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マンボウに「ギネス塗り替える」発見!「おっとっと」への影響は?
「最弱生物」「3億個の卵を産んで2匹しか生き残らない」など、インターネット上での都市伝説の的になっているのがマンボウです。2017年12月、そんなマンボウについて「ギネス世界記録を塗り替える発見がありました!」という連絡が入りました。
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「最弱生物」「3億個の卵を産んで2匹しか生き残らない」など、インターネット上での都市伝説の的になっているのがマンボウです。2017年12月、そんなマンボウについて「ギネス世界記録を塗り替える発見がありました!」という連絡が入りました。
澤井さん、今回発表した論文とはどんな内容なんでしょうか!
よくぞ聞いてくれました。
実は、ギネスブックに載っている世界記録を塗り替える発見をしたのです
それは…
それは…?
世界最重量の硬骨魚類は「マンボウ」ではなく、
「ウシマンボウ」だったんです!!!
んん~~~~~!
ん?
う~~~ん
すごい…んですか?
すごいんです
でもどこのメディアも取り上げてくれない…
すみません、マンボウって、圧倒的に「マンボウ」って感じなので、「ウシマンボウ」って聞いてもさすがに牛とは思わないけどあんまりイメージつかないというか…
ウシマンボウってマンボウなんですよね?
そこからですか
大変恐縮です、そこからお願いします
実はこの「フグ目マンボウ科マンボウ属」には3種のマンボウがいるのです
早速それぞれを紹介しましょう
まず1種目が「マンボウ」
学名は「Mola mola(モラ モラ)」といいます
「マンボウ」の「マンボウ」。いきなり地主さん出てきた
マンボウ属を総称しても「マンボウ」と呼ぶのでちょっとややこしいですね
そして2種目が、2017年7月に新種として発表した「カクレマンボウ」
学名は「Mola tecta(モラ テクタ)」といいます
名前がはぐれメタルを彷彿とさせる…
確かに(笑)
そして3種目が今回主役の「ウシマンボウ」です
学名は「Mola alexandrini(モラ アレクサンドリーニ)」といいます
実はウシマンボウの学名は、長い間「Mola sp. A(『マンボウ属のA種』の意味)」という仮称だったんです。
が! 今回発表した論文でようやく学名を決定できたんです!
モラ アレクサンドリーニ! モラ アレクサンドリーニ!
すみません、落ち着いてください(笑)
ぱっと聞いても、全然違いがわからないし、全部こんなイメージです
(´・ω・`)しゅん
あながち「マンボウ型」っていうのは間違ってない……間違ってないんですけど……
それがあかんのや!!!
す…すみません!!!
正直、マンボウ属3種はパッと見よく似ているので、世界中で混同されまくっています。
「マンボウ」と「ウシマンボウ」なんて特に!
実際、マンボウ研究者でも「マンボウを識別し得る眼」を持つ者はほとんどいないですから!
「マンボウを識別し得る眼」……ちょっと中二病っぽい名前出ましたけど
野口さんにはわかるだろうか……こちらがマンボウ
こっちがウシマンボウ
おわかりいただけただろうか……?
斉藤祥太と斉藤慶太くらいわからん
小型の個体は種の特徴がまだ出ていないので、イジワルな問題でしたね
でも、こんな感じで見分けが難しいので、研究者も種を混同して、マンボウ型の魚はだいたい「マンボウ(Mola mola)」と同定されることが多かったのです
しかし!成長すると特徴がよく出てきます
ウシマンボウだと頭部や下あごの下が出っ張るけど、マンボウは舵びれ(尾びれのような部分)が波打つなど、よく見ると結構違いがあるんですよ
そもそも分類ってなんでそんなに重要なんですか?
