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「スーツみたいな作業着」なぜ作った? 開発元に狙いを聞きました
「スーツみたいな作業着」が発売され、ネット上で注目を集めています。
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「スーツみたいな作業着」が発売され、ネット上で注目を集めています。
「スーツみたいな作業着」が発売され、ネット上で注目を集めています。「面白い」「私服に欲しいレベル」といった声の一方で、「消耗品である作業服にしては高過ぎる」「スーツで作業すればよい」といった声も上がっています。どういった狙いで開発したのか? 販売元の代表取締役に話を聞きました。
先月下旬、水道工事やメンテナンスなどを手がけるオアシスソリューション(東京都)のグループ会社が、スーツ型作業着「WORK WEAR SUIT(ワークウェアスーツ)」の販売開始を発表しました。
「スーツを作業着にする」という女性開発チームのコンセプトのもとで、オアシスソリューションが培ってきた施工現場でのノウハウを生かし、現場で作業しやすい高機能で、ファッション性に優れた次世代の作業着として開発したといいます。
ホームページを見ると、スタイリッシュなジャケット・パンツだけでなく、シャツやマウンテンブルゾンまであり、女性用もラインナップされています。
発表文では、開発理由をこう説明しています。
「昨今、震災復興やホテル建設ラッシュなどが重なり、清掃・設備・建設業界では人手不足が続いています。さらには、就業者数における若年齢層(20~30代)の減少が深刻な問題となっており、大きな社会問題となっています」
「作業着が『きつい・汚い・格好悪い・身だしなみが悪い』といった業界のマイナスイメージに影響していると考え、一般的に、若者の間ではスーツを着た職業がスマートで格好いいというイメージがあることから、 WORK WEAR SUITの開発に至りました」
「WORK WEAR SUIT」を販売するのはオアシススタイルウェア(東京都)です。すでに、ゴミ回収を手掛ける会社での採用が決まっているというスーツ型作業着について、代表取締役の中村有沙さんに話を聞きました。
――開発のきっかけを教えてください。
グループ企業の水道工事部門の作業着リニューアルプロジェクトで、「若者ウケするスーツみたいなスタイルで作業できないんですかね」という女性人事の発言から誕生しました。
過去に社内の作業員から、「この作業着のパンツで出勤するのが恥ずかしい」「今日はデートだから作業着のまま帰らずに全身着替えて帰る」といった意見をよく聞いていたことが、きっかけになっています。
――商品ラインナップや価格を教えてください
50着以上の大口法人価格で、上下スーツが19800円から、シャツが5000円から、ブルゾンが15000円から、となっています。価格は税抜きで、枚数によって変動します。
――商品の特徴は
細身のスーツスタイルの作業着は、当社が調べた限りでは世界初です。機能的には、国内最高レベルのストレッチ性、形状記憶・撥水機能を備えています。
丸洗いでき、乾きも早く、しわにならずアイロンも不要です。また、ファスナーポケットがたくさんあって作業着と同等の収納力があります。
――商品化するにあたって苦労した点は
実際にスーツスタイルで作業に支障がないかどうか、半年の試験運用を経て商品化しました。
現場社員からは「スーツスタイルだと髪形を気にしなければいけない」「汚れたら当日すぐ洗わないと気になる」といった点が不評で、導入に際して多くの反発がありました。
しかし、2カ月経過したあたりから、「従来品よりも作業がしやすい」「髪形をセットするのが習慣になった」「こまめに洗うほうが気持ちが良い」といった声が上がり、反対する社員はいなくなりました。
お客様からも「サービスレベルが上がった」との声を多くいただいています。
――ゴミ回収を手掛ける会社で採用が決まっているそうですね
他にも、現在大手ディベロッパー系列の管理会社、大手商業施設のメンテナンス部門で試験採用が始まっています。
――「私服として欲しいレベル」といった声や、「消耗品である作業服にしては高過ぎる」といった意見も上がっています
さまざまなご意見をいただき、ありがたい限りです。
工事現場や高所での作業などでは、従来の作業着の方が機能的で価格も安く、批判的なご意見はごもっともです。このスーツ型作業着が向く現場と、そうでない現場があり、軽微な作業や大幅に汚れない現場などで有効活用いただけると思います。
さまざまなお声をいただいているということは、それだけ斬新な切り口だったのだと捉えています。作業着でもない、スーツでもない、第三の選択肢としてのカテゴリーを確立できたらと思っています。
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