話題
全国のサウナ好きが「長野に集まる」理由 夏の湖畔がフィンランド化
長野県は八ヶ岳の麓にある小海町。毎年開催される「フィンランドの夏祭り」では本格サウナ体験ができるとの噂。早速参加してサウナ体験してみました。
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長野県は八ヶ岳の麓にある小海町。毎年開催される「フィンランドの夏祭り」では本格サウナ体験ができるとの噂。早速参加してサウナ体験してみました。
長野県は八ケ岳のふもとにある小海町。この町では全国のサウナ好きが集まるお祭りが開催されています。その名も「フィンランドの夏祭り」。本場フィンランド式のサウナをはじめ、多種多様なサウナが体験できるという、サウナーにはたまらないイベントです。そこで味わう「唯一無二」のサウナ体験とは、いったいどんなものなのでしょう?
電車はだいたい1時間に1本くらいで、
バスはだいたい2時間に1本くらい
コンビニは8時くらいに閉まります
さあ、やって参りました長野県は八ヶ岳のふもとにある小海町。豊かな自然に恵まれ、最近では映画「君の名は。」の新海誠監督の故郷としても知られています。
そんな小海町にある松原湖のほとりで「フィンランドの夏祭り」が開催されました。お祭りの中心は「フィンランドビレッジ」。小海町の気候や景観がフィンランドに近いという理由で作られた施設です。
7月7日の七夕。
会場に到着すると、目にしたのは湖のほとりにあるログハウス。
そしてあちらこちらにサウナ、サウナ、サウナ。
なんと用意されたサウナは全部で8種類。
フィンランドサウナにテントサウナそして、スモークサウナまで。これが全て入り放題なんて、まるで夢のようです。
最近のサウナ人気を反映するかのように、今年はサウナ体験への申し込みが例年を遥かに超える勢い。途中で受付を締め切り、急遽サウナの数を増やしたそうです。通常「フィンランドビレッジ」は関係者以外入れないため、この機会を逃すまいとするサウナー(サウナを愛する人)の皆様の気持ち、大変よく分かります。
さっそく水着に着替え、いざサウナ体験。
まずはログハウスの中にあるサウナに向かいます。
本場フィンランド式サウナ。椅子に腰掛けると天井と頭がかなり近くなります。もちろんロウリュし放題。
なかなかお目にかかることができない本格フィンランドサウナとあって、時にはサウナ待ちの列も。お互い譲り合いながら、しっかりサウナを楽しみます。
お次は近くにあるサウナコタへ。
(コタとはフィンランド語で「小屋」の意味)
こちらのサウナは薪ストーブです。
電気ストーブとはまた違った熱を肌に感じます。
ここでも多くの人がロウリュを楽しんでいました。
水が蒸発する音が響くと、一気にサウナ室の温度が上がり、体中に蒸気が降り注ぎます。
熱い。でもそれがいい。
まだまだ自由にロウリュできるサウナ施設が少ないので、この環境、サウナーにとってはたまりません。
テントサウナではサウナヨガも開催されていました。
程よい温度のサウナ室で、ゆっくりと体を伸ばしていきます。
初体験のサウナヨガ、大変リラックスできました。
数あるサウナの中でも、スモークサウナにはひときわ多くの人が並んでいました。
スモークサウナは石を8時間くらいかけて温め、その余熱でロウリュする完全オーガニックなサウナ。サウナ大使・タナカカツキさんによると「おそらく日本でここにしかない」とのこと。このスモークサウナは、フィンランドに残っていたものを採寸して再現したそうです。そのサウナにかける情熱たるや、、、脱帽です。
いざ初スモークサウナ!
