「ハンカチ落としましたよ」。街で一度は、こんな声をかけられた経験が誰しもあるかと思います。そのかけ声を生地にプリントしたハンカチが話題です。折りたたんだ状態では、人目を引くユニークなハンカチに見えるのですが、広げてみると一面に「ハンカチ落としましたよ」の文字が。「怖い」「狂気」などと、ちょっとホラーな感じがツイッターで話題になりました。「いくらでも変わったデザインがある時代に、話題になってうれしいです。怖いという反応は、意識したわけではないので、逆にびっくりしています」。デザインを考案した作家に話を聞きました。
発想がかわいくて衝動買いしたハンカチを家で広げたら結構恐怖だった pic.twitter.com/BuzArD17ys
— わる (@5kai79) 2018年2月1日
「怖い」「狂気」など反響様々
このハンカチは、1日にツイートしたわるさん@5kai79の投稿がきっかけで話題になりました。折り重ねられた一面だけを映した写真では「ハンカチ落としましたよ」が中心に書かれているだけなのですが、広げてみると大中小計23個の「ハンカチ落としましたよ」が書かれています。
この投稿への反響などをまとめたtogetterのページでは、「怖い」「狂気」などといったつぶやきから「欲しい…」といった声が載せられ、元のツイートは3万3千リツイートされています。

無造作にたくさん書いてあれば目立つ

日常の出来事をジョークやコメディーの発想にのせ作品を発表しているという加賀美さん。ハンカチは「H TOKYO」からの依頼を受けて、デザインしたものでした。
「イラストのハンカチはたくさんあるので、言葉が書いてあるハンカチが良いんじゃないかと思いました。言葉は、ハンカチでまず思い浮かぶものを。文字にした時になるべくキャッチーに見える言葉を選びました」

デザインの仕事を引き受けた時は、自分がやったことがない、他の人もやったことがないようなものを手掛けられるように心がけているという加賀美さん。一面に文字をちりばめたのも、「『意外性とシンプルさ』を大切にしました。無造作にたくさん書いてあれば、落としたときにも目立つと思ったので」。「パソコンで書いた文字より、自分が書いた汚い字の方が目立つ」として、加賀美さんの手書きの文字が並んでいます。
ツイッター上の反応にあるような「怖さ」を狙ったわけではないということで、反響については「逆にびっくりしています」と話します。

10年後も新しいと思ってもらえたら
加賀美さんはこのハンカチ以外に、「あなたハンカチ持ったの?」というハンカチもデザインしています。「私はあえて日本語をデザインに落とし込むことが多いのですが、やはり日本語だと日本人が見た時にスッと入ってきますし、目立ちます」。この二つの「言葉シリーズ」以外にイラストのハンカチも2種類手がけています。

ツイッターで話題になったことについて加賀美さんは「発売開始は2年前なので、このタイミングでの反響にびっくりしました。自分でとても気に入ったデザインですが、SNSで広がるということを肌で感じました」。販売店も「もともと店頭でお客さんの目に止まる人気の商品ですが、ここ数日は『ツイッターで見たハンカチだ』と言ってもらうこともあり、売り上げがぐっと上がりました」と話します。
4月には新作のハンカチが発売される予定です。「作品には『アナログなのに新しい』という思いも込めています。10年後にこのハンカチを見ても、新しいと思ってもらえたらうれしいです」