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#38 城崎広告「会社員のモヤモヤ」

クールビズ、導入されて14年目 ストライプはやめて!チーフで革命を

目次

サラリーマンの日々をキャラ化した「城崎広告」のメンバーが日頃感じている疑問を、withnews編集部がフカボリ取材する「会社員のモヤモヤ」。37回目は「クールビズ」についてです。
城崎広告
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今回の登場人物

大神勇人
営業部所属の24歳。物怖じせずに相手の懐に飛び込む姿勢とフットワークの軽さが自慢。趣味はカラオケと祭。

 

菅原数臣
37歳の事業推進部部長。経理担当として経験豊富なうえ、ソフトウェア分野にも精通。趣味は数学、ミルクパズル、資産運用。

 

水上芳樹
企画部所属の33歳。妥協を許さぬ審美眼の持ち主で、広報やアートディレクションでも手腕を発揮。趣味はおうちエステと観劇。

 夏本番。日中の気温が連日30度を超えています。あなたの職場でクールビズは導入されていますか?
 クールビズが2005年から始まって、2018年で14年目になりました。今では金融機関のような「堅め」とされるような企業でも導入されており、かなり身近になっていると思います。
 でも、普段はスーツに慣れ親しんでいる人ほど、クールビズのような微妙にカジュアルな着こなしだと、毎朝の服選びに時間がかかったりするのではないでしょうか?
 

 

大神

クールビズって言葉はだいぶ見慣れてきたっすけど、具体的にどういう格好すればいいのか、実はよくわかってないんすよね……

 

菅原

大神君のように客先に出かけることの多い営業職の場合、なかなか匙加減が難しいかもしれませんね。相手先の方針やカラーにも配慮が必要ですし。

 

水上

とはいっても、いつもの黒いスーツでこの炎天下で外回りはファッション面だけじゃなく、健康面でも問題があると思うよ。

 

大神

じゃあ今回はコレについて詳しくきいてみるってことで決まりっすね!
 世の中的に広まってきた今の時期だからこそ押さえたい大人の着こなし術を、男性ファッション誌「MEN’S CLUB」や「GQ JAPAN」などの編集を手がけてきた、アエラスタイルマガジンの編集長、山本晃弘さんに聞きました。
 
山本晃弘
 

クールビズの「クール」とは、涼しいとかっこいい

 

菅原

本日はよろしくお願いします。
テーマは「クールビズ」の着こなしということですが。

 

山本

よろしくお願いします!

 

山本

早速ですが、「クールビズ」というと、自分が暑くならないようにするための、涼しくてカジュアルな格好の仕事着だと思っている人が多いのではないでしょうか?

 

大神

えっ、違うんすか!?

 

山本

もちろん、それも間違っているわけではないと思いますが、当初のコンセプトにおいてクールには涼しいだけでなく「かっこいい」の意味も含まれていました。
そのため実用性だけでなく、見た目のよさにも気を遣ってほしいと思っています。

 

水上

なるほど、個人的には心から共感します。
せっかく取り組むなら、かっこいい装いで暑さに対抗したいですよね。

 

山本

もう一つ、前提として知っておいてもらいたいのが、涼しい格好をすることは自分のためだけではなく、クライアントや一緒に働く同僚のためでもあるということです。

 

大神

うっ、さっき芳樹サンに言われたことを思い出すっす……オレ、暑苦しいって……

 

山本

夏に仕事を一緒にするならば、重厚なスーツを着た汗だくの人と、軽い素材のジャケットを羽織った涼しげな人であればどちらの印象がよいでしょうか?
恐らく、大半の人は後者なのではないかと思います。

 

菅原

納得のいくお話ですね。ビジネスにおいては一緒に仕事したいと感じてもらえる装いや振る舞いは重要ですから。

 

山本

ここまで極端なことはないと思いますが、ビジネスシーンにおいて相手に与える印象は少しでも良い方が望ましいと思いますので、その方法をお伝えしていければと思います。

 

水上

よろしくお願いします。
わんこ、メモの用意!

普段のスーツからジャケットだけ取るのはNG

 

山本

陥りやすく、避けたいのが普段のスーツのままでジャケットを取った状態になることです。

 

大神

い、いきなり耳が痛いっす……

 

山本

それがストライプ柄のパンツだったりすると目もあてられません…。また、ストライプ柄のシャツもこの時期は避けましょう。

 

山本

シャツをストライプやチェックにすると、一気に休日のお父さんのようになってしまい、ビジネスウエアに見えなくなります。

 

山本

また、普通のビジネスマンがストライプのパンツを履いていると、お笑い芸人の舞台衣装のようにも見えて、クールビズにふさわしいとは思えません。

 

水上

ええ、ストライプ柄は避けたいですね。

 

