほぼほぼハズレなく、売り切れております。
セブ山 今になってみれば、そのバイヤーさんの「パインアメなのにパイン味じゃないって絶対に面白いからやりましょう!」という意見が正しかったですね。
子安さん おっしゃる通りです。感謝です。
 

「ドラゴンフルーツ味」はNG?

セブ山 数量限定商品の「味」はどうやって決めているんですか?
子安さん 多くの人が「食べたことないなぁ」と思う味は手にとりにくいので、「みんなが想像できる味」を考えています。
セブ山 どういうことですか?
子安さん たとえば、「ドラゴンフルーツ味のアメ」って言われても、味が想像できないですよね。
セブ山 たしかに。なんかテレビでビジュアルは見たことあるような気がするけど、味は全くわからないですね。ドラゴンフルーツ。
子安さん でも、ナシやオレンジだと、味の想像はだいたいつきますよね。そういうものが手に取りやすい傾向にあるので、あまり奇抜なものは避けています。
セブ山 じゃあ、別にフルーツ以外でもいいんですか?
子安さん はい、過去にはフルーツ以外で「ヨーグルト味」や「ジンジャーエール味」なども出しています。あくまで、「想像できる味」を大切にしています。
セブ山 なるほどー! ちなみに、子安さん! 過去、一番売れた数量限定の味は何なんですか?
子安さん これはもうダントツで「スモモ」ですね。
セブ山 え、スモモアメですか?
 
子安さん 「スモモアメ」は毎回売り切れていまして、他の味は1回か2回しかやらないのに対して、スモモだけは10回もやっています。
セブ山 これは気になる!!
子安さん 「スモモアメ」は毎年、春の定番としてを出しているので、まだ食べたことのない人はぜひ来年の春をお楽しみに!


(セブ山注・取材後、味見させていただきましたが、「スモモアメ」はさわやかでフルーティーな甘さが特徴的でした。春にぴったりの味!おいしかったです!)

ボツになった「マンゴー味」 その理由とは……

セブ山 ちなみに、子安さんが個人的に好きなのは何味ですか?
子安さん う~ん、そうですね、悩むなぁ。
 
セブ山 あくまで個人的な感想で大丈夫です!
子安さん それなら、商品化に至っていないんですが「マンゴー」ですかね。
セブ山 えっ! 商品化していない?
子安さん 商品化されたものの陰にはたくさんのボツ案があるんです。その中でもマンゴー味は、商品化一歩手前まで残るのですが、毎回、残念ながらボツになってしまうんです。
セブ山 おいしそうなのに、なんで商品化されてないんですか??
子安さん デザインの問題でできないんです。
セブ山 デザイン? 味じゃなくてですか?
子安さん マンゴーのイラストをパッケージに描いても、それが何の絵なのかわかりづらいんですよね。
セブ山 ああー、なるほど!
子安さん マンゴーそのものもイラストだと伝わりづらいし、マンゴーを切ってある絵も、パインアメのパッケージの画風だと、なかなかわかりやすいものが描けないんですよね。
セブ山 そっか、写真を使えられればわかりやすいパッケージができるけど、それだと今度は「パインアメの製品だよ」ということがひと目でわからなくなっちゃうんですね。
子安さん そうなんです。マンゴー味はとてもおいしいのですが……。
セブ山 マンゴーなんとして食べてみたい!
子安さん いつか問題を解決して商品化できたら、ぜひお手に取ってみてください!
 