あ~それ、よく言われます
分類は何も生物学に限ったことではなくて、「人がこの世に存在する『モノ』を認識する」ために重要なんですよ
モノに「個別の名前」がついていなかったら困りますよね
分類の重要性を示す最近の例というと、「ヒアリ」じゃないでしょうか
自分の目の前にいるアリが毒を持っているかどうかわからないと非常に困りますよね
確かに。見分けられないと、普通のアリも疑っちゃうかも…
「ヒアリ警察」っていう、画像からヒアリかどうか判別してくれるTwitterアカウントにも注目が集まりましたね
自分の身の危険から回避するためにも、分類の核である「モノを見分ける」という行為はとても大切なのです
なるほど、なるほど
生き物を研究する上でも、分類がちゃんとできていないと、いずれ調べ直す必要が出てきます。これは二度手間でもったいないですよね
実は、今まさにマンボウ属もこの状態に陥っているんです
例えば、2015年に「マンボウ(Mola mola)」は国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストに絶滅危惧種として加えられました
保護を奨励される動物になった訳です
でもIUCNのサイトに掲載されている一部の写真は「ウシマンボウ」なんです
めっちゃ混同されてる
ぶっちゃけ、研究者でも見分けられてないんですよね
現状ではマンボウ属のどの種が減少傾向にあるのかわからないので、もう一度調べ直しですね
適切な対応をとるためにも、ちゃんと種を特定してあげることが重要なんです
ギネス世界記録の話に戻すと、マンボウって3m近く大きくなるっていうのは聞いたことありますが、マンボウが世界一重いって本当なんですか?
本当ですが、魚類全体を意味するのではなく「硬骨魚類」の中での話です
魚類全体だと、ジンベエザメが世界一重いですね
「硬骨魚類」とは、主にサメとエイを除いた魚たちのことで、骨格が硬い組織でできています
普段スーパーとかで売られている一般的な魚は「硬骨魚類」ですね
それが「マンボウ(Mola mola)」ではなく、「ウシマンボウ(Mola alexandrini)」とわかったのはどうしてですか?
ギネスブックにマンボウが載っているので、気になって調べまくったんですよね
記録の元となった論文を特定でき、幸運にもその個体の写真が載っていたのですが、頭部や下あごの下の隆起、丸い舵びれなどの特徴から、典型的な「ウシマンボウ」だと判明しました!
また、調べてわかったのが、1996年8月には、千葉県鴨川でギネス世界記録より更に重い2.3トンのウシマンボウが漁獲された記録もあります
いずれにせよ、世界最重量の硬骨魚類は「マンボウ」ではなく、「ウシマンボウ」なんです
う~ん、「硬骨魚類で一番」という立ち位置もちょっと地味だし、知名度が低いウシマンボウがちょっとかわいそう
ウシマンボウのアピールポイントってないんですか?
う~ん……(長考)……ウシマンボウはとにかくデカいです。
マンボウもデカいイメージはありますが、それよりももっと大きい
マンボウは基本的に温帯域を好むのですが、ウシマンボウはマンボウより温かい水温が好きなようですね
ウシマンボウは日本ではほとんど見かけませんが、おそらく熱帯域にはたくさんいると考えています
あと、大きく成長すると寒さにも強くなると考えられるので、ウシマンボウは北に南にと行動範囲を広げることができると考えています
つまり、世界中どこへでも旅に出ることができるんですね
大きくてどこへでも行く、寒さにも強い……アームストロング少佐(鋼の錬金術師)みたい……
これはウシマンボウですね
頭部の微妙な隆起や丸い舵びれの特徴から判断できます
さすがですね!(出題者が全然わかっていない)
こっちはマンボウですね
舵びれが微妙に波打とうとしています。成長したら立派な波型が出てくるのではないでしょうか
では次はいかがでしょうか…!
個人的にめちゃめちゃやりこんでるんで、マンボウじゃなかったら結構衝撃なんですけど…
安心してください、これもマンボウです
ゲームタイトルの「マンボウ」で間違いないです
最終段階の姿になると、舵びれが波打っているからです
良かった…
日本の子どもたちが一番食べているマンボウと言えばこれでしょう
これはもうマンボウですね、舵びれが明瞭に波打っているので
「マンボウ」だった!!!
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