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この車、写真じゃないの? SUZUKI車『チョークアート』がスゴすぎる
黒板に車5台の写真を貼り付けたように見える看板。実はこの車、手書きの「チョークアート」です。
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黒板に車5台の写真を貼り付けたように見える看板。実はこの車、手書きの「チョークアート」です。
【ネットの話題、ファクトチェック】
黒板に車5台の写真を貼り付けたように見える看板。実はこの車、手書きの「チョークアート」です。岐阜県のSUZUKIディーラーに展示されているこの作品を手がけた女性に、描き方や工夫した点などを詳しく聞きました。
今月9日、「チョークアート凄すぎます」という文言とともにツイッター投稿された画像。そこには、カフェに飾られている黒板のようなものが写っています。
一見すると、マカロンやパンケーキなどのイラストと一緒にSUZUKI車の写真が貼り付けてあるように見えますが、車はすべて手書きです。
この投稿に対して、「どういうことなのこのクオリティ」「間近で見るとチョーク」といったコメントが寄せられ、リツイートは5千、いいねは7千を超えています。
このチョークアートが展示されているのは、岐阜県関市にあるディーラー「スズキアリーナ関」。作者は大垣市在住のチョークアーティスト・稲川ひろみさん(45)です。
制作を依頼した岐阜スズキ販売の企画部長・松吉圭一さん(56)は、こう話します。
「店内に稲川さんの2作品を展示していますが、いずれも新聞の折り込みチラシ用に描いてもらったものの原画なんです」
稲川さんと同じく大垣市在住の松吉さんが、「市内にすごいチョークアーティストがいる」との話を聞きつけて、チラシ用に制作を依頼。会ってみて、かつて一緒に仕事をしたことがある女性だと気づいたそうです。
「岐阜スズキ販売のお客様は女性が多いこともあり、ぜひチョークアートでチラシを作成しよう考えていたのですが、お会いしてビックリしました。名字が変わっていたのでわかりませんでした」
最初の1枚は2016年3月の折り込みチラシとして掲載。好評だったことを受けて、さらにもう1枚依頼し、その2枚の原画を展示しているそうです。
来場者からの反応については「やっぱり美しいものには反応をいただけます。店づくりや広告づくりの上でとても参考になりました」と松吉さん。
チョークアートはどのようにして制作するのか? 作者の稲川さんに話を聞きました。
――話題になっている作品は、いつごろ制作されたものですか
昨年2月に3週間くらいかけて制作しました。
――手順や描き方、画材について教えてください
学校で使うチョークではなく、オイルパステルという画材を使って描いています。オイルパステルはクレヨンによく似た画材ですが、油分を多く含み、発色と色の伸びがとても良いのが特徴なんです。色も100色近くあります。
まずは木の板に専用の塗料を塗って、黒板から手作りします。黒板に下絵をトレースした後、オイルパステルで着色していきます。着色した表面を指でこすり、色を混ぜたりぼかしたりしながら、美しいグラデーションを作ります。
――描く上で工夫した点や苦労した点は
女性らしくお洒落なデザインをということで、カフェの看板をイメージしています。自動車は細部まで描き込み、リアルさにこだわりました。ボディの硬質な質感やフロントガラスの透明感を表現するのが難しかったです。
ただ、リアルに描きすぎて、広告として印刷された時、絵だと気づかない人も多かったとか……。
――チョークアートを始めたきっかけは
2011年からチョークアートを習い始めました。きっかけは一目惚れです。初めて見た時、それがチョークアートだとは知らず、黒い背景に鮮やかな色彩で描かれたイラストに一瞬で心を奪われました。
また、以前デザインの仕事をしていたこともあり、チョークアートが看板として実用性があるという点も魅力でした。
――チョークアート教室も開かれていますね
2014年に岐阜県内初のチョークアート教室を開校し、岐阜市と大垣市で教室を開催しています。現在約30名の生徒さんが在籍しています。卒業生の中にはプロとして制作活動をされている方や講師になった方もいますよ。
――「画家ではなく看板屋」というスタイルで制作されているそうですが
現在もそのスタンスでお仕事をさせていただいています。チョークアートはお店の看板やメニューボードなどに利用されるなど、商業アートとしての側面もあります。決して自己満足ではなく、お客様の望むものを形にするのが私の仕事です。
打ち合わせではお客様のご要望をしっかりとお聞きし、時には提案やアドバイスもします。自分の得意な「絵を描く」ということで役に立ち、喜んでいただけること。これが一番の喜びであり、やりがいでもあります。
――今後については
カラフルなチョークアートの他にも、白1色の黒板アートや、ショーウィンドウのガラスペイントなども採り入れ、仕事として幅広くアートで社会に貢献していきたいです。また、作家としても自分のオリジナル作品を作っていきたいですね。いつか海外でチョークアートの個展を開くのが夢です。
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