中は薄暗く、明かりは小さなランプと外から差し込む光のみ。いつも入っているサウナと異なり、薪が燃えた後の良い香りが鼻孔をくすぐります。
温度はそこまで高くないため、長い間サウナ室にいることができます。ゆっくり、ゆっくりと体が暖まってく……。
厳かな空間で、心穏やかに自分と向き合う。そんな貴重な時間を過ごすことができました。
水風呂は水温10度の松原湖。湖に入って体を冷やすのは、まさしく本場フィンランド流の楽しみ方。
熱くほてった体を湖に投げ出せば、感じるのは大自然との一体感。街中のサウナ施設では体験できない別次元の「ととのった」感覚を味わうことができます。
自然の環境のなかで楽しむサウナ。
シラカバの葉を束ねた「ヴィヒタ」もそこかしこに。
これで体をたたけば森の香りが広がり、心も体も落ちつきます。
高原の涼しい空気の中、外気浴するのも大変心地よい時間です。
参加者はおよそ200人。東京はもちろん、名古屋や東北から来た人も。サウナハットをかぶったサウナーたちが、次から次へとサウナをハシゴしています。参加者の多くが若い人たち。女性の姿も目立ちます。
夏祭りに参加していた日本サウナ・スパ協会の米田行孝専務理事(49)は、
「都会でも新しいサウナができたりと、その魅力が見直されています。タナカカツキさんの『サ道』が出版されたことで若い世代にも一気に広まりました。」
と嬉しそうに話していました。はい、まさしく私もそんな1人です。
東京から来た斉藤修太さん(34)と斉藤美香さん(33)は夫婦で参加。
「夫婦一緒にサウナを楽しめるのが良かったです。都内のサウナで男女一緒に楽しめる施設は少ないですから。」
と喜んでいました。
会社員の松田宇貴さん(31)はサウナが好きすぎてサウナ関連会社に転職してしまった強者。
「サウナと新鮮な空気が相性抜群。最高の経験です。参加者同士がサウナを通じて交流できるので、仲間の輪も広がりました。」
そう、参加者はサウナーばかりなので、自然と会話もサウナの話。世代や性別が違っても、サウナを通じてすぐに意気投合できます。
サウナに入っては湖に。サウナに入っては湖に。繰り返しているとお腹が減ります。そんな時は、会場に用意されたフィンランド料理をいただきます。
この夏祭り、サウナ以外にもフィンランドの文化に触れられるイベントがたくさん。
フィンランドの装飾品「ヒンメリ」作りワークショップや、
フィンランドの伝統的なゲーム「モルック」の大会も。
色々な角度からフィンランドの文化に触れることができるお祭りなのです。
本格的なフィンランドの夏祭りとあって、会場にはフィンランド大使館関係者の姿もありました。家族で来場されていた、参事官のマルクス・コッコさん(47)に話を聞いてみました。
「小海町の湖や山々、気候といった自然環境がまるでフィンランド。ここに来ると故郷に戻ってきたように感じます。小海フィンランド協会が尽力し、夏祭りを開催してくれていることに感謝します。」
フィンランド生まれのコッコさんが懐かしむほど、小海とフィンランドの環境は似ているようです。
コッコさんもスモークサウナを存分に楽しまれたそうで、
「フィンランド発祥のサウナが世界に広がり、日本でも多くの人が楽しんでいることをうれしく思います」
と笑顔で語っていました。
サウナを生んだフィンランド、残念ながらまだ足を踏み入れたことがなく……。一刻も早くお伺いせねばと思っています。
自然や気候が似ていることから始まったフィンランドと小海町との交流。2002年から開催しているこの夏祭りも今年で17回目になります。
今後、小海町はフィンランドとの関係をさらに深めていきたいとのことで、小海フィンランド協会理事長の小池民夫さん(75)は、
「フィンランドデザインの展覧会を開催や、フィンランドでのホームステイ体験などを検討しています。さらに幅広い活動を通じてフィンランドとの交流を深められればと思います。」
と話していました。
飽きずにサウナを楽しんでいると、辺りはだんだんと暗くなってきました。夏祭りの最後には「コッコ」と呼ばれる大きな松明に火が灯り、夏祭りを締めくくります。
小海町では毎年「日本サウナ祭り」も開催されています。その主催者の1人で、サウナ大使でもあるマンガ家・タナカカツキさん曰く「小海町でのサウナ体験は唯一無二」。いやはや、まさにその通り。「オーガニックなエンターテイメント」「自然を使ったアクティビティ」としてのサウナを心ゆくまで堪能できた1日。街中ではとても体験できない「ととのい」を体験できる、素晴らしいイベントでした。
夏祭りの内容は年々充実させているとのことなので、きっと来年も開催されるはず。「フィンランドの夏祭り」がこれからも続き、小海町にさらに注目が集まること、そして今以上にサウナを楽しむ人が増えることを心から願っています。(この記事がそれらのために少しでも役立てば幸いです。)
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