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国会質問、スキャンダルも「まじめに議論」する理由 伝説の迷答弁も
時々、爆弾発言が出て注目を集める国会質問。予算委員会では議員のスキャンダルについての質問も飛び交いますが、これは役割として正式に認められたものなんです。チェック機能として国会質問が大事な理由、過去の「爆弾質問」について超解説します。
国会で与野党議員が政府に質問する機会は、大きく分けて「本会議」「委員会」「質問主意書」があります。このうち、本会議と委員会では、首相や閣僚、官僚が、議員と直接やりとりします。
委員会は、「予算委員会」のほか、各省庁の関係するテーマを議論する各委員会があります。中には、党首討論を行う「国家基本政策委員会」というのもあります。
特に「予算委員会」は、あらゆる国政のテーマが議題になります。よく、週刊誌ネタが議論になることがありますが、これは、「あらゆる国政のテーマ」という「予算委員会」の役割として正式に認められたものです。そのため「予算委員会」では、予算についての質問はもちろん、議員のスキャンダルまで、様々な質問が飛び交います。
各党の質問時間は、各党から委員会に派遣されている「理事」同士で決めるほか、首相が出席する委員会など重要な案件については、国会対応の司令塔である「国会対策委員長」同士が話し合って決めます。
質問時間の配分は特に国会法に定められていないので、国会議員同士が、国会の意思として話し合い、決めていくことになっているのです。
日本では、政府は事前に与党の了解を得てから、法案や予算案を国会に提出する仕組みになっています。これを「事前審査」と言います。首相や閣僚の多くを政府内に送り込み、政府を支える立場の与党が、有権者の意思を反映しながら政府とともに政策を作っていくんだ、という考え方からです。
こうした政策決定のプロセスに関与できない野党は、国会で政府・与党に批判的な立場から、法案や予算案をチェックすることになります。そのため、慣例として、委員会などでは与党より野党に多く質問時間が配分されてきました。
委員会では、質問する議員が事前に質問項目を、政府に示し、政府が答弁を準備して臨みます。ただ、政府を追及する側の野党は、質問項目を詳しく書かなかったり、通告していない質問をぶつけたりして、政府を揺さぶります。
野党は政府に批判的な姿勢で臨むので、過去には「爆弾質問」や「迷答弁」を引き出した質問も生まれました。
例えば、2004年には、当時の民主党の岡田代表に厚生年金加入時の勤務実態を追及された小泉首相が「人生いろいろ、会社もいろいろ」と答えたり、2012年には米軍普天間飛行場のある沖縄県宜野湾市長選挙を前に、防衛省の地元トップが職員を集めていたことを共産党の議員が暴露したり、2017年5月には、読売新聞の単独インタビューで憲法9条に自衛隊を明記する案を語ったことを追及された安倍首相が「読売新聞を熟読してください」と答えたこともあります。
国会での質問と政府の答弁は、議事録として正式な記録が残ります。国権の最高機関として憲法に位置づけられている国会。ここでの議論は、この国の方向を決めるとともに、後世から検証される最も大事なやりとりと言えるのです。
【過去の注目質問】
野党の長妻昭氏(当時民進党)が、安倍首相が5月3日付の読売新聞の単独インタビューで憲法9条に自衛隊を明記する改憲案を語ったことをめぐって、質問。安倍首相は「自民党総裁としての考え方は、読売新聞に相当詳しく書いてあるから、ぜひ熟読していただきたい」と答弁した。(2017年5月8日 衆院予算委員会)
野党の岡田克也氏(当時民主党)が、かつて厚生年金に加入していたことのある小泉純一郎首相に対し、勤務実態をめぐる質問をぶつけた。小泉首相は「人生いろいろ、会社もいろいろ、社員もいろいろ」と答弁した。(2004年6月2日 衆院決算行政監視委員会)
野党の赤嶺政賢氏(共産党)が、米軍普天間飛行場のある沖縄県宜野湾市長選をめぐり、当時の防衛省沖縄防衛局長が「講話」という形で、宜野湾市の有権者である職員らを集めていたことを暴露した。(2012年1月31日 衆院予算委員会)