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グルメ

SNSで話題、台湾の「胡椒餅」ミシュラン注目、日本でもブームの予感

東京・新宿の台湾料理店「山珍居」の胡椒餅
東京・新宿の台湾料理店「山珍居」の胡椒餅

目次

 インスタグラムで検索すると、1万7千件近くの画像がヒットする「胡椒餅」。台湾の夜市などで愛されるB級グルメが、SNSなどを通じて日本人にも広がっています。withnews編集部とアイデア募集サイト「Blabo!(ブラボ!)」の「2018年ブームの予想企画」でも、上位にランクインしました。ミシュランガイドの台湾版に掲載されている店もあり、旅行者が口を揃えてその美味しさを絶賛。都内で5年前から販売している老舗台湾料理店も「リピーターが多く、売り上げが確実に伸びています」とブームの予感を感じています。

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Blabo!に「きっと日本でも流行るはず!」と台湾旅行経験者からコメントが寄せられた胡椒餅
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ミシュランも注目、胡椒餅はどんなもの?

 「旅行に行って食べてみて、その美味しさにびっくり。ネギと胡椒が効いたピリ辛の味は絶品。きっと日本でも流行るはず!」

 予想企画にこんなコメントが掲載された胡椒餅。名前だけ見ると、お餅のイメージを持つかもしれませんが、胡椒がよく効いた「焼き肉まん」、あるいは「肉餡が入ったパン」です。中国語の「餅」は、いわゆる焼いた小麦粉の食べ物(=パン)。外はパリパリ、中がもっちりとした生地になっています。

 ルーツの一説は、中国福州の「葱肉餅」だと言われ、地元方言では「福州」と「胡椒」の発音が近いため、台湾で「胡椒餅」になったとも言われています。その後台湾では台湾人の口に合うよう独自に発展し、現在は台北を中心に多くの専門店があります。

 今月発表された台湾版のミシュランガイドでは、台北の夜市にある「福州世祖胡椒餅」という店が掲載されました。そもそも夜市は地元の台湾人がよく足を運ぶところで、日本人観光客にも人気が高く、インスタでは夜市で買った胡椒餅の写真がアップされています。

 JTBによると、胡椒餅はここ最近で人気が高まったというより、「夜市のB級グルメとして長年人気」とのこと。台湾への旅行者数自体がここ数年伸び続けているので、「必然的に胡椒餅も食べる機会が増えているのでは」と話します。

にぎわう華西街夜市=2006年、台北市
にぎわう華西街夜市=2006年、台北市 出典: 朝日新聞

都内でも老舗料理店でも販売

 ミシュランにも認められた胡椒餅。東京・新宿でも手作りで販売している場所がありました。1947年創業の老舗台湾料理店「山珍居」です。創業者の故・黄玉火(ホァン・ユホ)さんの娘で、店を兄と切り盛りする黄華月(ホァン・ホアユエ)さんに話を聞きました。

 「胡椒餅を販売したのは5年前ですね。当時はちょうど父が亡くなって、私と兄で店を続けていくことになった。何か『名物になるもの』を考えたところ、小さい時から大好きな胡椒餅を思い出したんです」

 現在も多くの親族が住んでいるため、定期的に台湾を訪れているという華月さん。もちろん、夜市にも足を運んでおり、そこで胡椒餅も見かけていました。

 「お土産にもなるような食べ物で、若いお客さんも手軽に食べられるものを。そう考えたとき、台湾で食べた美味しい胡椒餅だとひらめきました」

「山珍居」の胡椒餅。外見はパンのようにも見える
「山珍居」の胡椒餅。外見はパンのようにも見える

店ごとに独自の味

 台湾名の料理メニューを掲げ、創業から守り続けている台湾本場の味が楽しめる山珍居。日本生まれ日本育ちの華月さんも、台湾の味にこだわっているそうです。

 記者も山珍居の胡椒餅を食べてみました。お肉は調味料の味がしっかり染み込んでいて、食べ応えもありました。

 胡椒餅の味は台湾でも統一した基準があるわけではありません。原料に関しては「小麦粉、豚肉、胡椒、ネギ、調味料」と決まっていますが、お店ごとに独自の味を出しているそうです。

 味に厳しい父親の元で小さい頃から店の手伝いをしてきた華月さん。「大体食べるだけで、料理の原料などが分かる」という鋭い味覚が培われ、胡椒餅の味付けも「色々な胡椒餅を台湾で食べて、好きな味を再現できた」と話します。

1947年創業の台湾料理店「山珍居」
1947年創業の台湾料理店「山珍居」

同じ「餅」、日中でニュアンスの違い

 取材で華月さんは、日本と中国では同じ漢字でも料理のニュアンスが異なることがあることを強調しました。
 
 「胡椒餅」の「餅」を例にすると、日本語で「餅」と言えば、もち米で作られた「もちもち、ねばねばのもの」というイメージがあります。しかし中国語では「焼いた小麦粉の食べ物」で、パリパリというイメージが強いです。「胡椒餅」の正確な訳語は「焼き肉まんじゅう」と言えます。

 また、料理をほめる言葉の一つ「香」に関しても「微妙にニュアンスが違う」と華月さんが話しました。日本人は「香」と言ったら、おそらく「いい匂い」と連想します。一方、中国語では「美味しい」という意味です。まさに胡椒餅は、両方の「香」で表現される食べ物と言えます。

 「手前味噌ではないですが、胡椒餅は朝ご飯としても美味しいし、ビールのつまみにすれば、最高だと思いますよ。赤ワインもいいかも」

店頭で販売している胡椒餅
店頭で販売している胡椒餅

「もっと知ってほしい」

 台湾では「福州世祖胡椒餅」のような専門店が、連日長蛇の列という盛況ぶりを見せています。では、日本ではどんな手応えでしょうか。華月さんによると、「5年前と比べて、やはり口コミとネットの影響で、売り上げが確実に伸びています。リピーターが多く、男性・女性問わずに人気が出ている」そうです。

 「電話での問い合わせがすごく多いです。時々贈答用で100個の注文も入ります」
 
 山珍居の胡椒餅は1個330円(税込)。華月さんが全部手作りで対応しているため、店頭にあるかどうかは、電話(03-3376-0541。12~14時、17~22時の開店時間中。月曜日は定休日)で確認したほうがよいそうです。胡椒餅が日本でも流行るだろうという希望を込めて、「せっかくこんな美味しいものがあるので、もっとみんなに知ってもらい」と、華月さんが微笑みながら話しました。

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