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2018年02月17日

マニアもビビる…キングオブ酷道「425号線」で見た日本の「原風景」


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和歌山・奈良県境の「牛廻越」にさしかかる道の脇に「転落死亡事故多発」と書かれた看板が置かれていた=昨年12月5日午後1時55分、和歌山県田辺市龍神村、加藤諒撮影

和歌山・奈良県境の「牛廻越」にさしかかる道の脇に「転落死亡事故多発」と書かれた看板が置かれていた=昨年12月5日午後1時55分、和歌山県田辺市龍神村、加藤諒撮影

出典: 朝日新聞

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 狭い道幅、時に命の危険も感じるワイルドさ。国道なのに「酷道」と呼ばれる道があります。これまでに32万キロ、地球8周分の道路を走破した猛者が「あそこまで酷い道はなかなかない」と太鼓判を押すのが国道425号。いったいどんなドラマが待っているのか、意を決して挑戦。そこで見た光景は……?(朝日新聞記者・井上裕一)

【地図】記者が走った「酷道」こと、国道425号

【地図】記者が走った「酷道」こと、国道425号

出典: 朝日新聞

「全線酷い道」の太鼓判

 教えてもらったのは、茨城県在住の佐藤健太郎さん(47)。「ふしぎな国道」「国道者」といった国道のうんちくをまとめた著書があり、国道マニアの間では有名人です。

 全国に459本ある国道のうち、数本を除いてすでに走ったという佐藤さん。1日で500キロぐらい走ることもあり、これまでの走行距離はなんと32万キロ。地球1周は約4万キロですから、実に8回も地球を回った計算になります。

国道愛好家の佐藤健太郎さん

国道愛好家の佐藤健太郎さん

出典: 朝日新聞

 そんな佐藤さんですら「あそこまで全線酷い道はなかなかない」というのが国道425号です。

 2日かけて実際に走ってきました。

国道425号の看板=昨年12月5日、和歌山県印南町、加藤諒撮影

国道425号の看板=昨年12月5日、和歌山県印南町、加藤諒撮影

出典: 朝日新聞

「転落死亡事故多発」の看板現る

 425号は和歌山県御坊市と三重県尾鷲市を結び、紀伊半島を横断する道です。

 御坊市を出発してしばらくはのどかな道が続いていたのですが、和歌山県田辺市龍神村を進むと、「転落死亡事故多発」との看板が出てきました。車1台がぎりぎり走れるほどの道幅で、対向車がきてもすれ違えません。舗装状態も悪く、車はガタガタと上下に揺れながら水たまりを乗り越えていきます。

和歌山・奈良県境の「牛廻越」にさしかかる道の脇に「転落死亡事故多発」と書かれた看板が置かれていた=昨年12月5日午後1時55分、和歌山県田辺市龍神村、加藤諒撮影

和歌山・奈良県境の「牛廻越」にさしかかる道の脇に「転落死亡事故多発」と書かれた看板が置かれていた=昨年12月5日午後1時55分、和歌山県田辺市龍神村、加藤諒撮影

 道路の真ん中に直径30センチほどの石が転がっており、ひやりとすることも。道路わきはすぐ崖なのにガードレールはなく、少しでもハンドル操作を誤れば即転落です。「酷道」を楽しむ余裕なんてなく、ひたすら神経をすり減らすドライブが続きました。

通行止めのため国道425号から迂回した先の道路では、山肌がむき出しになり、ガードレールも崩落している区間があった=昨年12月6日午前11時12分、奈良県十津川村、加藤諒撮影

通行止めのため国道425号から迂回した先の道路では、山肌がむき出しになり、ガードレールも崩落している区間があった=昨年12月6日午前11時12分、奈良県十津川村、加藤諒撮影

出典: 朝日新聞

「おり慣れたら、そう苦にもならんです」

 そんな道を10キロ以上走り、奈良県十津川村に入って間もなくでした。紀伊山地の奥深く。見渡す限り山々が広がる地で、道路わきの急斜面にへばりつくように民家が並んでいました。

山の斜面に民家が点在する迫西川集落=昨年12月5日、奈良県十津川村、加藤諒撮影

山の斜面に民家が点在する迫西川集落=昨年12月5日、奈良県十津川村、加藤諒撮影

出典: 朝日新聞

 「迫西川(せいにしがわ)」という集落で、現在の住民は20人ほど。かつては林業が盛んで、425号も林道として使われていたそうです。

 いまは「酷道」とも呼ばれていますが、住民にとっては買い物や通院に欠かせない道です。村の中心部まで車で1時間ほどかかり、不便なようにも見えますが、集落に住む85歳のおじいちゃんは「よそから来る人から『これが国道か。村道でもないで』と笑われるけど、慣れな、しゃあないから」と淡々と話します。

 近くの家に住む90歳のおばあちゃんは、21歳のとき、この集落まで歩いて嫁いできたそうです。「おり慣れたら、そう苦にもならんです」と笑顔で話してくれました。

国道425号沿いに民家が並ぶ迫西川集落=昨年12月5日、奈良県十津川村、加藤諒撮影

国道425号沿いに民家が並ぶ迫西川集落=昨年12月5日、奈良県十津川村、加藤諒撮影

出典: 朝日新聞

この道はどこまで続くのか…

 425号はその先も、紀伊山地を縫うように走り、集落と集落を結びながら続きます。何本ものトンネルをくぐり抜け、見晴らしのいいダムやつり橋を渡ると、途中、シカやサルの姿も。そこには確かに、変わらぬ日本の暮らしや豊かな自然があり、「酷道」の先にある魅力を垣間見ることができました。

山の斜面に立ち並ぶ木々=昨年12月5日午後1時38分、和歌山県田辺市龍神村、加藤諒撮影

山の斜面に立ち並ぶ木々=昨年12月5日午後1時38分、和歌山県田辺市龍神村、加藤諒撮影

出典: 朝日新聞

 佐藤さんは、「楽しみ方は人それぞれです。この道はどこまで続き、何のためにつくられたのか。そんなことを考えながら走ってみると、また味わい深いですよ」とアドバイスしてくれました。

 ただし一言、「あまり酷い道は本当に危ないので、推奨はできませんが」とのこと。冬季は路面の凍結もあるので、運転が不慣れな人は酷道は避けた方がよさそうです。

十津川温泉の朝焼け=昨年12月6日午前7時2分、奈良県十津川村、加藤諒撮影

十津川温泉の朝焼け=昨年12月6日午前7時2分、奈良県十津川村、加藤諒撮影

出典: 朝日新聞


マニアもビビる…キングオブ酷道「425号」で見た日本の「原風景」
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「酷道」とも呼ばれる、国道425号を走る記者
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出典:朝日新聞
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