長野に転勤してきて驚いたこと。それは「下草火災」です。しょっちゅう起きるのです。どうして長野でこんなに多いのでしょう。県外出身の我々2人にとって「長野に来て驚いたことベスト5」に入る謎です。特にこの春は下草火災が急増していて、7人もの方がお亡くなりになっています。犠牲者まで出ていることを考えると、これはもう一種の社会問題。シタクサカサイに迫ります。(朝日新聞長野総局記者・田中奏子=島根出身、大野択生=東京出身)
2月以降、198件7人死亡
択生
長野県消防課
実は下草火災と呼ぶのは警察で、長野県は枯れ草火災と呼ぶ(ややこしいので、以下は下草火災で統一)。
択生
長野県消防課

「過去5年間で最悪の数字です」
択生
長野県消防課
択生
長野県消防課
択生
長野県消防課
択生
長野県消防課
択生
長野県消防課
択生
長野県消防課

県によってもバラバラ
奏子
奏子
奏子
実は「下草火災」について、他県は微妙に違う。新潟は「枯れ草火災」、岐阜は「たき火火災」。
【ミニ解説・長野は数字でも突出】
呼び方が違うとはいえ、発生件数で長野が突出しているのは事実。岐阜県の発生件数は、昨年1年間で82件。新潟県に至っては「少ないので統計を取っていない」

野焼き、法律的には……
奏子
長野県農業技術課
奏子
長野県農業技術課
奏子
長野県農業技術課
奏子
長野県農業技術課
奏子
長野県農業技術課
畑作が多い、空気が乾燥している、風が強い、昔からの習慣、などなど思いつく理由はあるが、決め手はない。

「燃やさせぬ」試みも
「燃やさせない」試みを始めたところもあります。
長野市は2005年度から、農家が枝切りした果樹の枝を、まきストーブの燃料に使う家庭に提供する仲介事業を進めています。
これまでに延べ約1800人が利用しました。
市によると、毎年秋に枝の提供者と希望者から申し込みを受け付け、条件に見合う人をマッチング。金品の授受は禁じたうえで、あとのやりとりは利用者同士に任せています。
事業を始めたきっかけは火災の原因となる野焼きや煙への苦情を減らすこと。
焼却以外の処分方法を農家に呼び掛けている県農業技術課は、「長野市の事業は先進事例の一つだ」と説明しています。
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田中奏子(かなこ)2017年入社、23歳。島根出身。ハムスターのたまちゃんを新潟に置いてきた。酒は飲めない。
大野択生(たくみ)2016年入社、24歳。東京出身。取材で挑戦したトレランにはまりそう。