連載
#16 城崎広告「会社員のモヤモヤ」
仕事中の音楽はOK! 生産性を最大化させる方法とは?
倉知蓮
事業推進部所属の26歳。独特のセンスを発揮するビジュアルデザイナー。趣味はネットサーフィンとアイドル。
菅原数臣
37歳の事業推進部部長。経理担当として経験豊富なうえ、ソフトウェア分野にも精通。趣味は数学、ミルクパズル、資産運用。
水上芳樹
企画部所属の33歳。妥協を許さぬ審美眼の持ち主で、広報やアートディレクションでも手腕を発揮。趣味はおうちエステと観劇。
倉知
菅原
水上
倉知
菅原
水上
働き方に関して、色々な意見が飛び交うようになりました。個人の働き方にもフォーカスがあてられる中、「音楽を聴きながらの作業」はその一例かと思います。そういった人に対し、どう考え、どう対応するのが良いのか?
企業や官公庁の働き方改革支援を行っている、業務プロセス・オフィスコミュニケーション改善士の沢渡あまねさんに話を聞きました。
労働環境は組織、所属する人、仕事によって様々な形がありますので統一の答えは難しいですが、オフィス内で音楽を聴きながらの仕事をすることは結論から言うと、個人の生産性が上がるのであれば認められるべきです。
仕事をする上で過去現在変わらず最優先すべきは生産性の向上です。
では、生産性の向上とは何を指すか?
昔から言われている定義は、より少ない労力、より短い時間で、より大きなアウトプットを出すことです。
最近の働き方改革などで見られる組織の動きは、制度で縛ってコントロールし、統一することで生産性の向上を目指すものになっています。長時間労働の削減や、有給休暇の取得促進などです。
ただ、現実として結局のところ仕事は減らず、仕事の取り組み方も変わっていないので現場のジレンマが大きくなってきている。こうした現状を多くの企業、自治体、官公庁が抱えています。
水上
菅原
水上
生産性の高い状態を目指すということは、個人が自分自身の「勝ちパターン」を見つけてひたすら実践していくことです。これをしないといつまでたっても生産性は上がりません。
これまでの日本の企業は製造業型、言い換えると労働集約型の労働環境でした。事務職をはじめとするホワイトカラーの職業でも、午前9時~午後5時で勤務時間が決められ、上座に上長が座り、会議は会議室でやる、昼休みは一律…といった形で全員同じように行動する統制された状態を良しとしてきました。
ただ、それでは生産性が上がらないことに気づいてきたのが今の世の中です。
私は20年ほど前から、様々な国の企業をみてきました。ヨーロッパでは当時から業務中に音楽を聴いている人も居れば、ソファで資料作成をする人も、息抜きにダーツや雑談を楽しんでいる人もいました。しかも、残業はほとんどしません。
日本人も自分が心地の良いやり方や生産性が上がるやり方を選んでいかなければいけないのではないかと感じています。
倉知
水上
倉知
自分が心地よいやり方での業務推進と併せて、組織として共通の報告・連絡・相談のルールだったり、会議の仕組み、ITのツールだったりの共通のプラットフォームの仕組みを作っていく取り組みも必要になってくると思います。
個人の勝ちパターンを探りつつ、一緒に働いている人への配慮も必要ということです。個人の勝ちパターンに特化しすぎるあまり、周囲の生産性を落としてしまい、結果組織としての生産性が落ちてしまっては意味がありません。
Yahoo! Japan社を例に挙げますと、最近オフィスの移転に併せて職場をフリーアドレスにしました。また、どこでもオフィスという、ネットワークがつながる場所であれば社内外問わずどこで働いても良いという制度を月5回までという制限付で導入しています。
生産性の高い仕事の環境を選択して、成果を出して欲しいという企業からのメッセージだと受け取ることができます。
また、それらの仕組みを下支えする組織のコミュニケーションツールとして1on1という取り組みも取り入れています。最低週一回、直属の上司と面談の時間を設ける制度です。これにより、お互いどんなに忙しくても報・連・相をすることができます。
共通の仕組み、ルールがあるからこそ自分たちの仕事の勝ちパターンを試すことができ、成果につなげることができます。トライアンドエラーができる組織ができていると言えます。
ただ、無尽蔵に自由にしたから良いというわけではなく、どこまで共通のやり方にするか? 守るべきルール等については議論が必要です。仕事の結果や自分の業務の価値を説明していく責任も伴うことになるでしょう。
個人の生産性が最も上がる環境を企業が作っていくには「手を変え」「品を変え」「景色を変え」をしていくしかないと思います。
例えば、事務作業は早朝の方が仕事がはかどるという人がいたとします。「早朝の方がはかどる」という事実は早朝に実施することを認めないと発見できません。
今回のテーマで言うと、音楽を聴きながら作業をすることで個人としての生産性は向上したとしても、組織としての生産性を下げているとすれば、時間、場所を変える等、やり方を考える必要があります。
倉知
菅原
倉知
どんな働き方がその職場の文化に合うか、個人に心地良いかに関しては統一した答えはありません。なぜなら、組織、人、仕事のどれもが流動性があるからです。言い換えると生き物であると言えます。
組織を構成するメンバーの性格、メンタリティ、価値観、仕事への向き合い方等で無限に変わっていきますし、外部環境ももちろん変わっていきます。そういった環境の中でいかに多くのトライアンドエラーを重ねて、個人の生産性を上げ、組織として認められるやり方を見つけられるかが重要だと思います。
また強制力ばかりが強い組織に対して個人は愛着を持てなくなっていきます。
逆に言うと、個人の進め方や裁量を尊重できる組織は、個人が自身に対するリスペクトを実感することができ、組織をリスペクトすることができるようになります。
組織と個人が相互を受け入れて尊重できる心地よい関係を築くことで生産性を最大化させていきたいですね。
水上
菅原
倉知
倉知
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菅原
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水上
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