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分かりすぎてつらい… スーパー店員、接客での理不尽な体験を漫画に

スーパー店員の彼女を怒らせたものとは?
スーパー店員の彼女を怒らせたものとは? 出典: 狸谷さん(@akatsuki405)のツイッターから引用

目次

 老若男女が足を運ぶスーパーマーケット。その現役店員が、接客時に体験した数々の理不尽を漫画化し、ウェブ上で大きな反響を呼んでいます。客の傍若無人な振る舞いに対し、笑顔で毒づく登場人物の姿勢に、共感の声が引きも切りません。創作の意図を作者に聞きました。

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あるはずのない食品があちこちに…

 「それ、売り物なんで。」。5月12日、そんな見出しの漫画がツイッター上に登場しました。



 最初のコマには、なぜかスーパーのスナック売り場に放置されたショートケーキが。中身の生クリームは、既に溶けてしまっています。

 それだけではありません。冷凍食品ケースにから揚げ、パンの陳列棚にお刺し身…。複数の売り場で、本来あるはずのない食品が次々と見つかります。

店員さんの管理は行き届いているはずなのに…。
店員さんの管理は行き届いているはずなのに…。 出典: 狸谷さん(@akatsuki405)のツイッターから引用

 実は全て、お客さんが移動させたものでした。一度手にしながら、レジへ向かう前に気が変わり、手近な場所に置いていったようです。
 
 適切に温度管理されず、傷んだ食品は廃棄するしかありません。ゴミ箱に捨てながら、主人公の女性店員がにこやかに言い放ちます。

 「こんな風に食べ物をやたらと粗末にした人の行き先は餓鬼道らしいね」。

笑顔でさらりと毒を吐きます。
笑顔でさらりと毒を吐きます。 出典: 狸谷さん(@akatsuki405)のツイッターから引用

 コメント欄には「理解できすぎてつらい」「全部経験ある」といった声が寄せられ、リツイート数は6万を超えています。

柔らかくても毒のある一言を意識

 この漫画は、スーパーの現役店員である狸谷さん(@akatsuki405)が描き下ろしました。自らをモデルにしたという、スーパーのベテランアルバイト・鳥海(とりかい)さんが主人公です。

 宝島社から「チェッカー鳥海さん、レジまでお願いします」(このマンガがすごい!comics)というタイトルで単行本化もされています。

宝島社から刊行された単行本の書影。鳥海さん(右)は笑顔が特徴です。
宝島社から刊行された単行本の書影。鳥海さん(右)は笑顔が特徴です。 出典: 「このマンガがすごい!comics チェッカー鳥海さん、レジまでお願いします」(宝島社)

 作中では鳥海さんを中心に、客からの無理難題に対応する店員たちの日常が描かれています。狸谷さんに、作案の背景を教えてもらいました。

 

神戸

スーパーを舞台にしようと思った理由は何ですか?

 

狸谷さん

一番身近だったからです。今のお店には10年ほど勤務しています。

 

狸谷さん

お客さんから理不尽な要求を突きつけられることもあり、ネタにしないとやっていけないと思ったんです(笑)。

 

神戸

切実な事情があったんですね…。漫画のアイデアは、どう考えているんですか?

 

狸谷さん

作中のエピソードは全て実話なんです。印象に残る出来事があるたび、レジの横にあるメモ用紙に書き残しています。

 

神戸

そうなんですね!どう選んでいるんでしょう?

 

狸谷さん

シンプルに、自分が面白いと思えるかどうかですね。

 

神戸

なるほど。描くときに気をつけている点についても教えて下さい。

 

狸谷さん

いろいろありますが、例えば「キャラクターのせりふがきつくなりすぎないようにする」でしょうか。ツイッター上に掲載した漫画でいえば、実際はもっと厳しいことを思っていたんです(笑)。

 

狸谷さん

そのまま書くと、読む人を傷つけてしまいかねない。だから、柔らかくても毒がある一言を考えるようにしています。

「客と店員の間に力関係がある」

今日もレジではつばぜり合いが。
今日もレジではつばぜり合いが。 出典: 「このマンガがすごい!comics チェッカー鳥海さん、レジまでお願いします」(宝島社)

 

神戸

ツイッター上で公開した漫画が広く読まれていますね。

 

狸谷さん

予想以上の反応で驚きました。感想もたくさんいただいています。「犬用ジャーキーがおつまみコーナーにあって困った」とか、「本屋でも定位置に書籍が置かれていないことがある」とか。

 

狸谷さん

みなさん、大変な思いをされているんですね…。

 

神戸

個人的には、作品全体を通じ、店員さんの苦悩を訴えている印象も受けました。

 

神戸

接客で苦労している方々にとって、他人事と思えなかったのでは?

 

狸谷さん

そうですね。店員とお客さんとの間には力関係があります。筋が通っていないことをされても、私たちはなかなか強く出られません。

 

狸谷さん

十分に注意喚起をしてこなかった結果、お客さん側に「店員は言われたことをやって当たり前」という意識が根付いてしまったと感じています。

 

神戸

読んで楽しいだけではなく、社会の今を考える機会にもなりそうですね。

 

神戸

改めて、読者に伝えたいことはありますか?

 

狸谷さん

接客時に辛い思いをした方もいると思います。漫画に描かれているように、相手を不快にさせず、やんわり言い返す術もあると知ってほしいです。

 

狸谷さん

あと、店内で放置された食品を見つけたら、まずはレジ担当者か周囲の店員に一声かけてもらえるとありがたいですね。
狸谷さんの作品も載っている宝島社のウェブサイトはこちら

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