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「隠れミッキョー」を探せ!? 高野山大のギリギリな宣伝文句が話題
仏教の一派、真言密教の聖地・高野山に立つ高野山大学。1886年の創立から130年以上、教義について説き続けてきました。その伝統を打ち破る、「攻め過ぎ」なオープンキャンパスの告知用ウェブサイトが、今月4日に登場し話題を呼んでいます。某テーマパークを思い起こさせる企画「『隠れミッキョー』を探しに」など、ギリギリな宣伝文句が満載です。一体、何が起きたのか?担当者を直撃しました。(withnews編集部・神戸郁人)
「本当のあなたを知っていますか?」。今月27・28日に開かれる、オープンキャンパスの特設サイトを開くと、そんな文言が目に入ります。
案内に従い先に進むと、「秘密だらけのオープンキャンパス」というタイトルが出現。その上には、円状に配置された「SECRET CAMPUS」の文字も浮かび上がり、謎解きの旅に誘われているようです。
「隠れミッキョー」「秘密の教え」「門外不出の書」。メインプログラムの解説ページには、思わず詳細を知りたくなる見出しが目白押しです。しかし、説明文の上にお札や雲のイラストがかぶさっているので、全てを読むことができません。
遊び心あふれる表現は他にもあります。大学までのアクセスを紹介するページには、学生の利用が多い、南海高野線・難波駅から「徒歩930分」の文字が。背景に広がる山水画のような景色の中に、キャンパスの場所をピンだけで示すなど、シュールさが際立っています。
あまりに実験的な内容は、ツイッター上でも話題に。「キレッキレで爆笑した」「(真言密教を開いた)空海先生もびっくりだ」と、度肝を抜かれる人が続出しています。
型破りな発想は、どのようにして生まれたのでしょうか。オープンキャンパスの立案に関わった、同大学企画課の田中慎吾さんに話を聞きました。
――今回の企画が誕生したきっかけは
高野山大学の授業は、仏教・密教系の内容が中心。そのため、僧侶志望者しか入れないと思われがちでした。しかし、実は心理学などの教養科目も充実しており、一般の学生が多く通っています。誰にでも門戸が開かれていることを伝えたい、と考えたのが始まりです。
――プログラムの詳細を説明しないなど、ミステリアスな演出ですね
密教とは、読んで字のごとく「秘密の教え」です。その本質は「まだ見いだせていない才能を見つけ出す」ところにあります。学生の皆さんにも、教わるのではなく自ら学び取りにきてほしい、というメッセージを全面に押し出しました。
――某テーマパークのイベントをほうふつさせる「隠れミッキョー」を始め、刺激的な単語が並んでいて驚きました
結構、ギリギリの表現ですよね(笑)。従来のお堅いイメージを壊したい、という思いが根本にあります。サイトづくりをお願いした、大阪市のウェブ制作会社などと練ったものです。意外性があったり、自分に引き付けて考えてもらえたりするものを目指しました。
――やはり、企画の中身が気になります……
本来秘密ですが、一点だけなら(笑)。「隠れミッキョー」は、キャンパス内でお大師様(空海)のパネルを探してもらう、というものです。パネルの裏には密教の豆知識が書かれ、全部集めると景品がもらえます。他にも、楽しんで頂けるイベントが盛りだくさんですよ。
――伝統的な価値観と、斬新な表現を両立させるのが大変だったのでは?
その点には、かなり心を砕きました。たとえば、よく寄せられる質問を取り上げた「Q&Aコーナー」に、「入学したら恋愛することはできますか?」という項目があります。
回答は、男女の性愛を認める密教の経典「理趣経(りしゅきょう)」からの引用です。経文の解釈や恋愛観について、現役僧侶の学内関係者に話を聞くなど、内容に間違いが無いか、入念にチェックしています。
――学内外からの反応は?
幸い、まだ苦情はいただいていません(笑)。むしろ「突っ込みどころ満載で面白い」との感想が多いですね。インスタグラムでも、「曼荼羅具楽夢(マンダラグラム)」というアカウントから情報発信しているのですが、こちらも好評を博しています。
――反響を呼んでいることについて、改めて受け止めを
学生を含め、大学全体で企画を楽しんでいることが伝わり、とてもうれしいです。豊かな自然の中で学べたり、お坊さんと仲良くなれたりと、本学ならではの魅力はたくさんあります。これを機に、多くの方々に興味を持って頂ければ良いですね。
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