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#20 城崎広告「会社員のモヤモヤ」

飲み会で「何でも決まる」ってアリなの? 「情報共有は積極的に」

目次

 サラリーマンの日々をキャラ化した「城崎広告」のメンバーが日頃感じている疑問を、withnews編集部がフカボリ取材する「会社員のモヤモヤ」。19回目は「飲み会での意思決定」についてです。
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今回の登場人物

猫渕渉
42歳の企画部部長。長年の経験で築いた人脈とそつのない仕事ぶりに定評あり。趣味は読書、お酒、料理。

 

菅原数臣
37歳の事業推進部部長。経理担当として経験豊富なうえ、ソフトウェア分野にも精通。趣味は数学、ミルクパズル、資産運用。

 

千歳原教次
40歳の営業部部長。経験豊富で、他人に厳しく自分にはより一層厳しい。趣味はオーディオとバイク。

みんなで取り組んでいた懸案事項がいつのまにか飲み会や喫煙室で決まっている……そんなモヤモヤ、誰しも一度は経験があるのではないでしょうか?

 

菅原

お二人が良い結論にたどり着いたのは何よりですが、本案件は私も関係しますので、改めて説明を求めます。

 

千歳原

む……その通りだな、すまない、先走ってしまった。

 

猫渕

ごめんごめん、菅原くんをないがしろにするつもりじゃなかったんだよ。

 

菅原

その点は承知しています。しかし、会議の場では生まれない名案が、喫煙室や飲み会で生まれてくるというのは……不可解ですが、現象としてはしばしば見受けられるようですね。

 

千歳原

ああ、俺も何度か経験がある。やはり、煮詰まった時に適度にリラックスすることが良いのだろうか?

 

猫渕

そうかもしれないね。でも、そもそもこういうのってアリなのかな……? 今回はこれについて取材してもらおうか。

 昔から「飲みニケ-ション」といった言葉があるように、飲み会など業務外でのコミュニケーションの場でも、業務に関する方向性が決まることがあります。
 飲み会での決定は何となくダメな気がするけど、良いこともあるような…。企業や官公庁の働き方改革支援を行っている、業務プロセス・オフィスコミュニケーション改善士の沢渡あまねさんに聞きました。

沢渡あまねさん
沢渡あまねさん

意思決定が下されることはNG

 飲み会で業務に関する決定が下されることは基本的にNGです。

 理由としては、その場に居合わせなかった人との情報量の格差がある中で決定してしまっているからです。では、情報量の格差がある状態での決定すると、どのような弊害が生まれてくるでしょうか?

 一番は、不公平感を感じることによるモチベーションの低下です。一つのチームとして同じプロジェクトに携わっているにもかかわらず、自分のいないところで知らない間に物事が決まっていたとしたら、意思決定に関われなかったメンバーはどう思うでしょうか?
 恐らくは、「自分はこのチームには必要のない存在なのでは…」と自分の価値を低く感じ、自分の業務に対する前向きな意欲を削られると思います。
不公平感を感じることによってモチベーションが低下する
不公平感を感じることによってモチベーションが低下する

 また、情報が偏ってしまうので、正しい判断ができないということも考えられます。その場にいた人だけの知見による判断になってしまうため、偏った情報による判断が下されることで、大局的な視点が抜けていたり、発生しうるリスクがカバーできていなかったりします。

 企業の情報セキュリティーに対する意識の問題にもつながってきます。いつどこで誰が何をきいているかわからない今の世の中で、飲食店といったパブリックな場所で業務の決定に関わるような話をすることは大変リスクが高い行為です。

 

千歳原

耳が痛いな。今回は喫煙室だったが、煙草を吸わない菅原を置き去りにしてしまったのは事実だ。

 

菅原

私個人としては、どのような形で導き出された結論であろうが、説明を聞いて納得できれば問題ありません。しかし、組織運営という観点では、やはり問題の方が大きいようですね。

 

千歳原

セキュリティーの懸念ももっともだ。飲み会はもちろん、喫煙室も様々な立場、所属の人間がふらりと集まる場所だからな。

情報共有は積極的に

 では、飲み会で業務の話をすることは全て悪なのでしょうか?
 
