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40年の思い込めた「閉店あいさつ」 世相映した名文、店主の思い聞く
1月8日に閉店するレンタルビデオ店「ノーサイド」のあいさつ文が、ネット上で反響を呼んでいます。
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1月8日に閉店するレンタルビデオ店「ノーサイド」のあいさつ文が、ネット上で反響を呼んでいます。
【ネットの話題、ファクトチェック】
1月8日に閉店するレンタルビデオ店「ノーサイド」のあいさつ文が、ネット上で反響を呼んでいます。書店としてスタートし、店の一角で始めたレンタルが好評で衣替え。ゲーム販売なども手がけましたが、聞き放題・見放題のストリーミングサービス、スマホ向けゲームの台頭を受けて閉店を決めました。「いいことも悪いこともありましたが、これで本当にノーサイド」と話す店主に話を聞きました。
昨年末にツイッター投稿された1枚の画像。
練馬区にあるレンタルビデオ店「ノーサイド富士見台店」に設置された「閉店のごあいさつ」と書かれた手書きの文章を写したものです。
この投稿に対して、「手書きってのがまた、感謝の気持ちを現してて感動」「昭和から平成、現在にかけての世相が書かれていて、結構くるものがある」といったコメントが寄せられ、リツイートは5千、いいねは6千を超えています。
この文章を考えたのは、店主の柴田厚さん(62)。店内のポップを担当してきた葛西美紗子さん(31)にお願いして、書き起こしてもらいました。
「当初は3分の1ほどの分量で、Wordで打ってそのまま印字しようと思っていました。スタッフに見せたら、『それじゃ、ありきたりすぎる。短くても読まない人は読まないんだから、しっかり思いを書いた方がいい』と言われて書き直したんです」
練馬駅近くで別の書店を営んでいた兄に誘われ、書店経営に携わることになった柴田さん。
2店舗目としてオープンした現在のお店の一角で、昭和59年にビデオレンタルを始めました。
「当時はVHSとベータ、両方の規格の商品を扱っていました。レンタル価格も1泊2000円と、今と比べれば高額でした」
それでも、開始から半年ほどで書店事業を上回る収益を上げるまでに。
「店を改装して、書店ではなくレンタルをメインにしました。8時になると書店との間をカーテンで仕切って営業してました」
近くに住んでいた筑紫哲也さんを始め、当時まだ世に知られていなかった有名人も多く通ってくれたそうです。
記憶に残っている作品は、トム・クルーズさん主演の「トップガン」。
「問屋から『100本入れませんか』と言われて70本仕入れたんです。大丈夫かなと思っていたら、常にレンタル中になってびっくりしましたよ」
書店事業をやめてレンタル一本になってしばらくして、昭和天皇が崩御。
「レンタル待ちの列が店内で収まらず、店の外まで伸びていました。1日で200万円近く売り上げた日もありました」
平成4年には、店名を「若草書店」から「ノーサイド」に変更。柴田さんも兄も大好きなラグビーの用語からとりました。
ゲーム人気に目をつけて、新品・中古品の取り扱いも開始。
「中古ビジネスに注目していたんです。新品を扱うことで、買ってもらった商品を遊び終わったら、うちに売ってもらって、という狙いでした」
売り上げは順調に伸びて、阿佐ケ谷や井荻など近隣にも出店。最大で6店舗を運営していた時期もありました。
その後、TUTAYAなど大型店の出店の影響もあって、次々に閉店。最後に残ったのが本店である富士見台店でした。
「この店だけは残したいと思っていました。でも、最近のストリーミングサービスの拡大などを受けて、時代に合わなくなったのかなという思いもありました」
借りている建物の契約更新を前に、閉店を決意したそうです。
12月末からは、閉店セールとしてレンタルに使っていた商品の中古販売を開始。売れるかどうか半信半疑でしたが、初日から100人近い行列ができました。
「閉店の記念にと来られた方も多かったようです。あいさつ文を読んで『これ書いた人を呼んでください』と言われて一緒に記念撮影したり、握手を求められたり。長く続けるってことは信頼につながるんだな、とうれしくなりました」
柴田さんの母は、ことあるごとに「商いは『飽きない』だよ」と言っていたそうです。
「この40年、自分の人生とリンクしていました。好きなことで飯が食えたんだから、幸せな時間を過ごせました。作品紹介のために映画も見まくったし、飽きることなんてなかったですね」
柴田さんは10年ほど前から、ネットカフェ「ウイング」を経営しており、現在、練馬と赤羽に2店舗あります。
「個室が欲しい」「仕事帰りに自分の時間が欲しい」といった需要を狙った店作りをしているそうです。
「ノーサイド閉店後は、初心に戻ってウイングのレジに立つつもりです。これまで、いいことも悪いこともありましたが、これで本当にノーサイド。これまで本当にありがとうございました」
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