今や、小中学生のあこがれの職業にランクインされるようになったYouTuber(ユーチューバー)。「チャレンジ精神と興味本位に心を揺さぶられた」「再生回数を狙った不愉快なものが少なくない」。YouTubeを使いこなす中高生や大学生から届いた声について、約100万のチャンネル登録者がいるバイリンガール・吉田ちかさん(32)に答えてもらいました。
なりたい職業にランクイン
小中学生にとって、ユーチューバーの影響力は絶大です。2017年にソニー生命が実施した調査で、男子中学生の将来なりたい職業3位に「ユーチューバーなどの動画投稿者」が入りました。
朝日新聞が「ユーチューバー」をテーマに若い世代から投稿を募ったところ、中高生や大学生から400通を超える声が寄せられました。
ユーチューバーは、狭義では投稿した動画再生回数によって広告収入などを得て生活している人を指しますが、投稿を読むと「YouTubeに投稿する人」と広義に捉えている人が大半でした。書かれていた内容も様々で「感想」「実用」「課題」と多彩です。
そんなユーチューバーへの声を、現役ユーチューバーであるバイリンガール・吉田ちかさんにぶつけてみました。
「作って見てもらってフィードバック」
まずは「感想」。京都府の女子中学生から。
ちかさんはこうコメントしてくれました。
ちかさん
「この人ができるんだったら私もできる」
ユーチューバーと視聴者のリアルな距離感もアイドルと違うと言います。
ちかさん
神奈川県の女子高校生は、「暇な時間にふと見ると面白かった」「チャレンジ精神と興味本位に心を揺さぶられ、ついユーチューバー地獄におちいる」「作る方も見る方も笑顔になれる。今の時代には必要なものです」と言います。
そんな意見について、ちかさんはこう考えています。
ちかさん
「先生目線じゃない」
ちかさんは小学1年生から大学卒業までアメリカで過ごしました。それを武器にしてコンテンツを作り、YouTubeにコンテンツをアップしています。視聴者の大半がスマホからのアクセスです。海外の人と会話を楽しめるようになりたいという東京都の女子大学生も、ちかさんのファンです。
ちかさんは、どんな思いでコンテンツを作っているのでしょう?
ちかさん

「英語で検索するのは大きい」
YouTubeの中から、実用的なコンテンツを探し出したり、使いこなしたりするポイントは何なのか? ちかさんも、英語で検索してコンテンツを探すメリットは大きいと言います。
ちかさん
YouTubeは視聴者側のスタンスもテレビなどとは異なるとか?
ちかさん
日本語のコンテンツ「クオリティーの幅は狭い」
日本語のコンテンツの現状を尋ねると、厳しい意見が飛び出しました。
ちかさん
ユーチューバーも、アメリカと日本では大きく違うといいます。
ちかさん
「過激なことをやると、負のループに」
一定のルールに従えば、誰でも投稿できるYouTubeを見ている人たちからも、注意しなくてはいけない点が挙がっています。埼玉県の男子大学生は、再生回数の多さを目指すあまり、一部の人に不快感を与えてしまう動画があることが気になるそうです。
ちかさんが気をつけていることは何か、聞いてみました。
ちかさん

不適切なものには「フラグ機能を」
神奈川県の男性は、YouTubeでよく動画を見る中で、関連動画として表示される中に、障害者や高齢者を侮辱したようなタイトルの動画が気になるそうです。
ちかさんは、発信する人の意思表示は難しいと言います。
ちかさん
だから視聴者もYouTubeの機能を使ってコントロールをしていくことを勧めています。
ちかさん
ちかさんからのメッセージ
私はYouTubeで英語をテーマに楽しんでもらうコンテンツを作っていますけれど、YouTubeという場所はきっかけ作りの場所だと思うんですよ。共感して私もやってみたいとか、いいなというインスピレーションを受ける場だったり、やる気が出る場だったり。それを感じて、一歩踏み出してくれたらうれしいです。
一つ実用的な話をすると、YouTubeの機能って知られていないものが多く、字幕の機能もスマホやパソコンの設定で文字の色を変えられたり、スロー再生できたりします。パソコンで視聴すると画面の字幕だけでなく、横に見やすく表示させる機能もある。勉強で使う人は機能を知ることで使いやすさが変わって、より使いこなせるようになると思います。
憧れは人を成長させてくれるものだと思うので、それをきっかけに新しいことに挑戦してみることは、すてきなことだと思います。私は元々コンサルティング会社に勤めていて180度違う仕事をしていたのですが、新しいことにトライしてみたいという気持ちからYouTubeを始め、そして会社を辞める決断をし動画制作一本に絞りました。自分にとって良い決断だったと思っています。
もちろん、大変なこともたくさんありますよ!一見ただただ楽しそうに見えると思いますが、多くの人の目に触れるということには責任もリスクもありますし、自分で一つ一つ判断していかないといけません。でも、自分自身でやってみないと気づけないことがたくさんあると思うので、少しでも興味があるのであればモラルとマナーを意識しながら一歩踏み出してみてください!新しいことにチャレンジすることは自分の発見、成長にもつながります!

バイリンガール・吉田ちか 小学1年生から大学卒業までをシアトルで過ごす。大手コンサルティング会社を経て2011年よりYouTubeにて英語学習コンテンツ「バイリンガール英会話」を開始。2016年、国連とYouTubeの共同プログラムによる「Change Ambassador」にも就任。チャンネル登録者数約100万人、再生回数は2億回に及ぶ。吉田正樹事務所所属。
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