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IT・科学

あのポーズ…恥ずかしがらずに知ってほしい! 座薬「3つの長所」

日陰者の座薬に光を当てたい…カラフルな座薬を使った授業
日陰者の座薬に光を当てたい…カラフルな座薬を使った授業

目次

 「痛い」「使いづらい」「恥ずかしい」といった印象を持たれがちな座薬。アンケートでダントツの「嫌いな薬」に選ばれた座薬には、口から飲む薬にはないメリットも。そんなちょっと日陰者の座薬に光を当てようと、あの手この手の取り組みを続けている先生がいます。子どもたちに教えるため「カラフル座薬」まで作ってしまったという、その取り組みとは?(薬剤師ライター・高垣育)

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抵抗感のある「あのポーズ」

 効果があるとわかっても、なかなか、親近感のわかないのが座薬です。使う際のあのポーズ、たとえ親や医療従事者が挿入してくれる場合でも抵抗感があります。

 そんな座薬の苦手意識を減らし、座薬の正しい使い方を知ってもらう取り組みをしているのが帝京大学薬学部の齋藤百枝美教授です。

 薬の正しい使い方について、実験を通し、体験して学べるプログラムを考案。親と子供が一緒に参加する「親子でわくわくおくすり教室」と、子供だけで参加する「わくわくおくすり教室」で座薬の特徴や正しい使い方を伝えています。

 座薬を使う前には必ず手を洗うので、まずは正しい手洗いを知ってもらう手洗い実験からスタート。次に、いよいよ座薬を作る実験をします。

座薬について学ぶ参加者
座薬について学ぶ参加者

「苦手な薬 第1位」

 実は過去7回の講座で参加者した子どもと保護者それぞれに対し「使うのが苦手な薬」のアンケートをしたところ……。

 7回とも「苦手な薬 第1位」になったのが「座薬」でした。理由は、保護者は「使いづらい」「子供が嫌がる」、子供は「痛い」「嫌な感じがする」などです。

 そんな座薬ですが、座薬には多くの長所があります。

座薬作りに挑戦する参加者
座薬作りに挑戦する参加者

スピード感が違う

 まずスピード。座薬は薬の効果が出るのが速い。

 薬を口から飲んだ場合、薬は胃、腸、肝臓を通ってからようやく全身へと運ばれ、そして、薬を必要とする場所に届けられて、はじめて効果を発揮します。

 では、座薬はどうかというと。

 直腸で吸収されるとすぐに血液中に入って、全身へ運ばれていきます。

 飲み薬よりも、血液に入るタイミングが早いのです。

 だから飲み薬よりも座薬の方が早く薬の効果を得ることができます。

カラフル座薬の原料を調合する子ども
カラフル座薬の原料を調合する子ども

直接届く

 口から飲んだ薬は、肝臓にたどりつくと、そこで一部が分解されてしまいます。

 ところが、座薬は飲み薬と違って最初の肝臓による分解の影響を受けません。

 このため、より多くの薬を体の必要な場所に届けることができます。

カラフル座薬の原料を型に流し込む参加者
カラフル座薬の原料を型に流し込む参加者

胃にやさしい

 座薬は胃を通らないので、胃腸障害が起こりづらいと言われています。

 これまでに痛み止めを飲んで胃が痛くなった経験がある人。

 座薬に変更することで胃の症状を減らすことができるかもしれません。

 吐き気があったり、嘔吐している場合も威力を発揮します。

 高齢でうまく薬を飲み込めない方や、赤ちゃんなど、口から薬を飲むことが困難な人。

 そんな人でも、座薬なら使うことができるのです。

 また、薬に苦い味や嫌な臭いがあって飲みづらい場合でも、座薬なら気になりません。

完成したカラフル座薬
完成したカラフル座薬

「苦手意識をなくして」

 「座薬は、けいれんが起こったり、吐き気がひどくて薬を口から飲めないときや、すぐに薬の効き目を得たいときなどに大活躍してくれる優れた剤型です」と話す齋藤教授。

 「座薬づくりの実験を通して座薬に触れ、正しく使う知識を身につけて苦手意識をなくしてもらいたいですね」と話しています。

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