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なぜ紙面半分を黒塗りに? 「震災があったから生まれたものもある」

今月11日、神戸新聞と一緒に折り込まれた別刷特集。阪神・淡路大震災に関するものですが、各ページの半分は真っ黒です。

神戸新聞別刷特集の一部ページ
神戸新聞別刷特集の一部ページ 出典: 神戸新聞社

目次

 今月11日、神戸新聞と一緒に折り込まれた別刷特集。内容は1995年の阪神・淡路大震災に関するものですが、各ページの下半分は真っ黒です。最初のページには、こんなメッセージが書かれています。「あの日、あの時、私たちが失ったものではなく あの日、あの時から、私たちが手にしたものに思いを馳せてみたいと思ったのです」。特集に込めた思いを担当者に聞きました。

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最初のページにメッセージが


 11日に折り込まれた別刷特集「SINCE1995 ~あの日、あの時、私たちは失ったばかりではない~」。

 計10個のテーマを扱っており、各ページはそれぞれ写真とメッセージで構成されていますが、下半分は真っ黒です。

 最初のページには、こんなメッセージが書かれています。

 23年前の1月17日。 早朝の5時46分52秒。

 あの日、あの時に起きた悲しみや苦しみは今でも ひとりひとりの心の中に沸き起こってくる。

 だから……。この紙面では あの日、あの時、私たちが失ったものではなく あの日、あの時から、私たちが手にしたものに 思いを馳せてみたいと思ったのです。

 1995年まではなかったのに、23年の時をかけてひとつひとつ、私たちが私たちの手で生み出してきた数々。

 誇らしい気持ちを少しと、まだまだだぞ、という叱咤を込めて。
こちらが最初のページ
こちらが最初のページ 出典: 神戸新聞社提供

扱った10テーマは


 各ページのテーマは、以下の通りです。

 ・災害派遣医療チーム
 ・みんなの家
 ・学校の耐震化
 ・被災者生活再建支援法
 ・ボランティア元年
 ・トリアージ
 ・耐震性貯水槽
 ・軽量防災瓦
 ・レスキューロボット
 ・橋梁耐震補強

 橋梁耐震補強のページには、橋梁の写真とともにこんなメッセージが添えられています。

 いまだ記憶に残る、635mにわたって横倒しになった神戸市東灘区の橋脚…。安全神話の崩壊を教訓に耐震補強は日本全国で一気に加速した。100%の補強はもうすぐだ。

 あの日、あの時、私たちは失ったばかりではない。 SINCE1995
橋梁耐震補強「人が立ち入れない危険な場でも、要救護者の捜索や瓦礫撤去などの作業を黙々とこなす。そんな頼もしいロボット達が世界中で次々と開発されている」
橋梁耐震補強「人が立ち入れない危険な場でも、要救護者の捜索や瓦礫撤去などの作業を黙々とこなす。そんな頼もしいロボット達が世界中で次々と開発されている」 出典: 神戸新聞社提供

担当者に聞きました


 なぜこの時期に特集を組んだのか? なぜ下半分が真っ黒なのか? 神戸新聞東京支社の営業部の担当者に話を聞きました。

 ――「失ったものではなく、手にしたものに思いを馳せよう」と思ったきっかけを教えてください

 過去の悲しみを振り返るだけでなく、あの日の悲しみを教訓に、23年の時をかけて神戸が発信し続けてきたものへ目を向けていただきたかったためです。

 ――各モチーフはどのようにして選んだのでしょうか

 震災当事を知る記者や社員にヒアリングをしました。出来るだけ多くのモチーフを掲載したかったのですが、ページ建て、紙面レイアウトの都合で絞り込みました。

トリアージ「大災害の直後は多数の傷病者が発生する。そこで救える命を優先的に救うために緊急な治療を要する患者を瞬時に見つけることが重要。日本では、阪神・淡路大震災以後、定着した。」
トリアージ「大災害の直後は多数の傷病者が発生する。そこで救える命を優先的に救うために緊急な治療を要する患者を瞬時に見つけることが重要。日本では、阪神・淡路大震災以後、定着した。」 出典: 神戸新聞社提供

真っ黒な理由は


 ――なぜ下半分が真っ黒なのでしょうか

 画面下の黒い部分は1995年以前の過去を表現しています。存在が無かった世界にすることで、今と昔を対比で見せるビジュアルとしています。

 ――1月17日ではなく2月11日に掲載した狙いを教えてください

 1月17日には震災の翌年以降継続している別刷特集があります。2月11日が弊社の創刊120周年にあたるため、この日を選びました。

 ――この特集を通じて伝えたかったメッセージを教えてください

 震災から23年が過ぎ、震災を知らない住民も多くなりました。阪神・淡路大震災から得た経験や教訓から生み出されたものが数多くあることを知っていただき、先進的に防災に取り組む「神戸の今」の姿を、震災を知らない読者をはじめ、多くの方々に知っていただければと思いました。

 本特集を通じ、あの日がなければ生まれなかったかもしれない、自分の周りのSINCE1995に思いを馳せていただければと思っています。

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