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お金と仕事

年金は損?お年寄り責めても意味ない理由 156兆円のイケてる使い道

結局、年金を払うのは損なの?たかまつななさんが突っ込みます
結局、年金を払うのは損なの?たかまつななさんが突っ込みます

目次

 「年金って将来、大丈夫なんですか?」。お嬢様芸人たかまつななさんと高校生記者から寄せられた素朴な質問。「若い人だけ払ってズルい!」と怒っても、実はあまり意味がない? それでも年金が必要な理由について考えます。

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教科書が間違っている?

 

たかまつさん

「年金は、働いている私たちからお年寄りへの仕送りなんですね」

 

浜田編集委員

「その通りです。賦課方式といいます」

 

たかまつさん

「そうすると、少子化で働く人の数が減ると、高齢化で増えるお年寄りに仕送りするのは大変ですわ」

 

浜田編集委員

「はい、そうなります」

 

たかまつさん

「それなら、事前にお金を積み立てておいた方がよろしいのでは?」

 

浜田編集委員

「うーん、直感的にそう思いたくなるのはわかります。高校の教科書もそんな書きぶりが結構ありました」

 

たかまつさん

「教科書なら本当なのでは?」

 

浜田編集委員

「賦課方式にのみ少子高齢化の影響が出ると読み取れる記述が多いのですが、正確ではありません」

 

たかまつさん

「違うんですか!」

30年前のパソコンは役立たず

 

浜田編集委員

「事前にお金を積み立てておいても、少子高齢化の影響は受けるんです」

 

たかまつさん

「でもお金があればモノでもサービスでも買えますわ」

 

浜田編集委員

「とはいえ、何がどのくらい買えるかっていう問題があります」

 

たかまつさん

「値段が上がってしまわれる、ということでしょうか?」

 

浜田編集委員

「そう。働く人が少なくなれば、生産されるモノやサービスが少なくなりますからね」

 

たかまつさん

「欲しい人が同じ数だけいるのに、生産物が少なくなれば値段は上がると」

 

浜田編集委員

「商品やサービスを、お金のように積み立てておくことはできません」

 

たかまつさん

「確かに30年前に買ったパソコンをとっておいても、いまは役に立ちませんわ」

 

浜田編集委員

「同じように、お年寄りが必要な介護も、いま働いている人にしてもらわないといけないのです」

若者は本当に損をしているか?

 

高校生記者の山田さん

「いまの若者は損をしてると聞きます。保険料を払った分も戻ってこないとか」

 

浜田編集委員

「今のお年寄りに比べると、払った分に対して、もらう分は少ない。それは事実です」

 

高校生記者の山田さん

「それなのにタンスにいっぱい貯金して、若い人がヒイヒイいいながら年金保険料を仕送りしているなんておかしいです」

 

浜田編集委員

「その不満はわかります。でも、年金でお得だからといって今のお年寄りになりたいですか?」

 

高校生記者の山田さん

「え、それは今のお年寄りと同じ時代に生まれたかったということ?」

 

浜田編集委員

「そう。スマホもネットもない。注射は痛い。学校に冷房はない。女性は働き方も結婚も不自由。どうでしょう」

 

高校生記者の山田さん

「それは無理です」

 

浜田編集委員

「さらにいえば、家に年老いたご両親がいて、その食費をまかない、介護を全部引き受けるんです」

 

高校生記者の山田さん

「ひえ〜」

 

浜田編集委員

「いまの80歳以上くらいのお年寄りは、そんな時代を生きてきたわけです」

 

高校生記者の山田さん

「年を取った親を養うのにお金を使い、かつ年金の保険料を払ってきたと」

 

浜田編集委員

「そう。だから年金制度の中だけで払った保険料ともらう年金額を比べるのはあまり意味がない」

どうすればいい?

