連載
#6 ネットの話題フカボリ
冗談は「オブラートに包んだ悪意」です 小3の出来事を描いて話題に
小学校時代の経験を描いたという漫画が、ネット上で注目を集めています。
小学校時代の経験を描いたという漫画が、ネット上で注目を集めています。クラスの男子にひどいことを言われ、「冗談のつもりだった」と謝る彼に対して、教師が「世の中には冗談が通じない人もいるんだから」と言ったことに驚いた、という内容です。「私にとって冗談はオブラートに包んだ悪意です」と記した作者に話を聞きました。
今月9日にツイッター投稿された漫画。「小3の頃 クラスの男子にひどいことを何度も言われた」という書き出しで始まります。
そのことを担任の教師に伝えると、男子を注意してくれたそうです。
すると男子は教師の前で「冗談のつもりだった」と謝罪。それを聞いていた教師は「世の中には冗談が通じない人もいるんだから」と言いました。
教師の言葉に驚く主人公。最後のコマは、こう結ばれています。
「以来 私は冗談があまり好きじゃない…… 私にとって冗談は『オブラートに包んだ悪意』です」
「冗談でも人を傷つけたら失言になる」を読んで子供の頃のこと思い出した。 pic.twitter.com/63L3TrmAWk
— 後藤羽矢子 (@hayakogoto) 2018年7月9日
この漫画に対して、「冗談とは互いに信頼出来る同じ立場の人間の間で成立するもの」「言われた側が冗談として許す事ができて初めて冗談になる」といったコメントが寄せられ、リツイートは7千、いいねは1万を超えています。
作者は漫画家の後藤羽矢子さん。4コマ誌や青年誌を中心に「うわばみ乙女ずかん」「アスクミ先生に聞いてみた」などを執筆しています。
今回の漫画に込めた思いについて、詳しく話を聞きました。
――描こうと思ったきっかけは
たまたまタイムライン上に「冗談で言ったとしても相手が不快になったならそれは失言です」という内容のツイートがリツイートされてきて、同意するとともに、子どもの頃の記憶が浮かんできて、勢いで漫画にしました。20分ぐらいで描きました。
――後藤さんの実体験に基づく内容なんですね
そうです。実際はその場ではそれほど「えーっ」とならなくて、「ん?」みたいなモヤモヤした気持ちをずっと引きずってて、だいぶ後になって「ああ、あまりよくないこと言われたな」と気づきました。
――描く上で心がけた点や工夫した点を教えてください
なるべくニュートラルというか、先生や男子が「悪役」にならないように描きました。実際、私はその先生がその後も嫌いではありませんでした。
――「冗談はオブラートに包んだ悪意」という言葉が印象的です
大人になって社会に出て、いろんな人と触れ合うと、ちゃんとした人は笑いをとるときも自分がピエロになって、他人をピエロにしないなって気づいたんです。
それに気づいたら、他人をいじる冗談っていうのは、ただの悪意でしかないなと。セクハラもそうなんですが、冗談をかぶせると境界があいまいになるんですよ。そういう意味でもオブラートっていうのがぴったりだなと思いました。
――この漫画を通じて伝えたかったメッセージがあれば教えてください
同じもやもやを抱えている人たちが、スッキリしますようにということです。
――多くの反響が寄せられていることについては
反対意見がほとんどなかったことに、びっくりしました。自分も気をつけようという意見も多くて、共感してもらえて嬉しかったです。
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