話題
あぁ、ケーキを舐める楽しみが… クリーム付かない側面フィルム誕生
ケーキの側面に巻かれたフィルム。はがすときにクリームがついて悔しい思いをしたことはありませんか?
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ケーキの側面に巻かれたフィルム。はがすときにクリームがついて悔しい思いをしたことはありませんか?
【ネットの話題、ファクトチェック】
ケーキの側面に巻かれたフィルム。はがすときにクリームがついて悔しい思いをしたことはありませんか? そんな悩みを解消しようと開発されたフィルムが注目を集めています。「蓮(はす)の葉」の表面構造と油をはじく素材を組み合わせて作られたという商品について、製造元に話を聞きました。
昨年末、横浜市の坪井食品が手がける「横濱オリツルサイダー」のツイッターアカウントが、こんな文言とともにケーキフィルムの画像を投稿しました。
この投稿に対して、「これが付いてるケーキを自分も買ってびっくりしました」「アイスのふたの裏とケーキのフィルムは一番美味しい部位なのに」といったコメントが寄せられ、リツイート・いいねともには1万を超えています。
ケーキがくっつかない巻きシート。何気に凄い技術。ちょっと食品メーカー業界では話題になってて確認でちっこいの買ってみた。本当に何度貼っ付けたり剥がしても見事にケーキくっつかない!包装資材メーカーさんの地味だけど凄い技術。油分含んだ素材なんかな思ったが違う。ざらついてる。 pic.twitter.com/Pibi6OdWAH
— 横濱オリツルサイダー (@Orituru_Cider) 2017年12月25日
このフィルムは、東洋アルミニウム(大阪市)が開発した素材「トーヤル・ウルトラロータス」を用いた「クリームが付着し難いケーキサイドカバーフィルム」です。
山崎製パン(東京都)と共同で製品化したもので、公益社団法人・日本包装技術協会が主催するコンテストで最高位賞を受賞。2016年から山崎製パンのクリスマスデコレーションケーキの一部に採用されています。
どのような技術で、どういった経緯で開発されたのか? 東洋アルミニウムの加工開発営業部、東清久さんに話を聞きました。
――トーヤル・ウルトラロータスの特徴について教えてください
水と油の両方をはじく超撥水(はっすい)・撥油包装材料です。金属類や樹脂ベースのフィルム材料など、さまざまな基材に塗布することが可能です。
――クリームがくっつかない理由を教えてください
蓮の葉と同じように、塗布面にマイクロメートルレベルの微細な凹凸構造を施し、内容物の接触面積を少なくして、はじきやすい構造にしています。この凹凸構造と油をはじく材料を組み合わせることにより、クリームがくっつかないんです。
――開発のきっかけは
ヨーグルトが付着しにくいフタ材「トーヤルロータス」を発売した後、「油系製品の付着しにくい包装材を開発して欲しい」というお声をたくさんいただき、着手しました。
――トーヤルロータスとトーヤル・ウルトラロータスの違いは
トーヤルロータスは超撥水性の材料で、水系のヨーグルトやケチャップなどをはじくことが可能な材料です。トーヤル・ウルトラロータスは、撥水に加えて撥油性能を併せ持った材料です。
――開発する上で苦労した点や工夫した点は
トーヤルロータスで培った技術をベースにして開発を進め、製品化するまでに6~7年かかりました。撥水・撥油性だけでなく、塗布面の耐久性やシール性なども用途により必要となるため、さまざまな素材に適応できるプライマー(接着用の下塗り塗料)の選定や、その評価にも時間を要しました。
――山崎パン以外にもトーヤル・ウルトラロータスを採用している会社は
何社かの大手自動車メーカーの製造工程内で、油の付着に困っている部分で試験採用いただいたことはありますが、本格的な製品での採用は山崎製パン様が初めてです。
――ケーキ以外にも期待できる用途は
製品化を発表してから、工業用途と包装材用途のお問い合わせが半々程度となっています。
工業用途としては、製造工程内で使用している油を付着しづらくしたいというニーズが多いです。包装材用途としては、マヨネーズのボトル、レトルトカレーの袋、歯磨き粉や化粧品等のチューブ製品、などのお話をいただいています。
山崎製パン様にご採用いただいたことで、今までお付き合いのなかった会社の皆様からもお問い合わせをいただいており、既に製品化に向けて取り組んでいる案件もあります。
――「舐める楽しみがなくなる」という声も上がっていますが
私自身もヨーグルトのフタ裏やケーキのフィルムを舐めるのが好きでしたので、その気持ちはよく理解できます! ご採用いただいた皆様からは、「付着しなくなったことでレシピ通りのより良い商品をお届けできるようになった」というお声をいただいており、製品化して良かったなと思っております。
――話題になったことについては
東洋アルミニウム株式会社は、BtoBのビジネスを中心に展開しており、あまり表舞台に出ることはありません。また、包装材業界も重要な役割を担いながら、あまり脚光を浴びることはありません。そういった中でトーヤル・ウルトラロータスの技術が話題になり、大変うれしく思っています。
海外からの問い合わせも多いため、日本独自の技術として、海外のお客様や消費者の方にも、日本ならではの「心遣いのある包装材」として、世界に向けて展開していきたいと考えています。
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