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子どもは減っているのに…「待機児童」が減らない「二つの理由」
認可保育施設に申し込んでも入れない「待機児童」の問題がなくなりません。歴代政権はこの20年近く「待機児童ゼロ」を約束してきましたが、実現していません。子どもの数は少なくなっているのに、どうしてでしょうか。「待機児童」について超解説します。(朝日新聞文化くらし報道部記者・中井なつみ)
政府が4年前に発表した計画では、2017年度末までに待機児童を「ゼロ」にするはずでした。ところが、厚生労働省が発表した昨年春の待機児童は全国で約2万6千人。3年続けて増えており、この春もゼロになる見通しはありません。
計画通りにならなかった原因の一つは、働く女性が予想を上回るペースで増えたことです。女性の社会進出の影響だけでなく、子育て世帯の平均所得が大幅に落ち込んだことなどが背景にあります。
もう一つの原因は、ニーズの多い都市部で保育園の整備がなかなか進まないことです。土地や家賃が高く、人手不足の保育士も集まらないためです。
政府は保育の受け皿を32万人分増やして、目標を3年遅らせて2020年度までに待機児童ゼロを実現するとしています。しかし、それでは足りないという分析もあります。
子どもたちが安心して過ごせ、働きたいと思う親たちの希望がなかうように、今度こそ、腰を据えた対策が迫られています。