気付いてる?パッケージや個包装の「シークレット」

子安さん ちなみに、セブ山さんが買われたナシアメって、このパッケージでしたよね?
セブ山 え? はい、たぶんそうだと思いますが。なんですか?
子安さん 実は、数量限定の商品には、パッケージが他とは違う「シークレット」があるんです。
セブ山 えー! そうなんですか!? 知らなかった!
子安さん シークレットは、9分の1の確率で存在します。
セブ山 おっ! ということは、ひとつの店舗に、ひとつくらいは必ずシークレットがあるかもしれませんね。
「ナシアメ」のシークレット(右上下)。中央のナシのイラストが微妙に異なる。
「ナシアメ」のシークレット(右上下)。中央のナシのイラストが微妙に異なる。
子安さん それが、こちらです。
セブ山 おー、本当だ! 色やデザインが微妙に違いますね!
子安さん 並べてみると一目瞭然ですよね。
セブ山 でも、アメってコンビニでは、ひと袋ずつ、つるして陳列されているから、これはなかなか言われないと気付かないですね。
子安さん 実は、数量限定の遊び心はこれだけじゃないんです。
セブ山 と言いますと?
子安さん 外側のパッケージだけでなく、中の個包装にもレアなものが混じっています。
セブ山 ほほう、個包装ですか。
右部にプリントされているのが、通常の個包装のフィルム。左部のイラストが「シークレット」。
右部にプリントされているのが、通常の個包装のフィルム。左部のイラストが「シークレット」。
子安さん たとえば、今回の「清見ブラッドオレンジアメ」では、「清美オレンジ」「ブラッドオレンジ」それぞれの味のものに、ゆるキャラが描かれたものと、カラフルな絵柄のものが隠れています。
セブ山 おー、ゆるキャラ、可愛いですね!
子安さん 可愛いですよね!
セブ山 ちなみに、個包装のレアはどれくらいの確率で混ざっているんですか?
子安さん ものすごく低い確率で混じっています。実は、僕らもなかなか見たことがないんです。
セブ山 えー! つくっている人たちも!?
子安さん はい、だから見つけた方は超ラッキーです!
セブ山 それを探しながら食べるのも楽しいですね!
子安さん 数量限定のアメには、毎回どこかにシークレット要素を入れてあります! 毎回変えてあるので、注意深く探してみてくださいね!
 

社内の「禁じ手」、それは……

セブ山 こういったシークレットって、「パインアメ」にはないんですか?
子安さん パインアメにはありません。
セブ山 なんでですか? パインアメでもやったら面白そうなのに!
子安さん パインアメの味やデザインには、創業者の想いがあるので、パインアメは気軽にいじれないんです。
セブ山 えー、そうなんですか? そこはお堅いんですね。
子安さん そりゃもう……「パインアメをいじる」というのは、社内では禁じ手とされています。
セブ山 そんなに!? …あれ? でも、先程、見せていただいた過去のパッケージ資料の中に、パインアメをいじったものがありましたよね?
 
セブ山 ほら! パインアメヨーグルト!
子安さん ………。
セブ山 子安さん?
子安さん これは、異例中の異例なんです……! パインアメをいじったのは、後にも先にもこれ一度だけです!
セブ山 幻の商品ということですね。
子安さん これは、バイヤーさんに「白色というテーマでいろいろな限定商品をつくるキャンペーンを打ち出すのですが、パインアメを白くできないですか?」と相談された時のものですね。
セブ山 面白そうなキャンペーンじゃないですか。
子安さん 「パインアメのヨーグルト味ではなくて、ヨーグルトアメなら出せますが……」とお断りしたのですが、「いや、どうしてもパインアメ味のヨーグルト味でお願いしたいです」と押されてしまいまして……。
セブ山 バイヤーさんが押しに強いのか、子安さんが押しに弱いのか……。
子安さん 先ほども申し上げた通り、「パインアメをいじる」というのは、社内では絶対に立ち入ってはいけない禁断の領域なのです。
セブ山 部外者の僕からしたら「別にいいじゃん」と思ってしまいますが、パインアメさんの社内ではすごい重大なことなんですね…!
子安さん とはいえ、バイヤーさんには毎回の数量限定商品でお世話になっています。「ここは恩義を返したい」と会社を説得しまして、2008年に無事に商品化されました。
セブ山 すごい! 今度は子安さんが押す番ですね! 会社を動かすって、めちゃくちゃスゴ腕じゃないですか。
子安さん 苦労した甲斐あって、パインアメヨーグルトは、相当売れて、評判も相当良かったです。「またやってほしい」という声もたくさんいただきました。
セブ山 そこまで言われると、僕も食べてみたくなりました! パインアメヨーグルトの再販の予定はないんですか?
子安さん 今のところは二度とないです。
セブ山 えー、なんでですか! 売れたんならまたやったらいいじゃないですか!
子安さん パインアメヨーグルトは、アメ自体も白かったんです。
セブ山 はい?
子安さん これは、パッケージもパインアメ自体もいじるというご法度を2つも破ってしまっているんです! 神聖なパインアメを!
セブ山 ちょっと落ち着いてください。パインアメ教の方ですか?
子安さん セブ山さん、今って、 社名に商品名を使ってる会社ってほとんどないんですよね。
セブ山 言われてみれば、たしかに!
子安さん パインアメをいじるのって、社名をいじるのと同じことなんですよ。なので、人気が出ても「パインアメ」では遊べないんです。
子安さん これって変、ですかね…?
セブ山 いや、パイン株式会社さんが「パインアメ」を大切にされていることが、すごくわかりました! その愛があるからこそ、「パイン」から派生した数量限定の味では、さまざまな遊び心が発揮されているのだなということも!
子安さん ありがとうございます、今後ともパインアメ、そして数量限定商品をよろしくお願い致します。
 

パインアメさんの「買ってよかったもの」を教えてください!

