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#14 平成家族

親同士がお見合い「代理婚活」はあり? 賛否二分、肯定派の理由は…

親の代理お見合い会の風景=良縁親の会提供
親の代理お見合い会の風景=良縁親の会提供

目次

 平成に入り、家族の姿は多様になりました。新しい価値観と古い制度の狭間で「もやもや」している人は少なくありません。そうした人たちを「平成家族」と位置づけ、withnewsとYahoo!ニュースで連載。記事に合わせて実施したネット上の意識調査では多くの声が寄せられ、「代理婚活」「きょうだいリスク」など新しい家族の姿に高い関心が集まりました。調査結果について、亡くなった母の介護などについてつづった著書がある俳優、秋川リサさん(65)と、「ミレニアル世代」の家族観などを調査している博報堂の山本泰士さん(37)に聞きました。(朝日新聞記者・藤田さつき)

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Yahoo!ニュース上での意識調査(リンク先は最終回の意識調査)はこちらから

きょうだいリスクに関心、代理婚活は賛否二分

 意識調査はヤフージャパンが実施。「代理婚活」や「専業主婦」「イクメン」など八つのテーマについて、2択で質問をしました。

 8本で計96万票以上集まった投票のうち、最も多かったのは約21万4千票の「きょうだいリスク」についてでした。「きょうだいの孤立、家族がカバーするべき?」という質問に、72.5%が「思わない」と回答。新たな家族問題として、多くの人が悩んでいる様子がうかがえました。

 結婚・出産のテーマも切実に受け止められました。「子どもを持て」という圧力を感じたことがあるか尋ねた調査の自由回答欄には、「彼氏、彼女ができたら『結婚は?』。結婚したら『お子さんは?』。1人産んだら『兄弟がいないと可哀そう』」と圧力の連鎖を例示する人もいました。

Yahoo!ニュース意識調査から
Yahoo!ニュース意識調査から

 非正規・独身の状態に焦りがあるか聞いた調査では、病をした時の不安が寄せられる一方、「友人がいて、趣味があれば大丈夫」というコメントもありました。

Yahoo!ニュース意識調査から
Yahoo!ニュース意識調査から

 最近は「毒親」という言葉も生まれています。調査では、親との関係を悩むことが「ある」という回答が77.0%にのぼりました。

 本人に代わって親が結婚相手を探す「代理婚活」の是非を問う質問には約11万票が集まり、賛成50.5%、反対49.5%と賛否が二分。自由回答では「出会うきっかけの一つ」と肯定する意見も目立ちました。

Yahoo!ニュース意識調査から
Yahoo!ニュース意識調査から

「分かってもらえる」親子ゆえの罠

 俳優の秋川リサさんは、一昨年に亡くなった母の介護などについてつづった「60歳。だからなんなの」(さくら舎)を昨秋に刊行しました。親子関係に悩む一因として、「『分かってもらえるはずだ』と思ってしまう罠がある」と言います。

俳優の秋川リサさん
俳優の秋川リサさん

■俳優の秋川リサさんの話

 調査結果を見て、結婚するか出産するかを自分で決めたり、男女が共に子育てしたり、本来は当然なことなのにやっと少しできるような時代になったんだと感じました。でも、まだまだ、立派なお母さんやお嫁さん、子どもをよしとする世の中です。

 私が著書で母への苦い思いを書いた時には、「口に出せない気持ちをよく書いてくれた」という声を多くもらいました。認知症の母を介護していた時、母の部屋で「娘なんて産まなければよかった」などと私への不満が書かれた以前の日記を見てしまったのです。一生懸命やっているのになんで分かってくれないの、と思いました。

 でも、母を嫌いにはなれませんでした。これが、親子の情のしがらみなんでしょうね。他人なら分かり合えなくても「仕方ない」で終わるけど、親子だと「分かってもらえるはずだ」と思ってしまう罠があります。

 私には息子と娘がいますが、母との経験もあって「親子だって別人格。私の所有物じゃない」と考えるようにしています。そんな私でも、自分が死ぬ時には彼らに「あの母親の子どもでよかったね」と思われたい。自分の親よりも、育てた子どもへの思い入れは強くなってしまうのかもしれませんね。

「~すべきだ」からの解放を

 博報堂・買物研究所上席研究員、山本泰士さんは、2000年以降に成人した「ミレニアル世代」の家族観などを調査。「そろそろ『~すべきだ』という家族観から解放される時代」と指摘します。

山本泰士さん=博報堂提供
山本泰士さん=博報堂提供

■博報堂・買物研究所上席研究員、山本泰士さんの話

 私たち30代は、「男女平等」「個人主義」「仕事よりプライベート」を当たり前とする意識変革が進んだ時代に大人になりました。

 でも、この調査結果を見ると、「家族」という親世代やパートナーにも関わる問題では、依然として「結婚しないの?」「子どもは?」という旧来の問いかけに苦しんでいる人が多いことが分かります。最近では、「イクメンとしてがんばれ」「女性も働け」「家族で支え合え」というモデルまで加わりました。

 こうした生き方を望み、それができる人は、その中で幸せになればいい。だが、今はライフスタイルも抱える事情も、多様化しています。

 20代後半~30代前半の若い家族に聞き取りをして、「これからの家族が幸せになるポイント」があると考えました。それは次の3点です。

 まず「完璧な家族は目指さず、できないことはあきらめる」。そして「いい加減に分担する」。家事や育児、介護を平等に負担しようとすると苦しくなるため、できる人がやり、できない時は外注する。3点目は「幸福のハードルを下げて今を楽しむ」です。そろそろ「~すべきだ」という家族観から解放される時代なんだと思います。

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