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町工場のスゴ技! 継ぎ目が見えない「円柱パズル」 隙間は0.003mm
一見するとただの円柱。ところが、触ってみると実は複雑な断面で4分割されていた。
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一見するとただの円柱。ところが、触ってみると実は複雑な断面で4分割されていた。
一見するとただの円柱。ところが、触ってみると実は複雑な断面で4分割されていた――。福岡県糸島市にある小さな会社が製作した加工サンプル品が、ネット上で注目を集めています。隙間わずか0.003mmという精度で作られたこのサンプルについて、詳しく話を聞きました。
先月26日にツイッター投稿された2枚の画像。1枚目には金属製の円柱が写っています。
2枚目は円柱を指でずらして撮影したもので、実は複雑な断面の4つのパーツが組み合わさって円柱になっていることがわかります。
この投稿に対して、「素晴らしい緻密さ」「溜息が出るほどの加工精度」といったコメントが寄せられ、リツイートは1万、いいねは1万6千を超えています。
先日の展示会で弊社の加工サンプル品が盗難にあった件、皆様にはリツイート頂きましてありがとうございました。
— 株式会社熊本精研工業 (@KUMAKEN_F) 2018年6月26日
もう見つかることは無いだろうという判断で、4分割のサンプル品を再製作しました。
前の4分割は他のところで使われていないことを祈ります・・ pic.twitter.com/wc6lPpLzln
画像を投稿したのは、精密部品や精密金型などを製作している熊本精研工業(福岡県糸島市)です。
「実はこちらの加工サンプルは、完成したばかりの2代目です。前のやつは数年前に作って各地の展示会などで披露していたのですが、先月21日に都内の展示会の最中に盗難にあったんです」
そう話すのは、社長の池内壽孝さんです。前回製作した時のデータが残っており、材料も手元にあったことから、急きょ作り直したそうです。
使ったのは「ワイヤカット放電加工機」という機械。ワイヤの太さは0.2mmありますが、どうやって隙間0.003mmで収めることができるのでしょうか?
「円柱を4分割するのではなく、4つのパーツを別々に作って組み合わせているんです。円柱を切り分けた場合は、断面がガタガタになってしまいますから」
ただ単に機械に頼るだけでは実現できないこの精度。機械の特性を知った上でプログラムを入れ、工場の温度を一定に保つなど、様々な条件で試行錯誤した結果、完成したそうです。
「うちの工場は常に温度を一定に保っています。機械の熱などによっても微妙な誤差が生まれてしまうんですよ」
JAXAにも部品を納入した実績がある熊本精研工業。これほどの精度を求められる部品はよく発注があるのでしょうか?
「宇宙関連に限らず、半導体関連なども高い精度が求められます。加工サンプルだけではなく実際の仕事の中で使っている技術です」
話題になったことについては、こう話します。
「びっくりしましたが、ありがたいです。見ていただいた方が熊研のファンになってくれれば、最高に嬉しいです」
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