 使い方次第では、そうとは言い切れません。職場のコミュニケーションは多い方が良いというのは周知の事実かと思います。事実、様々な企業がコミュニケーションの機会を増やすために様々な取り組みをしてきました。

 一昔前であれば社員旅行や会社主催の運動会などがそれにあたるでしょう。
 最近でもオフィスにダーツをおいたり、卓球台を設置したり、オフィスの一角に軽食コーナーを作ったりするなど、社員同士のコミュニケーションを良くするために手を変え、品を変え取り組んでいます。
情報共有は積極的に
情報共有は積極的に

 飲み会もコミュニケーションを活性化するツールとして利用する場合、貴重な一つの手段として位置づけることができます。雑談や業務の内容でも情報共有をする場合の活用は積極的に行っていいと思います。
 ただ、セキュリティーの観点から時と場所と話題に関しては気を付けたいですね。

 

猫渕

情報共有という意味では、たしかに昔から喫煙室にはお世話になったなぁ。セキュリティー的には問題だったところもあるけど、他部署の情報とか、偉い人の話なんかも飛び込んできたしね。

 

菅原

飲み会にもそうした効果はのぞめると思います。ただ、業務が繁忙期にはいると、なかなか交流のための会を設定することが難しくなります。

 

猫渕

気軽さでいうと喫煙室だけど、煙草を吸わないひとを締め出しちゃうから、あんまりよくないよね。うちでいうと休憩スペースをうまく活かせるといいのかもしれないな。

社内SNSツールでの実践がおすすめ

 実際に職場で情報量の格差を無くした状態で決定を下すにはどのような取り組みが有効でしょうか? ある程度のルールや決まりを設定することは必要になってくると思いますが、おすすめはチームや部署、組織単位など社内の関係者だけが見ることができるSNSの活用です。

 具体的には、出てきたアイデアを関係者全員が見られるように、SNSに掲載し、その内容を基にして意思決定をしていく、といった流れになります。全員の目に触れられる場所に掲載した上で意思決定をすることで公平な合意形成の場を作り出すことができます。

 こうすることで、飲み会に参加しないメンバーがいたとしても情報の公平感を保つことができ、結果としてそれは組織の意思決定への信頼につながっていきます。有能なマネジャーほど、組織における情報の公平感を大切しています。

 

菅原

グループチャットの活用は、城崎広告でも推進しているところです。

 

千歳原

いついたアイデアを備忘録的に共有することができ、かつ公平に情報を共有したうえで意思決定につなげる場所か。うまく活用できれば理想的だな。

 

猫渕

いやぁ、ぼくたちが若い時にはできなかったことだけど、今なら技術的には簡単にできちゃうことだよね。すごいなぁ。

まずは半径5m以内のコミュニケーションの改善から

 とはいえ、社内へのツールの導入の決定権やルールを決める権利は自分には無い…といった人の方が多いのではないかと思います。そこで、まずは自分の周りの半径5m以内の社内コミュニケーションの潤滑化に特化していくのが良いと思います。

 試しにチーム内でSlackなどのコミュニケーションツールを入れてみる…ということができればいいですが、単純にオフィスの一角にお菓子コーナーを作ってみてコミュニケーションを増やす…であってもいいと思います。
 小さなことでまずはやってみることで、オフィスの雰囲気ががらっと変わることもあります。

 このような現場で始まった小さな取り組みが全社的な大きなうねりにつながるケースもたくさんあります。ぜひ今回の内容をヒントにしていただきつつ、職場のよりよいコミュニケーションにつなげていってください。

 

猫渕

半径5m以内のコミュニケーションか。うん、せっかくうちは小規模なんだから、風通しはよくしておきたいよね。

 

千歳原

3部署に分かれているといっても、実質的には全員半径5m以内の規模ですからね。俺もたまには朝日奈や大神に差し入れでもしてみようかと思います。

 

猫渕

いいんじゃないかな? 2人とも驚きそうだけど、喜んで話も弾むと思うよ。

取材を終えて~「城崎広告」より~

 

猫渕

喫煙室の一件は反省したよ。うちで煙草を吸うのは、今のところ千歳原くんとぼくだけだし、あんまり盛り上がりすぎないように気をつけます。

 

千歳原

ビル共有の喫煙所だからセキュリティー面も気になるしな。菅原、すまなかった。

 

菅原

その件はもう気にしていただく必要はありませんが、行き詰った会議や課題を解決する一手となりうる、コミュニケーションスペースの仕掛けは積極的に考えていくべきですね。

 

猫渕

今でもみんな自由に使ってるけど、もっと話が弾む仕掛けができたらいいね。

 

千歳原

そういえば、猫渕さんが作りすぎたお惣菜を持ってきてくれた時は、皆で盛り上がりましたね。

 

猫渕

ええっ、そ、そうだったっけ?

 

菅原

はい、たしかに盛り上がりました。しかも猫渕さんの料理は野菜が豊富で、栄養バランスも素晴らしいです。

 

猫渕

そ、そう……?

 

菅原

社員の栄養が改善され、なおかつコミュニケーションが活性化する。完璧です。ということですので、今後、猫渕さんのお惣菜DAYを設けてはいかがでしょうか?

 

千歳原

賛成だ。

 

猫渕

ちょ、ちょっと待って、いつも作りすぎてるわけじゃないからね?

 

千歳原

猫渕さん、よろしくお願いします。

 

菅原

業務にもつながるものですから、材料費は経費として請求できるようにします。

 

猫渕

あ、経費で落とせるかもしれないんだ……うーん、じゃあちょっとだけ、考えてみますか。

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