 

たかまつさん

「それでも、やっぱり若者は大変すぎますわ」

 

浜田編集委員

「それは、その通りです。働く世代がつくり出すモノやサービスの全体量が小さくなる一方、お年寄りに使わせる分が増えちゃいますから」

 

たかまつさん

「若者世代が使える分が減ってしまいます」

 

浜田編集委員

「年金を、1本のようかんにたとえてみましょう」

 

たかまつさん

「よ、ようかんですか?」

 

浜田編集委員

「はい。これからみんなが払う年金保険料や積立金など巨大なお金のかたまりのことです」

 

たかまつさん

「年金のためのお金ですわね」

 

浜田編集委員

「ようかんの原料はなんでしょうか?」

 

たかまつさん

「たしかアズキ?」

 

浜田編集委員

「そうです。少子化でアズキを生産する人が減りますね」

 

たかまつさん

「さようですわね」

 

浜田編集委員

「だから、ようかんも小さくなります。それを今のお年寄りと、いずれお年寄りになる若者で分け合う」

「お年寄りにゆずってもらわないと!」

 

たかまつさん

「誰が、どのくらい食べられるのでしょうか?」

 

浜田編集委員

「高齢化でより長く年金を受け取るので、1人が食べるようかんを薄くしないといけない」

 

たかまつさん

「厚く切ってはいけないと」

 

浜田編集委員

「厚いままだと、将来の高齢者である若者の取り分が減ります」

 

たかまつさん

「つまり、私たちがもらう年金が減る?」

 

浜田編集委員

「さようです。だから、今のお年寄りにゆずってもらわないといけない」

若者の大変さをお年寄りに伝えないと!

 

たかまつさん

「もう絶望だわ。日本脱出だわ」

 

浜田編集委員

「いまの若者がそんな雰囲気になっている怖さ。それを政治家にもお年寄りにも知ってもらわないと」

 

たかまつさん

「だから若者が選挙にいかないといけないですわ」

 

浜田編集委員

「そう。それと若者の大変さをうまくお年寄りに伝えないといけない。『あなたの子や孫は、あなたと同じ年齢だったころより、生活が苦しくなってしまいかねない。どうしますか?』と」

波平さん、若い!

 

高校生記者の山田さん

「もう少し明るい解決策はないのでしょうか?」

 

浜田編集委員

「お年寄りもなるべく長く働いてもらい、支える側に回ってもらうのも大事です」

 

高校生記者の山田さん

「そんなことできるんですか?」

 

浜田編集委員

「サザエさんのお父さんの波平さんは何歳だと思いますか」

 

高校生記者の山田さん

「タラちゃんという孫もいますから64歳とか?」

 

浜田編集委員

「実は54歳です」

 

高校生記者の山田さん

「え? そんなに若い」

 

浜田編集委員

「サザエさんの連載が始まったのは約70年前。そのころサラリーマンの定年は55歳でした」

 

高校生記者の山田さん

「55歳、今の感覚ならまだお元気ですね」

 

浜田編集委員

「現在は、希望すれば同じ会社で65歳まで働けるようになっています」

156兆円を奨学金に

 

たかまつさん

「それでも、若者の年金へのイメージは最悪ですわ」

 

浜田編集委員

「困ったものです。でも、これならイメージアップになるかもという提案を聞いたことがあります」

 

たかまつさん

「まあ!なんでしょう?」

 

浜田編集委員

「年金の積立金というのがあるのはご存じですか?」

 

たかまつさん

「なんとなく。巨額のお金だとか」

 

浜田編集委員

「はい。156兆円ほどあります」

 

たかまつさん

「それはそれは……」

 

浜田編集委員

「年金給付の約5年分です。高齢化のピークを乗り切るため、少しずつ取り崩す予定です」

 

たかまつさん

「で、それが若者とどんな関係が?」

 

浜田編集委員

「この一部を使って奨学金制度を設けるのです」

 

たかまつさん

「奨学金?」

 

浜田編集委員

「いまは株や国債を買ったりしてますが、年金制度の将来を支える若者の教育に投資するのは筋が通っていると思うんですよ」

 

たかまつさん

「そうですわ。若者がまともに働けなくなれば、年金だけでなく社会全体がおかしくなる」

 

浜田編集委員

「そう。そこをお年寄りにも分かって欲しいんです」

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