山本

 また、百貨店の販売員をしている人などに多いスタイルですが、丈の短いパンツに素足で革靴を合わせているスタイル。
 スーツの一つのスタイルとして無しではないのですが、ビジネスシーンにおいてスネを出すのはNGです。若い人は特に気を付けましょう。

 

菅原

ふむ、販売員の着こなしを参考にするというテクニックは一般的ですが、TPOを踏まえて考えることが必要ということですね。

目指すは「アンダーステートメント」=控えめで上品

 

山本

では、どうすればいいのか?という声が聞こえてきそうですね。

 

大神

はい……もう何を着ていいかわかんないっす……

 

山本

考え方として、「アンダーステートメント」という状態を目指しましょう。これは、装いを褒める際にイギリス人がよく使う言葉で「控えめで上品」という意味です。
男性のビジネススタイルにおいて、これ以上の褒め言葉はありません。

 

水上

わかります。
わんこ、ついて来てるかい?

 

大神

え、えっと、もう少し詳しくお願いします!

 

山本

では、具体的なスタイルですが、オススメなのはスタンダードなジャケパンスタイルをまずは目指すことです!

 

菅原

スタンダードな色使いや合わせ方というと、どのようなものでしょうか?

 

山本

細かく言うとネイビーのジャケットにグレーのパンツ、そこに白or薄いブルーのシャツを合わせることです。

 

大神

デキる男って感じっす! そういえば、芳樹サンってネイビーの使い方うまいっすよね。

 

水上

ふふ、そう見えるなら嬉しいよ。
山本さん、カラーはもちろん、素材も重要ですよね?

 

山本

そうなんです!
各アイテムの素材も意識できると、ぐっと印象が良くなります。

 

菅原

ぜひ夏向きの素材を教えてください。

 

山本

ジャケットは涼し気に見える麻を混ぜた素材や、着心地の快適なジャージー素材のものを選ぶとよいでしょう。

 

大神

メモメモメモメモ……

 

山本

シャツはボタンダウンやワイドスプレッドカラーなどの、第一ボタンを開けたときに、きれいに襟が開くものがバランスが良く、おすすめです。

 

大神

えっ、いつものシャツじゃダメなんすか!?

 

山本

はい…間違ってもネクタイを装着する前提のレギュラーカラーのものは着用しないでほしいですね…。

 

水上

……わんこ、今度一緒にシャツを買いに行こうか?

 

菅原

クールビズといっても、スーツスタイルを守らなければならない職場もありますが。

 

山本

職場のルールなどでスーツスタイルが崩せない人は、シャツも、襟型に注意を払うだけで印象はかなり変わります。

 

大神

おおっ、なんか爽やかっすね!

 

山本

また、ジャケパンスタイルの人も、スーツスタイルの人も、この夏からぜひ実践してもらいたいのが「チーフ」です。

 

菅原

「チーフ」ですか。フォーマルの印象がありますので、クールビズに合わせるのは意外性がありますね。

 

山本

どうしてもフォーマルスタイルの印象が強く、気取ったイメージを持ちがちですが、四角く折って少しだけ出すことでビジネスシーンでも対応でき、清潔感をぐっと出すことができます!

 

水上

白いチーフが見えるだけで、ぐっと印象が変わりますね。

 

山本

これは「TVフォールド」と呼ばれており、ニュースキャスターが清潔感を出すために実践していたスタイルが名前の由来になっています。
白いチーフをポケットに入れるだけと非常に簡単ですが、あるのと無いのとでは印象がかなり変わってきます。

 

大神

簡単そうで、でも上級者っぽく見えるテクっすね!

 

山本

最後に、仕事でも就職活動でも一緒ですが、一番大切なのが中身であるのは間違いありません。ただ、中身が伝わらなければ意味がないと思っています。

 

菅原

中身の良さを伝える前にマイナスの評価を受けてしまうような服装ではいけないということですね。

 

山本

その通り!
今回お伝えした内容を参考にしていただき、服装を中身や仕事ぶりを伝える一つの「ツール」として活用していってもらえたらと思います。

 

大神

はいっ! ちょっとずつ勉強してみます!

 

水上

ファッションは一日にしてならず。次の休みはさっそく買い物にでかけようかな。

 

菅原

山本さん、本日はありがとうございました。
■今回話を聞いた人

山本晃弘 Teruhiro Yamamoto

AERA STYLE MAGAZINE編集長。MEN’S CLUB、GQ JAPANなどを経て、2008年より現職。
最先端モードから服飾史に至るまで、ファッションに関するあらゆる見識を備えた“目利き”としても知られている。現在は、トークショーやイベントなどを通して、装いやファッションに関する素朴な疑問に答えるアドバイザーとしても活動。朝日新聞デジタルにて「男の服飾モノ語り」を連載中。

写真/渡辺修身(アエラスタイルマガジン2018年夏号より)
 

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