赤ちゃんが座る「バンボ」と呼ばれるいすを知っていますか? 赤ちゃん用品を扱うお店には必ずといっていいほど置かれている色とりどりのころんとしたいす。そんなバンボ、実は南アフリカからはるばる運ばれてきているのです。ここまで普及するまでには、17年ほど前、輸入を決断した社長の直感と地道な売り込みがありました。
南アフリカから船で40日!
「バンボ」を国内で唯一正規輸入しているのは大阪市中央区の「ティーレックス」です。社長・坂西泰彦さんに話を聞きました。

金澤
失礼ながら、子供が産まれるまでバンボを知りませんでした。でも子育て世代には共通語のようになっているこの子、アフリカからはるばる日本にやってきていると聞きました。
坂西社長
日本には、船でやってくるのですが、南アフリカのダーバン港を出て、35~40日かけて関西地方の港に到着します。
金澤
バンボを製造している会社は、元々子供用品をつくっていた会社ですか?
坂西社長
おすわりができる前の赤ちゃんが動き回るのをじっとさせておきたいと、母親になった娘がお父さんに(ヨーハン・ブイテンダッハさん)に相談したことが始まりです。

金澤
坂西社長
赤ちゃんは腰がすわるまで、一人で座ることができません。
でも、バンボに座ると、おしりがすっぽりはまって、腰も安定するんです。

触った瞬間、「これや!」
金澤
そんないすとの出会いは?まさか南アフリカ・・・?
坂西社長
毎年、世界のベビー用品を集めた展示会があり、2000年の展示で見つけました。
当時は世界でもほとんど流通していなかったので、展示場所の隅っこにちょこんとおいてあるだけでした。
金澤
坂西社長
ウレタンフォームでできているので、柔らかく、なによりフォルムが素晴らしい。
当時、日本で赤ちゃんを座らせるというと、豆いすが主流。でも常々、豆いすの構造には納得がいっていませんでした。
金澤
坂西社長
赤ちゃんに失礼だと思っていたんです。安く、たくさんつくっているものだと感じていました。
金澤
それで運命の出会いを果たしたと。
でも、世界でもあまり流通していなかったバンボを広めるのは大変だったのでは?
坂西社長
当時売れていた豆いすはだいたい1000円くらいだったのに比べて、バンボは6000円程度。6倍です。販売担当者さんに構造の良さを伝えてもけんもほろろでした。

地道な売り込み・・・商機にかけた
金澤
坂西社長
そのときにおいてくれていたお店に寄って、毎日毎日、お客さんの目につく場所にバンボを置くんです。当時は商品棚の下の方に追いやられていましたから・・・。
金澤
坂西社長
広告もどんどん出した。そんなことを続けていると少しずつ売れ始めました。
金澤
いまは年間どのくらい売れているんですか?
坂西さん
それでも、赤ちゃん用品を取り扱うアカチャンホンポやトイザらス、通信販売ではamazonなどにも置いてもらっていますし、実店舗では、1000店舗近くに置いてもらっています。
「赤ちゃんは王様」
「赤ちゃんは王様。いいものを与えてあげてほしい」と話す坂西社長。
いまや子育て世代に「バンボ」と言えば「ああ、あれね!」とわかるほど浸透している赤ちゃん用いすですが、背景には、赤ちゃんファーストな商品に目をつけ商機を逃さなかった大阪商人の努力がありました。
坂西社長は「みなさんに使ってもらってバンボというブランドが確立した。これからもいいものを届けていきたい」と話しています。