セブ山 それでは今回の企画の本題に入らせていただきます。
子安さん わかりました。
セブ山 今回は「買ってよかったものをつくった人に、買ってもらったものを教えてもらう」というのがテーマなので、パインアメさんの「買ってよかったもの」を教えてください!
子安さん はい、こちらです。
 
セブ山 「塗るつけまつげ」……ってマスカラ?
子安さん これはデザイン担当の女性が、おすすめしてくれたんです。
セブ山 え?
子安さん パインアメの数量限定商品は、企画の人間がまず「どんな味にするのか」を考えて、研究室やデザイン担当など5~6人のチームでつくっています。私は営業担当なのですが、今回はそのチームの代表として来たんです。
セブ山 そういうことだったんですね!
子安さん 私自身は最近あまり買い物をしていないので、チームメンバーに「最近、なんか買ってよかったものはないか?」と聞いてみたところ、デザインを担当した開発部の伊藤涼さんという女性がこちらの商品をオススメしてくれました。
セブ山 ほうほう!
子安さん ただ、何がいいのか説明してもらったけど、私では理解しきれない部分もあって……。
セブ山 僕もお化粧品の良し悪しは全くわからないですね……。
子安さん 今、電話して直接聞いてもらってもいいですか?
セブ山 お願いします!
 

(以下、デザイン担当の伊藤涼さんとの電話インタビュー)
 
セブ山 いきなり、すみません!
伊藤さん いえいえ、大丈夫です。
セブ山 さっそくですが、「塗るつけまつげ」のどんなところが買ってよかったポイントなのか教えてください!
伊藤さん 塗るつけまつげは「お湯でオフ」が売りの商品なのですが、私が知る限りでは、まつげにボリュームが出る上でお湯で落とせるって言うポイントではピカイチなんです。
セブ山 ほうほう!
伊藤さん まつげにボリュームを出すだけなら海外製のものでもいいんですが、それだと落ちづらかったり、そもそも塗りづらかったりするんです。そういう「使いやすさ」のところでも大きな差があります。
セブ山 それは伊藤さんがいろんなマスカラを使ってみた結果ってことですか?
伊藤さん そうですね、いろいろ試してみたけど、結局、これに戻ってきました。
セブ山 他の人にもオススメですか?
伊藤さん オススメしたいです! というか、すでに友達にもオススメしまくっていて、みんな、もれなく気に入ってくれています!
セブ山 すごい! 伊藤さんにとっては、もう手放せない一品なのでは?
伊藤さん 「ないと困る」というわけではないのですが、これがあるのとないとでは仕上がりが大違いなんです。
セブ山 ちなみに、金額的にはどうですか?
伊藤さん 塗るつけまつげは、だいたい1500円前後です。
セブ山 すみません、普段、マスカラを買わないので、それが高いのか安いのか……。
伊藤さん 最近、プチプラ(プチプライス=価格がお安いもの)が流行っているので、安い化粧商品はたくさんあります。100円均一でもマスカラは手に入ります。
セブ山 そう考えると、少し高そうですが……?
伊藤さん とはいえ、やっぱり品質が全然違うんですよね。私は化粧品を選ぶ時には、いいものにはしっかりお金をかけるようにしているのですが、「塗るつけまつげ」はそのうちの一本です。なので、高いとは思いません。
セブ山 なるほど! ありがとうございます! 伊藤さんの塗るつけまつげ愛がビシビシ伝わってきました!
 

インタビューは以上です。

パイン株式会社さん! ご協力いただきまして、ありがとうございました!

 

まとめ


というわけで、パインアメさんの数量限定アメについてお話を伺ったところ、「デジャヴュ」さん(イミュ株式会社)の「塗るつけまつげ」をオススメしていただきました!

正直なところ、僕は化粧品の良し悪しはわからないのですが、伊藤さんの熱のこもったオススメ度合いを聞いていると、「なんか良さそう!」とワクワクしました。

誰かの損得勘定のない「これ絶対オススメ!」というプレゼンは、やはり面白いですね!

 

次回予告


次回は、「塗るつけまつげ」を生み出したデジャヴュさんに「買ってよかったもの」を聞きに行きます!

はたして、イミュ株式会社さんは何をオススメしてくれるのでしょうか?

究極の「買ってよかったもの」を探す旅は、まだ始まったばかりです!

(つづく)

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