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2018年04月19日

「糖質制限」取りつかれた男性…友人との食事も「5キロ走ってから」

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男性は体重が気になり受験の当日まで走ったという

男性は体重が気になり受験の当日まで走ったという

出典: https://pixta.jp/

 食べる量を減らす拒食や食べ過ぎてしまう過食といった「摂食障害」は、若い女性がかかるというイメージがある。しかし、過剰に体重にこだわるようになったり友人と食事をとれなくなってしまったりする男性もいる。ぽっちゃり体形がコンプレックスで、「糖質オフ」を知ってからどんどん食べる量を減らした会社員の男性(24)は、いま「友達と安心してごはんに行けるようになりたい」と願う。


受験当日までランニング

 「肉とかごはんよりもお菓子が好きな子ども時代でした」

 神奈川県に住む男性は、小学校3年生のときには154センチ75キロだった。体を動かすのは好きだったが、食べることも好きで、中学3年生の頃までは「周りと比べても太っていたと思います」と振り返る。

 サッカーをしていたが、「太っていても活躍できる」と考え、アメフト部のある中高一貫の学校に入学した。そこで、文化祭のステージに立つ先輩たちを見て「かっこいいな。あんな風になりたいな」と思うようになった。

 高校生になると部活をやめて、ランニング好きだった父の影響もあり、走り始めた。

 あわせてカロリーの制限も始めた。栄養の知識は全くなく、カロリーさえとらなければいいと考えた。夕食は自宅で食べるので、昼を「フィナンシェ1本」などでしのぐ。

 1カ月1キロのペースでやせていき、75キロあった体重は、2年生で約165センチ58キロに。「やせたね」と言われることが自信になって、どんどん「やせたい気持ち」が加速していった。

 雨でも雪でも、毎日5キロのランニングを欠かさず、週末は10キロを走り込んだ。受験の当日まで走った。「自分は人より10倍、20倍太りやすいから、人より運動しないと」。そんな思いが頭から離れなかった。

【男性の摂食障害、実態は……】摂食障害の患者数は、病院の受診者だけで2万4500人との推計(厚生労働省研究班の調査)がある。9割が女性との報告もあるが、病院にかかっていない人や男性の当事者が実際にどのぐらいいるのかなどは分かっていない。

今もよくランニングする男性。「本当なら毎日走りたい」

今もよくランニングする男性。「本当なら毎日走りたい」

「かっこよくなるにはやせるしかない」

 入学後も、「受験太りしたな」と感じて菓子パンや甘いものを我慢し、お昼の量も減らした。でも、写真を撮ると「周りより顔が太ってるな」と感じる。友人たちより食べていないのに。

 もうちょっとやせたい。テニスサークルでのテニスとランニングで体を動かしていたが、夜遅くに飲み会があると罪悪感を覚えるようになった。

 大学2年生の頃に、高校時代の男友達に会って、何げなく「丸くなったな」と言われた時に「やばい」と思った。

 付き合っていた彼女と別れた時期とも重なり「もっとかっこよくなるにはやせるしかない」と思い詰めた。

 夜勤のバイトをきっかけに夕飯を抜くようになり、だんだんそれが当たり前になった。

運動しながらも夜の飲み会では罪悪感を感じたという

運動しながらも夜の飲み会では罪悪感を感じたという

出典:https://pixta.jp/

ケーキ10個も…月に1回の過食

 大学3年の頃からは、「糖質オフ」という言葉を知ってどんどん炭水化物を避けるようになった。その年に海外へ留学。炭水化物をとるのは朝食ぐらいで、体重が50キロを割るようになった。

 どんどんやせていく自分を見て、留学先でできた友人たちは「大丈夫?」と心配した。それでも自分自身は「不調もないし、朝起きて胃もたれもない。悪いことなんかない」と考えていた。

 一方で、過食してしまうこともあった。「ときどき炭水化物を食べて体をだますとやせやすい」と聞き、1カ月に1度ほど「チートデー」をつくった。炭水化物を食べ始めると、たがが外れたように大きなケーキ10個などを過食してしまう。

 「気持ち悪いし、吐いてしまったこともあった。何で止まらないんだ、何でこんなことしてしまうんだって自己嫌悪になりました」

スーパーの店頭に並んだ糖質オフをうたう商品

スーパーの店頭に並んだ糖質オフをうたう商品

出典: 朝日新聞

5キロ走らないと安心できない

 昨春、社会人になった直後は、一時体重が47キロまで減った。手首は細くなり、階段を上がるのもつらい。やっと「仕事では体力も大事だ。自分は気にしすぎているのかも」と考えるようになった。

 玄米や全粒粉のパンなどを口にするようになり、ゆるやかに体重を増やした。この半年ほどで「食べたって、そんなにすごい太り方はしない。自分のこだわりを緩めていこう」と思えるようになってきた。

 昔よりは「食べる」ことに恐怖心はない。

 それでも、友人と夜ごはんの約束をしていたら、5キロ走ってからでないと安心できない。1週間に1キロぐらい体重が増えると、本音では「太っちゃった。やばい」と思ってしまう。

 友人と食べるごはんは、糖質が何割、脂質が何割と数値で見える。「体にいいものしか入れたくない」

 「糖質制限」といったダイエット方法が当たり前のように言われる社会に、「自分みたいになってしまう人がいるかもしれない」と危うさを感じる。

 「なんかターミネーターみたいなんですよ。機能で食べ物を見てるんです。そんな風に、ご飯を数字で見るんじゃなくて、出てきた食事をそのまま『おいしそうだな』と思って食べたいんです」

【拒食、体重増加の恐怖……】 体重増加への恐怖があり、自分の体重や体形の体験(ボディ・イメージ)に障害などが見られるのが「神経性やせ症(拒食症)」(日本摂食障害学会の「摂食障害 医学的ケアのためのガイド」より)。頭が「どうやって体重を減らすか」でいっぱいになることもあり、症状が改善しても、食事をするときに緊張感が残る人がいる。

食品の栄養成分表示

食品の栄養成分表示

出典: 朝日新聞

「なんでも食べていいとしたら、何を食べる?」

 男性に、「なんでも食べていいとしたら、何を食べる?」と尋ねると、「スコーンかな。おばあちゃんの家で、昔からチーズタルトとかアップルパイとか食べて、おいしかったんです。糖質制限を始めたら、白米を食べたいとは全く思わないけど、パンは食べたいと思うんですよね」と話してくれた。

 「友達と、何も気にせず食べてたのが懐かしいです」

自分に自信がないと、摂食障害? 意外なチェックポイント
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